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2.5 臨床に関する概括評価

2.5.3 臨床薬理に関する概括評価

2.5.3.5 外因性要因

レテルモビルと併用する可能性の高い薬剤及びin vitro評価[2.6.4.7 項]に基づき薬物相互作用の 評価に一般的に使用される薬剤を用いて、健康被験者を対象に薬物相互作用試験を実施した

[2.7.2.3.3 項]。レテルモビルの曝露量に対する併用薬の影響及び併用薬に対するレテルモビルの影

響を[2.7.2.1.1.4 項]に要約する。

レテルモビルに対する併用薬の影響

In vitroデータから、レテルモビルはP-糖蛋白質(P-gp)、OATP1B1/1B3、胆汁酸塩排出ポンプ

(BSEP)、UGT1A1及びUGT1A3の基質であることが示唆されている。P-gp及びUGTの特異的阻 害薬の影響は臨床試験で評価していない。レテルモビルの薬物動態プロファイルから、P-gp又は UGTの阻害によるレテルモビルの曝露量の変化は臨床的に意味がないと予測された。第Ⅰ相試験 のデータを用いた薬理遺伝学的解析の結果、UGT1A1の遺伝子多型によりレテルモビルの曝露量 が36%増加したが、変動許容範囲内であり、臨床的に意味はないと考えられた[資料5.3.5.3.7:

PGAPH1] [2.7.2.2.6.4 項]。

OATP1B1/1B3の阻害薬とレテルモビルを併用する場合、レテルモビルの血漿中濃度が上昇する

可能性がある。OATP1B1/1B3及びP-gpを含む複数のトランスポーターの阻害薬であるシクロスポ リンとレテルモビルの併用で、レテルモビルの曝露量が2~3倍増加したことから、in vivoでもレ テルモビルはOATP1B1/1B3の基質であることが示された。よって、シクロスポリンと併用投与す る場合は、レテルモビルの用量を240 mg 1日1回に調節することとした。チトクロムP450(CYP) 3A、CYP2D6及びCYP2J2は、in vitroでレテルモビルを代謝する可能性のある酵素として同定され ているが、in vivoデータから、酸化的代謝はレテルモビルの重要な消失経路ではないと考えられ る。よってこれらのCYP分子種の阻害又は誘導により、レテルモビルの曝露量は臨床的に意味の ある影響を受けないと考えられる。

併用薬に対するレテルモビルの影響

In vitroでの結果から、レテルモビルはCYP3Aの時間依存的な阻害薬であり、CYP2C8、CYP2B6

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及びUGT1A1の可逆的阻害薬であることが示され、in vivoではCYP2B6を除き、CYP3A、CYP2C8 及びUGT1A1を阻害すると考えられた。また、in vitroで、レテルモビルはCYP3A4及びCYP2B6 の誘導薬である。

レテルモビル240 mg 1日1回6日間反復経口投与とミダゾラム2 mg単回経口投与を併用した結果、

ミダゾラムのAUCは2.25倍増加、Cmaxは1.72倍上昇し、ミダゾラム1 mg単回静脈内投与を併用し た結果、ミダゾラムの AUC は47%増加し、Cmaxは5%上昇した。これらの結果から、レテルモビ ルは主として腸管での代謝に影響を及ぼすCYP3Aの中等度の阻害薬であり、CYP3A基質の肝臓 での代謝に対する影響は相対的に小さいことが示唆された。レテルモビルはCYP3Aの中等度の阻 害薬と考えられることから、CYP3Aを介して代謝される基質とレテルモビルを併用経口投与する と、併用薬の血漿中濃度を約2~3倍上昇させる可能性がある。CYP3A基質を静脈内投与時の血漿 中濃度に及ぼすレテルモビルの影響はより小さいと推測される。シクロスポリン、シロリムス又 はタクロリムスとレテルモビルとの併用により、これらの免疫抑制剤の血漿中濃度が上昇するこ とから、レテルモビルと併用開始後は、シクロスポリン、シロリムス又はタクロリムスの全血濃 度を頻繁にモニタリングし、適切に免疫抑制剤の用量調節を行う必要がある。治療域が狭く影響 を受けやすいCYP3A基質薬(フェンタニル及びキニジン等)をレテルモビルと併用投与する場合 は、注意を要する。これらのCYP3A基質薬とレテルモビルの併用により、CYP3A基質薬の血漿 中濃度が上昇する可能性がある。そのため、これらの薬剤の副作用に注意して患者の状態を頻繁 に観察することが推奨される。また、必要に応じてこれらの薬剤の用量調節を行う必要がある。

ピモジドとレテルモビルの併用で、レテルモビルによりCYP3Aが阻害され、ピモジド濃度が上昇 し、QT間隔延長及びトルサード・ド・ポアンを引き起こす可能性があることから、ピモジドは併 用禁忌である。また、麦角アルカロイド(エルゴタミン及びジヒドロエルゴタミン)とレテルモ ビルの併用で、レテルモビルによりCYP3Aが阻害され、麦角アルカロイド濃度が上昇し、麦角中 毒を引き起こす可能性があることから、麦角アルカロイドは併用禁忌である。

