2.5 臨床に関する概括評価
2.5.5 安全性の概括評価
2.5.5.4 第Ⅲ相試験( 001 試験)
2.5 臨床に関する概括評価 - 84 -
が、当該事象は治験実施計画書で定めた治療期の有害事象の収集期間外(治験薬投与終了後8日目 以降:治療期以降)に発現したため、重篤な有害事象には含まれたが、治療期の重篤な有害事象 としては分類されていない[2.7.4.2.1.3.2.3 項]。
020試験全体で、治療期の重篤な有害事象の発現割合は投与群間で概して同程度であった。治療 期に多く報告された重篤な有害事象(SOC)は、感染症および寄生虫症(SOC)で、そのうち最 も多く報告されたPTは肺炎[レテルモビル群(全体):4件]であった[2.7.4.2.1.3.2.4 項]。治療期 に報告された重篤な有害事象の大多数は中等度又は重度であったが、これら中等度又は重度の事 象の発現割合は投与群間で概して同程度であった[2.7.4.2.1.3.2.4 項]。一方、治験薬投与中止に至 った治療期に報告された重篤な有害事象の発現割合は、レテルモビル群(全体)に比べプラセボ 群で高かった[2.7.4.2.1.3.2.5 項]。
治療期に最も多く報告された治験薬投与中止に至った有害事象(SOC)は、感染症および寄生 虫症(SOC)であり、その発現割合はプラセボ群よりレテルモビル群(全体)で低かった。この SOCで治療期に最も多く報告された治験薬投与中止に至った有害事象(PT)はCMV感染であり、
その発現割合はプラセボ群よりレテルモビル群(全体)で低かった[2.7.4.2.1.3.2.5 項]。
020試験では、血液学的検査、血液凝固検査、血液生化学検査及び尿検査のパラメータにおいて、
いずれの時点でもベースラインからの臨床的に意味のある変動は認められず、レテルモビル群と プラセボ群で明らかな差はなかった[2.7.4.2.1.3.2.6 項]。バイタルサイン、体重、身体的所見及び 心電図の結果についても、治験担当医師によって臨床的に意味があると判定されたベースライン からの変動はなかった[2.7.4.2.1.3.2.7 項]。
2.5 臨床に関する概括評価 - 85 -
処置に起因する有害事象、死亡並びに脱落の原因となった有害事象を収集し、無作為割付及び治 験薬投与開始(いずれもDay 1)から移植後16週目までの期間は、すべての有害事象[2.7.4.2.1.4 項] を収集した。その後、移植後48週までの期間は、重篤な副作用及び死亡に至った重篤な有害事象 を収集した。
安全性は、治験実施計画書で規定した時点又は解析の定義に従って以下の3種類の期間で解析し た。
治療期
治験薬投与開始から治験薬最終投与後14日までに発現したすべての有害事象。
移植後24週まで
治験薬投与開始から移植後16週までに発現したすべての有害事象、及び移植後16週以降24週ま でに発現した重篤な副作用又は死亡に至った重篤な有害事象。なお、移植後16週以降24週までの 期間に、報告対象外の有害事象が医療機関より報告された場合もすべて解析に含めた。
移植後48週まで
治験薬投与開始から移植後16週までに発現したすべての有害事象、及び移植後16週以降48週ま でに発現した重篤な副作用又は死亡に至った重篤な有害事象。
移植後16週以降48週までの期間に、報告対象外の有害事象が医療機関より報告された場合もす べて解析に含めた。つまり、報告対象外の有害事象として非重篤な有害事象及び因果関係が否定 された重篤な有害事象が含まれたが、001試験の安全性フォローアップ期間の安全性解析結果に影 響を及ぼさないと判断されたことから、臨床データベースから削除しなかった。
無作為割付けされた570例のうち、移植後24週の来院を完了した患者は431例(75.6%)、移植後 24週の来院前の中止例は134例(23.5%)であった。移植後24週の来院を完了した431例は移植後24 週から48週の後観察期(追跡期間)に移行した。
001試験の試験終了時では、移植後48週の来院を完了した患者は363例(63.7%)であり、68例
(11.9%)が移植後24週から48週の間に治験を中止した[付録 2.7.3-62]。
治療期の安全性解析では、有害事象の報告期間が治験薬投与期間と直接関連していることから、
治験薬投与中の有害事象の発現割合について群間差を推定することになる。また、治療期の安全 性解析は、治験薬投与中の安全性に関する曝露-応答解析を補完するものである[2.5.5.7 項]。 ASaT解析対象集団では、レテルモビル群の平均曝露期間は69.4日であり、プラセボ群の平均曝露 期間である55.2日より約25%長かった[2.5.5.1 項]ことから、治療期の安全性評価期間も投与群間で 異なった。この投与群間で認められた曝露期間の約25%の差は、レテルモビル群と比較してプラ セボ群では治験薬投与の中止に至った有害事象の発現割合が高かったこと(臨床的に意味のある CMV感染の発現割合が高かったことによる)が主な要因と考えられた。
