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第Ⅲ相試験( 001 試験)

2.5 臨床に関する概括評価

2.5.4 有効性の概括評価

2.5.4.2 第Ⅲ相試験( 001 試験)

本項では、レテルモビルの第Ⅲ相試験(001試験)のデザイン[2.5.4.2.1 項]、有効性の評価項目 [2.5.4.2.2 項]、患者の内訳及び背景[2.5.4.2.3 項]について記述する。001試験の詳細は[2.7.3.2.2 項]、 [資料5.3.5.1.3: P001V01]及び[資料5.3.5.1.5: P001V02]、001試験に含まれた日本人集団の結果の詳細 は[2.7.6.3.3.3 項]を参照のこと。001試験の治験総括報告書[資料5.3.5.1.3: P001V01]には、有効性の 主要解析のためのデータカットオフ(すべての患者が移植後24週時の来院を終了した時点)まで の情報を含めた。また、治験総括報告書[資料5.3.5.1.5: P001V02]には、001試験の最終データ(す べての患者の移植後48週時までのデータ)を含めた。

2.5.4.2.1 試験デザイン(001試験)

001試験では、CMV感染又はCMV感染症のリスクが高いCMV抗体陽性の成人同種HSCT患者 を対象に、臨床的に意味のある CMV 感染の予防を目的としてレテルモビルを投与した際の有効 性及び安全性をプラセボと比較して評価した。治験デザインの詳細を[2.7.3.2.2.1 項]に示す。

001試験の主要評価項目は、移植後24週(約6ヵ月)以内に臨床的に意味のあるCMV感染[CMV 血症の確認(中央検査機関にて実施したPCR検査によりCMV DNAが検出された)及び患者の臨 床状態に基づいた、抗CMV薬による先制治療の開始、又は終末器官におけるCMV感染症の発症 と定義]がみられた患者の割合とした[2.7.3.1.1.3.3 項]。また、先制治療などの CMV 感染対策を 実施しなかった場合、CMVの再活性化は主に移植後24週間以内に認められ、特に移植後14週間(約 100日間)はリスクが最も高いことが知られている[資料5.4: 27] [資料5.4: 18] [資料5.4: 35]。このこ とに基づき、001試験では投与期間を移植後14週まで、有効性の主要評価期間を移植後24週までと 規定した。

001試験では計570例の患者をレテルモビル群又はプラセボ群に2:1の比で移植日から移植後28 日までに割り付けた。投与群間でレテルモビルの安全性及び有効性に影響を及ぼし得る偏りがな いよう、治験実施医療機関及びCMV感染又は感染症のリスク因子([2.7.3.2.2.1 項]で定義)に基 づく層別割付けを実施した。治験実施医療機関による層別化は、HSCT に対する各国あるいは各 施設の診療内容(前処置レジメン、幹細胞源、GVHDの予防又は治療に用いる免疫抑制剤等)の 偏りを回避するために設定した。CMV 感染のリスク因子(高リスク/低リスク)は公表文献[資 料5.4: 16] [資料5.4: 36] [資料5.4: 27] [資料5.4: 37]及び外部の専門家からの助言に基づき定義し、投 与群間でCMV感染リスクに差がないようにした。

001試験はプラセボと比較したレテルモビルの予防効果を評価するための試験として計画され たことから、治験薬の投与中に CMV 感染がみられた患者は治験薬の投与を中止し、実施医療機 関の標準治療による先制治療を開始することとした。

001試験では、レテルモビルの投与量は480 mg(シクロスポリンを併用投与する場合は240 mg) の1日1回投与とし、盲検性を保つために対照薬としてプラセボを投与した。錠剤及び注射剤の2 つの剤形を使用可能とすることで、合併症により経口投与が難しい患者でも、早ければ移植当日 から注射剤による治験薬の投与を開始することができた。なお、001試験では患者が嚥下不能又は

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錠剤の吸収を妨げる可能性のある状態(嘔吐、下痢、又はその他の吸収不良状態)の場合は注射 剤を使用するが、このような状態が解消した場合は、速やかに注射剤から錠剤に切り替えること を推奨した。

001試験の試験デザインを[図 2.5-1]に示す。Day 1に無作為割付けを行い、CMV 感染又は感染 症のリスクが最も高い移植後14週間(約100日間)を治験薬投与期とした。治験薬の投与開始は移 植日から移植後28日までのいずれかの時点と幅があった一方、投与の完了はすべての患者で移植 後の同時点[移植後14週(約100日)]としたため、個々の患者の投与期間は移植後10~14週間と 異なっていた[2.7.3.2.2.1 項]。

無作為割付け後、規定来院時に CMV 血症のモニタリングを実施した。移植後24週以内のいず れかの時点でCMV血症が確認され抗CMV薬による先制治療の開始が必要と判断された、又は終 末器官におけるCMV感染症を発症した患者は、その時点で治験薬投与中の場合は投与を中止し、