レテルモビルが CYP2C8及び UGT1A1に及ぼす影響は臨床試験で評価していない。レテルモビ ルが既知のCYP2C8基質であるレパグリニド及びrosiglitazone(日本では未承認)の薬物動態に影 響するリスクをPBPK モデル解析により評価した。経口及び静脈内投与後にレテルモビルがレパ グリニドの曝露量を2.4~3.6倍、rosiglitazoneの曝露量を約1.5倍増加させることが予測されたこと から、レテルモビルがin vivoでCYP2C8基質の血漿中濃度を上昇させる可能性がある[2.7.2.3.3.1.2 項]。レパグリニドとレテルモビルを併用する場合は、血糖値を頻繁にモニタリングすることが推 奨される。

HSCT 患者では、レテルモビルは抗真菌薬であるボリコナゾールと併用投与される可能性が高 く、ボリコナゾールの代謝は主にCYP2C9及びCYP2C19を介し、CYP3Aの寄与はわずかである。

また、in vitroでのCYP3A4及びCYP2B6の誘導シグナルは、核受容体のプレグナンX受容体(PXR) 及び構成的アンドロスタン受容体(CAR)を介すると考えられ、PXR及びCARはCYP3A4、CYP2B6、

CYP2C9及び CYP2C19を含む複数の薬物代謝酵素及びトランスポーターの発現を活性化すること

が知られている。薬物相互作用試験でボリコナゾールとレテルモビルを併用した結果、ボリコナ ゾールのAUC及びCmaxは単独投与時と比較して、それぞれ44%及び39%減少したことから、レテ

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ルモビル投与により、ボリコナゾールの消失経路であるCYP2C9及びCYP2C19活性を誘導するこ とが示唆されている。ボリコナゾールの曝露量減少により効果が減弱する可能性があることから、

レテルモビルを併用する場合は、患者の状態を十分に観察することが推奨される。CYP2C9又は

CYP2C19の基質薬(フェニトイン及びワルファリン等)とレテルモビルの併用により、CYP2C9

又はCYP2C19の基質薬の血漿中濃度が低下する可能性があることから、フェニトインとレテルモ

ビルを併用する場合は、フェニトイン濃度を頻繁にモニタリングし、ワルファリンとレテルモビ ルを併用する場合は、国際標準比(INR)を頻繁にモニタリングする。

臨床濃度で、レテルモビルは、P-gp、乳癌耐性蛋白質(BCRP)、BSEP、多剤耐性関連蛋白質(MRP)

2、OATP1B3及び有機アニオントランスポーター(OAT)3を阻害する可能性がある。レテルモビ

ルはPXR/CARを介してP-gpを誘導する可能性がある。P-gp及びOAT3の典型基質を用いて臨床

薬物相互作用試験を実施した。レテルモビルとの併用時に、P-gp基質であるジゴキシン及びOAT3 基質であるアシクロビルの血漿中濃度に臨床的に意味のある変化は見られなかった。これらのデ ータから、レテルモビルはin vivoではOAT3の阻害薬ではなく、P-gpに対し臨床的に意味のある 影響(阻害又は誘導)を及ぼさないことが予測された。BCRP、BSEP及びMRP2による消失の影 響を受ける併用薬はほとんど使用されていないと考えられること、これらの特異的基質がないこ と、並びに臨床的意義に関する十分な情報が得られていないことから、レテルモビルが BCRP、 BSEP及びMRP2に及ぼす阻害作用は臨床試験で評価されていない。したがって、レテルモビルと の併用によりこれらのトランスポーターが阻害されたときの臨床的意義は不明である。

In vitroデータから、OATP1B1/1B3の基質とレテルモビルを併用する場合、OATP1B1/1B3トラン スポーター基質の血漿中濃度の臨床的に意味のある上昇を引き起こす可能性がある。レテルモビ ルと選択的OATP1B1/1B3基質を併用した臨床薬物相互作用試験は実施しなかった。しかしながら、

レテルモビルとCYP3A、OATP1B1/1B3及びBCRPの基質であるアトルバスタチンの併用投与によ り、アトルバスタチンのAUC及びCmaxは単独投与時と比較して、それぞれ3.29及び2.17倍増加し た。アトルバスタチンとレテルモビルの併用により、アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇した ことから、レテルモビルとの併用時にはミオパチーなどのアトルバスタチンに関連した副作用を 注意深く観察する。レテルモビルとの併用により、他の3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA

(HMG-CoA)還元酵素阻害薬(フルバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチン)の濃度を

上昇させる可能性がある。レテルモビルとの併用時にはミオパチーなどのスタチンに関連した副 作用を注意深く観察する。

レテルモビル480 mg反復経口投与とエチニルエストラジオール(EE)0.03 mg及びレボノルゲ ストレル(LNG)0.15 mgを併用したところ、EEのAUCは約42%増加し、Cmaxは11%低下して、

LNGのAUCは36%増加し、Cmaxは5%低下した。これらの結果に臨床的に意味がないと考えられ るため、経口避妊薬とレテルモビルを併用投与する際、用量調節は不要である。

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