移植後24週までの安全性解析では、投与終了後に報告された有害事象も含まれているため、有
2.5 臨床に関する概括評価 - 86 -
害事象の報告期間が治験薬投与期間にかかわらず両投与群で同じであり、移植後24週までの解析 を用いて有害事象についての群間差を全体的に推定できる。また、移植後24週までの有害事象の 解析時点は、有効性の主要評価項目の解析時点(移植後24週以内)と一致していることから、有 効性主要評価項目の解析と同じ時点での有害事象について群間差を推定できる[2.7.4.2.1.4 項]。
2.5.5項では、001試験のレテルモビルの安全性データとして、投与群間で報告期間の差異がない
移植後24週までの有害事象を主に記載した。
2.5.5.4.2 有害事象の要約
001試験の ASaT 解析対象集団における移植後24週及び48週までに発現した有害事象の要約を
[表 2.5-11]及び[付録2.7.4:31]に示す。レテルモビルの忍容性は良好であり、安全性プロファイル
はプラセボと類似していた[2.7.4.2.1.4.1 項]。
有害事象は、ほとんどの患者で移植後24週までに発現した[レテルモビル群:98.1%、プラセボ 群:100%]。治験薬の投与中止に至った有害事象の発現割合は、レテルモビル群と比べてプラセ ボ群で高く、発現割合の群間差の信頼区間は0を含まなかった[レテルモビル群:19.3%、プラセ ボ群51.0%、群間差-31.7%(95%CI:-39.7% to -23.6%)]。重篤な有害事象の発現割合は、レテルモ
ビル群:51.7%、プラセボ群:56.8%であった。重篤な副作用は6例に発現した[レテルモビル群3
例(0.8%)、プラセボ群3例(1.6%)]。死亡に至った副作用はなかった。なお、48週までの有害事 象については、全体的に移植後24週までと同様の傾向であり、移植後24週以降に新たに報告され た重篤な副作用はなかった。
2.5 臨床に関する概括評価 - 87 -
表 2.5-11 有害事象の要約
(移植後24週まで)(ASaT)(001試験)
Letermovir Placebo Difference in % vs Placebo
n (%) n (%) Estimate (95% CI)†
Subjects in population 373 192 with one or more adverse events 366 (98.1) 192 (100.0) -1.9 (-3.8, 0.1) with no adverse events 7 (1.9) 0 (0.0) 1.9 (-0.1, 3.8) with drug-related‡ adverse events 63 (16.9) 23 (12.0) 4.9 (-1.4, 10.6) with serious adverse events 193 (51.7) 109 (56.8) -5.0 (-13.6, 3.7) with serious drug-related adverse events 3 (0.8) 3 (1.6) NA who died 61 (16.4) 38 (19.8) -3.4 (-10.5, 3.1) discontinued§ due to an adverse event 72 (19.3) 98 (51.0) -31.7 (-39.7, -23.6) discontinued due to a drug-related
adverse event
18 (4.8) 7 (3.6) 1.2 (-2.9, 4.5) discontinued due to a serious adverse
event
35 (9.4) 27 (14.1) -4.7 (-10.9, 0.7) discontinued due to a serious
drug-related adverse event
3 (0.8) 3 (1.6) NA
† Miettinen & Nurminen法に基づく。
‡ 治験担当医師によって治験薬との因果関係ありと判定された事象
§ 治験薬投与の中止
統計解析計画書に従って群間差の推定値及び信頼区間を算出した。
脚注:治験実施計画書に従い、治験薬投与開始から移植後24週目までのすべての有害事象を報告している。
脚注:レテルモビルの用量は480 mg 1日1回、シクロスポリンを併用投与する場合は240 mg 1日1回とした。
NA = 該当なし [資料5.3.5.1.3: P001V01]
2.5.5.4.3 すべての有害事象の解析
001試験の移植後24週までに発現した有害事象発現例数(%)(いずれかの投与群で発現割合5%
以上)を SOC 別に[表 2.5-12]に示す。001試験の治療期及び移植後24週までに発現した有害事象 は[2.7.4.2.1.4.1.1 項]に示す。