先制治療又はCMV感染症に対する治療を開始した。治験実施計画書には、CMV感染のリスク因 子(高リスク/低リスク)に基づき、治験担当医師へのガイダンスとして、先制治療を開始する 際のCMV DNA量の閾値の目安を提示した[2.7.3.2.2.6.2.4.1 項]。

移植後14週(約100日)以降も治験を継続したすべての患者を対象に、移植後24週までフォロー アップ評価を継続し、予防投与終了後の臨床的に意味のある CMV 感染や死亡の他、日和見感染 や急性及び慢性GVHD等のCMV感染による「間接的な」影響に関連する健康アウトカムデータ を評価した。

さらに、主要な治験期間である移植後24週(約6ヵ月)までの来院が終了した後も、移植後48 週まで治験を継続し、CMV感染症、健康アウトカムデータ及び患者の報告による生活の質(QOL) の評価を実施した。

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MK-8228: レテルモビル CsA: シクロスポリン

図 2.5-1 試験デザインの概略(001試験)

2.5.4.2.2 有効性評価項目

001試験の有効性の主要評価項目は、移植後24週(約6ヵ月)以内に臨床的に意味のある CMV

感染がみられた患者の割合とした。以下のいずれかを認めた場合を、臨床的に意味のある CMV 感染と定義した。

• 終末器官におけるCMV感染症の発症 又は

• CMV血症の確認(中央検査機関による測定)及び臨床状態に基づいた、抗CMV薬による 先制治療の開始。001試験では、「先制治療の開始」を、CMVの活発なウイルス複製が確認 され抗CMV薬[ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット又はcidofovir(日 本では未承認)]のいずれかの投与を開始することと定義した。

CMV感染(CMV血症)は、HSCT 患者における全身状態の悪化や高い死亡率と直接的、又は 間接的に関係している。「直接的」な影響として、CMV 感染症の発症率が高くなること[資料5.4:

15] [資料5.4: 16]、また「間接的」な影響として、急性及び慢性GVHD、重篤な細菌感染症及び侵

襲性真菌日和見感染症、並びに非再発死亡など、CMVが免疫系に及ぼす作用によるもの[資料5.4:

17] [資料5.4: 19] [資料5.4: 18] [資料5.4: 20] [資料5.4: 21] [資料5.4: 22] [資料5.4: 23]が挙げられる。

CMV感染症はそれ自体が全身状態の悪化や死亡率の原因となり得る[資料5.4: 15] [資料5.4: 16]。 現在は、ほとんどの医療機関でCMV感染症対策として先制治療を実施していることから[資料5.4:

38]、HSCT患者でCMV感染症の発症リスクが最も高くなる移植後100日間における、CMV感染

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症の全体的な発現率は、先制治療が広く用いられるようになる前の20%~30%から約5%まで低下 してきている[資料5.4: 16] [資料5.4: 39] [資料5.4: 35] [資料5.4: 17] [資料5.4: 40] [資料5.4: 41] [資料 5.4: 43] [資料5.4: 42]。このような、先制治療が一般的となった臨床診療の現状を考慮し、001試験 の主要評価項目には、臨床的に評価可能な複合的評価項目である「移植後24週以内に臨床的に意 味のあるCMV感染又は感染症がみられた患者の割合」を選択した。

2.5.4.2.3 有効性評価方法

001試験における有効性の主要評価項目及び重要な副次評価項目の解析方法を[2.7.3.2.2.1.2 項] に示す。001試験の有効性解析対象集団はFASとし、これには無作為割付け後に治験薬を1回以上 投与され、Day 1(無作為割付日)に中央検査機関の検査にてCMV DNAが検出されないすべての 患者が含まれた。

有効性の主要評価項目及び重要な副次評価項目については PP 解析対象集団を用いた補足的解 析も実施した。PPはFASの部分集団であり、有効性の主要評価項目及び重要な副次評価項目の結 果に大きく影響を及ぼす可能性のある治験実施計画書からの逸脱があった患者を除外した集団で ある。001試験でPPから除外された患者の治験実施計画書からの逸脱については[2.7.3.2.2.1.2 項] を参照のこと。

有効性解析では、以下の2つの欠測値の取扱い方法を用いた。なお、主要評価項目の主要解析は NC=Fアプローチを用いた。

1) NC=Fアプローチ:中止理由にかかわらず、移植後24週時点の来院前に治験を中止した患 者は無効例とした。治験を継続した患者であっても移植後24週時点の有効性評価に必要な

CMV DNAデータが欠測している場合も無効例として扱った。

2) Data as Observed(DAO)による解析(DAO解析):欠測データを補完せず、特定の評価項

目に欠測値のある患者は解析から除外した。

001試験における各評価項目の解析方法は[2.7.3.2.2.1.2 項]及び[表 2.7.3-5]を参照のこと。

001試験の有効性解析対象集団の概略図を[図 2.5-2]に示す。

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[資料5.3.5.1.3: P001V01]