有害事象の発現割合は、レテルモビル群及びプラセボ群で同程度であった。移植後24週までに 発現した有害事象のうち両投与群合計の発現割合が特に高かった有害事象は、GVHD(レテルモ ビル群:44.5%、プラセボ群:49.5%)、下痢(レテルモビル群:28.2%、プラセボ群:27.1%)、悪 心(レテルモビル群:27.3%、プラセボ群:26.0%)、発熱(レテルモビル群:23.1%、プラセボ群:
26.0%)、CMV感染(レテルモビル群:16.6%、プラセボ群:46.9%)、発疹(レテルモビル群:23.1%、
プラセボ群:25.0%)及び嘔吐(レテルモビル群:19.8%、プラセボ群:16.7%)であった。
2.5 臨床に関する概括評価 - 88 -
表 2.5-12 有害事象発現例数(%)(いずれかの投与群で発現割合5%以上)
移植後24週まで(ASaT)(001試験)
Letermovir Placebo Total
n (%) n (%) n (%)
Subjects in population 373 192 565 with one or more adverse
events 366 (98.1) 192 (100.0) 558 (98.8) with no adverse events 7 (1.9) 0 (0.0) 7 (1.2) 血液およびリンパ系障害 106 (28.4) 58 (30.2) 164 (29.0) 貧血 26 (7.0) 12 (6.3) 38 (6.7) 発熱性好中球減少症 33 (8.8) 21 (10.9) 54 (9.6) 血小板減少症 27 (7.2) 13 (6.8) 40 (7.1) 心臓障害 51 (13.7) 19 (9.9) 70 (12.4) 耳および迷路障害 21 (5.6) 2 (1.0) 23 (4.1) 眼障害 70 (18.8) 44 (22.9) 114 (20.2) 眼乾燥 25 (6.7) 12 (6.3) 37 (6.5)
胃腸障害 272 (72.9) 137 (71.4) 409 (72.4) 腹痛 48 (12.9) 19 (9.9) 67 (11.9) 上腹部痛 19 (5.1) 16 (8.3) 35 (6.2) 便秘 30 (8.0) 22 (11.5) 52 (9.2) 下痢 105 (28.2) 52 (27.1) 157 (27.8) 口内乾燥 21 (5.6) 11 (5.7) 32 (5.7) 消化不良 20 (5.4) 7 (3.6) 27 (4.8) 胃食道逆流性疾患 5 (1.3) 10 (5.2) 15 (2.7) 痔核 19 (5.1) 5 (2.6) 24 (4.2) 悪心 102 (27.3) 50 (26.0) 152 (26.9) 口内炎 23 (6.2) 13 (6.8) 36 (6.4) 嘔吐 74 (19.8) 32 (16.7) 106 (18.8)
一般・全身障害および投与
部位の状態 223 (59.8) 111 (57.8) 334 (59.1) 無力症 27 (7.2) 8 (4.2) 35 (6.2) 疲労 52 (13.9) 25 (13.0) 77 (13.6) 粘膜の炎症 47 (12.6) 24 (12.5) 71 (12.6) 末梢性浮腫 57 (15.3) 22 (11.5) 79 (14.0) 発熱 86 (23.1) 50 (26.0) 136 (24.1)
肝胆道系障害 25 (6.7) 16 (8.3) 41 (7.3)
2.5 臨床に関する概括評価 - 89 -
表 2.5-12 有害事象発現例数(%)(いずれかの投与群で発現割合5%以上)
移植後24週まで(ASaT)(続き)
Letermovir Placebo Total
n (%) n (%) n (%) 免疫系障害 173 (46.4) 102 (53.1) 275 (48.7) 移植片対宿主病 166 (44.5) 95 (49.5) 261 (46.2) 感染症および寄生虫症 264 (70.8) 145 (75.5) 409 (72.4) 菌血症 22 (5.9) 5 (2.6) 27 (4.8)
サイトメガロウイルス
感染 62 (16.6) 90 (46.9) 152 (26.9) 肺炎 27 (7.2) 7 (3.6) 34 (6.0) 尿路感染 20 (5.4) 7 (3.6) 27 (4.8) ウイルス血症 14 (3.8) 15 (7.8) 29 (5.1)
傷害、中毒および処置合併
症 51 (13.7) 35 (18.2) 86 (15.2) 臨床検査 140 (37.5) 65 (33.9) 205 (36.3)
アラニンアミノトラン
スフェラーゼ増加 26 (7.0) 17 (8.9) 43 (7.6)
アスパラギン酸アミノ
トラ ンスフェ ラーゼ 増 加