図 2.5-2 有効性解析対象集団の概略図(001試験)

2.5.4.2.4 患者の内訳及び背景

001試験では日本を含む20ヵ国67施設の治験実施医療機関から計570例の患者を無作為割付けし、

多様な背景を有する CMV抗体陽性の同種HSCT 患者集団を対象にレテルモビルの包括的な評価 を行った。地域別の患者数を[2.7.3.2.2.2 項]及び[表 2.7.3-6]に示す。FAS解析対象集団(計495例)

に含まれる大多数の患者は欧州(50.1%)及び北米(41.0%)で組み入れられた。アジア太平洋で 組み入れられた患者の割合は7.7%、日本人の割合は6.1%(計30例、レテルモビル群:24例、プラ セボ群:6例)であった。

無作為に割り付けられた570例の患者のうち、治験薬投与開始前に治験から脱落した5例を除く 565例が治験薬の投与を受けた。431例(75.6%)が移植後24週の来院を完了し、134例(23.5%)が 移植後24週の来院前に治験を中止した。移植後24週の来院を完了した431例は移植後24週から48

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週の後観察期(追跡期間)に移行した。001試験の試験終了時点では、移植後48週の来院を完了し た患者は363例(63.7%)であり、移植後24週以降48週までの期間に68例(11.9%)が治験を中止し た。治験継続状況に関する患者の内訳は[2.7.3.2.2.3.2 項]及び[表 2.7.3-8]を参照のこと。

無作為割付けした患者の60.9%が移植後14週までの治験薬投与を完了した。投与完了例はレテル モビル群(71.0%)でプラセボ群(41.2%)より大幅に多かった。投与群間の不均衡は、プラセボ 群で効果不十分のため治験薬投与を中止した患者の割合(42.3%)がレテルモビル群(6.4%)より 多かったことに起因していた。プラセボ群の治験薬投与中止理由は、効果不十分が最も多く、次 いで有害事象(9.8%)であった。レテルモビル群の治験薬投与中止理由は有害事象(11.2%)が最 も多く、次いで効果不十分(6.4%)であった。治験薬投与状況に関する患者の内訳は[2.7.3.2.2.3.3 項]及び[表 2.7.3-9]を参照のこと。

001試験で無作為割付けされた患者の、有効性解析における患者内訳を[表 2.7.3-10]に示す。無 作為に割り付けられた570例のうち、5例(0.9%)が治験薬を投与されなかったため解析対象から 除外された。無作為割付け後、治験薬を1回以上投与された残りの565例(レテルモビル群:373 例及びプラセボ群:192例)をAll Randomized and Treated(ARaT)解析対象集団に含めた[2.7.3.2.2.4.1 項]。

[2.5.4.2.3 項]に記述したように、001試験における有効性評価の主要解析集団はFAS解析対象集 団であり、無作為割付けした患者のうち495例(86.8%)[レテルモビル群:325例(86.4%)及びプ ラセボ群:170例(87.6%)]が含まれた。補足的な有効性評価はPP解析対象集団を対象として実 施し、無作為割付けした患者のうち451例(79.1%)が含まれた。PP解析対象集団から除外された 患者の割合は投与群間で同程度であった[表 2.7.3-10]。患者集団の定義は[2.7.3.2.2.4 項]を参照の こと。

001試験は国際共同試験であり、除外基準の制限が比較的少なかったため、多様な背景を有する CMV抗体陽性同種HSCT患者集団を対象として評価を行うことができた。001試験の患者背景は 投与群間で概して均衡がとれており、実際の医療現場でみられる CMV抗体陽性の同種HSCT患 者集団を代表していると考えられた[表 2.5-3]。ASaT解析対象集団の565例中、男性(57.9%)、白

人(81.8%)、及び非ヒスパニック又はラテン系(89.2%)が大多数を占めた。年齢の中央値は54

歳(範囲:18~78歳)、体格指数(BMI)の中央値は25.5 kg/m2(範囲:16.6~49.0 kg/m2)であっ た。

001試験では、単純ヘルペスウイルス(HSV)又は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染に対する アシクロビル、バラシクロビル及びファムシクロビルの予防投与を可能とした。しかしながら、

治験実施計画書でこれらの薬剤の投与量には制限を設けており、規定した投与量では十分な抗 CMV活性は得られないことから、これらの薬剤の使用がレテルモビルの有効性に影響を及ぼす可 能性は低いと考えられた。これらの薬剤を投与した患者の割合は投与群間で同程度であり、HSV 及びVZVの予防のため最も多く使用された薬剤は、アシクロビル(FAS解析対象集団の82.0%) であった[2.7.3.2.2.5.2 項]。

日本人集団の患者の内訳及び背景の詳細、並びにこれらに関する日本人集団と全集団の比較は [2.7.6.3.3.3.1 項]を参照のこと。

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