21 (5.6) 13 (6.8) 34 (6.0) 血中クレアチニン増加 38 (10.2) 15 (7.8) 53 (9.4) 代謝および栄養障害 143 (38.3) 71 (37.0) 214 (37.9) 食欲減退 40 (10.7) 25 (13.0) 65 (11.5) 高血糖 31 (8.3) 13 (6.8) 44 (7.8) 高カリウム血症 28 (7.5) 4 (2.1) 32 (5.7) 低カリウム血症 23 (6.2) 11 (5.7) 34 (6.0) 低マグネシウム血症 24 (6.4) 15 (7.8) 39 (6.9) 低ナトリウム血症 23 (6.2) 12 (6.3) 35 (6.2)
筋骨格系および結合組織
障害 131 (35.1) 68 (35.4) 199 (35.2) 関節痛 30 (8.0) 10 (5.2) 40 (7.1) 背部痛 24 (6.4) 20 (10.4) 44 (7.8) 筋肉痛 20 (5.4) 4 (2.1) 24 (4.2) 四肢痛 19 (5.1) 15 (7.8) 34 (6.0)
良性、悪性および詳細不明 の新生物(嚢胞およびポ リープを含む)
61 (16.4) 34 (17.7) 95 (16.8) 再発急性骨髄性白血病 23 (6.2) 16 (8.3) 39 (6.9) 神経系障害 149 (39.9) 80 (41.7) 229 (40.5)
2.5 臨床に関する概括評価 - 90 -
表 2.5-12 有害事象発現例数(%)(いずれかの投与群で発現割合5%以上)
移植後24週まで(ASaT)(続き)
Letermovir Placebo Total
n (%) n (%) n (%)
神経系障害 149 (39.9) 80 (41.7) 229 (40.5) 浮動性めまい 29 (7.8) 16 (8.3) 45 (8.0) 頭痛 57 (15.3) 23 (12.0) 80 (14.2) 振戦 28 (7.5) 11 (5.7) 39 (6.9) 精神障害 83 (22.3) 33 (17.2) 116 (20.5) 不安 22 (5.9) 5 (2.6) 27 (4.8) 不眠症 35 (9.4) 11 (5.7) 46 (8.1) 腎および尿路障害 89 (23.9) 55 (28.6) 144 (25.5) 急性腎障害 41 (11.0) 29 (15.1) 70 (12.4)
生殖系および乳房障害 37 (9.9) 16 (8.3) 53 (9.4) 呼吸器、胸郭および縦隔障
害
162 (43.4) 82 (42.7) 244 (43.2) 咳嗽 62 (16.6) 28 (14.6) 90 (15.9) 呼吸困難 33 (8.8) 9 (4.7) 42 (7.4) 鼻出血 24 (6.4) 13 (6.8) 37 (6.5) 口腔咽頭痛 30 (8.0) 19 (9.9) 49 (8.7) 皮膚および皮下組織障害 186 (49.9) 93 (48.4) 279 (49.4) 皮膚乾燥 29 (7.8) 15 (7.8) 44 (7.8) 紅斑 34 (9.1) 12 (6.3) 46 (8.1) そう痒症 28 (7.5) 12 (6.3) 40 (7.1) 発疹 86 (23.1) 48 (25.0) 134 (23.7)
血管障害 78 (20.9) 45 (23.4) 123 (21.8) 高血圧 32 (8.6) 23 (12.0) 55 (9.7) 患者は該当する各行及び列で1回のみ集計した。
器官別大分類及び個々の有害事象は、四捨五入した発現割合がいずれかの群で表題の基準を満たしたもののみ示す。
MedDRA version 19.0 [資料5.3.5.1.3: P001V01]
治療期又は移植後24週までに有害事象発現割合がプラセボ群と比べてレテルモビル群で高く、
数値的に不均衡が認められた主な有害事象(SOC又は PT)は心臓障害(SOC)、耳および迷路障 害(SOC)、霧視、筋肉痛、呼吸困難、高カリウム血症であった[2.7.4.2.1.4.1.1 項]。
一方、治療期にプラセボ群でレテルモビル群より発現割合が高かった有害事象は6種あり、CMV 感染(レテルモビル群:8.3%、プラセボ群:45.8%)、上腹部痛(レテルモビル群:4.0%、プラセ ボ群:8.3%)、胃食道逆流性疾患(レテルモビル群:1.1%、プラセボ群:4.7%)、ミオパチー(レ テルモビル群:0.5%、プラセボ群:2.6%)、脱水(レテルモビル群:0.5%、プラセボ群:2.6%) 及び失神寸前の状態(レテルモビル群:0.3%、プラセボ群:2.1%)であった[2.7.4.2.1.4.1.1 項]。
レテルモビル群で多く発現し、発現割合が不均衡であった有害事象について、レテルモビルと の関連性の有無を検討するため、事後解析でさらに評価した[2.5.5.4.5 項] [2.7.4.2.1.5 項] [[資料