2.5 臨床に関する概括評価
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.3 第Ⅲ相試験の有効性の結果
第Ⅲ相試験(001試験)の結果、移植後24週以内の臨床的に意味のあるCMV感染の予防に関し て、レテルモビルのプラセボに対する優越性が認められ、レテルモビルの高い有効性が示された。
また、レテルモビルの予防投与により、移植後24週以内の生存率もプラセボと比較して改善が示 された。
本項では、001試験に組み入れられた日本人及び非日本人を含めた001試験集団全体(全集団)
の結果を主に示す。日本人集団の有効性は、主要評価項目及び重要な副次評価項目について概要 を記載する。詳細及び日本人集団のその他の有効性の結果は[2.7.6.3.3.3 項]を参照のこと。
2.5.4.3.1 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合(主要評価
項目)
2.5.4.3.1.1 有効性の主要解析
有効性主要評価項目の解析において、レテルモビルはプラセボに対して優越性を示した[表
2.5-4 ]。移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者(予防不成功)の割合は、
レテルモビル群(37.5%)でプラセボ群(60.6%)より低かった(FAS解析対象集団、NC=F アプ ローチ)。CMV感染の高リスクと低リスクの層で調整した群間差は-23.5%(95%CI:-32.5%, -14.6%) で、統計的に有意(片側 P 値:P<0.0001)であった。日本人集団では、移植後24週以内に臨床的 に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合は、レテルモビル群で54.2%(13/24例)、プラセボ 群で50.0%(3/6例)であり、群間差は4.3%(95%CI:-47.6, 56.1)であった[2.7.6.3.3.3.2.2 項]。
2.5 臨床に関する概括評価 - 58 -
表 2.5-4 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合
(FAS、NC=F、全集団)(001試験)
Letermovir Placebo
(N=325) (N=170)
Parameter n (%) n (%)
Proportion of subjects who failed prophylaxis (primary endpoint)
122 (37.5) 103 (60.6)
Reasons for Failures† Clinically significant CMV infection by Week 24‡ 57 (17.5) 71 (41.8) Initiation of PET based on documented CMV viremia 52 (16.0) 68 (40.0) CMV end-organ disease 5 (1.5) 3 (1.8) Discontinued from study before Week 24 56 (17.2) 27 (15.9) Missing outcome in Week 24 visit window 9 (2.8) 5 (2.9) Stratum-adjusted treatment difference (Letermovir-Placebo)§ Difference (95% CI) -23.5 (-32.5, -14.6) p-value <0.0001
† 予防不成功の理由は、記載した順に優先し、各患者をいずれか1つの理由にカウントした。
‡ 臨床的に意味のあるCMV感染は、CMV血症の確認及び患者の臨床状態に基づいた先制治療の開始、又は終末器官にお けるCMV感染症と定義した。
§ 層(高リスク/低リスク)で調整したMantel-Haenszel法(各層の2群の症例数の調和平均で重み付け)を用いて群間差 の95% CI及びP値を算出した。統計学的有意差の判定には片側P値(0.0249以下)を用いた。
脚注:欠測値の取扱い方法として、非完了例=無効例(NC=Fアプローチ)を用いた。NC=Fアプローチでは、移植後24 週の来院までに臨床的に意味のあるCMV感染がみられた又は治験を中止した又は欠測値のあるすべての患者を無効例 に分類した。
N =各投与群の患者数
n (%) =各小分類の患者数(%)
[資料5.3.5.1.3: P001V01]
補足的な解析として、FAS解析対象集団を用いた解析(DAO解析)、PP解析対象集団を用いた 解析(NC=Fアプローチ)、Day 1にCMV DNAが検出された患者を含むARaT解析対象集団を用 いた解析(NC=F アプローチ)を行った結果からも顕著な群間差が示され、主要評価項目で認め られた統計的に有意な結果と一貫していた[2.7.3.2.2.6.1.2 項] [表 2.5-5]。
2.5 臨床に関する概括評価 - 59 -
表 2.5-5 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者(予防不成功)の割合
に関する有効性解析の要約(FAS、全集団)(001試験)
Different Missing Data Approaches Letermovir Placebo Difference†
and Analysis Populations n/N % n/N % Difference (95% CI) p-value
Primary Analysis Non-Completer = Failure (NC=F), FAS population‡ 122/325 37.5 103/170 60.6 -23.5 (-32.5, -14.6) <0.0001 Supportive Analyses Data-as-Observed (DAO), FAS population§ 57/260 21.9 71/138 51.4 -30.7 (-40.3, -21.0) <0.0001 Non-Completer = Failure (NC=F), PP population‡ 107/295 36.3 93/156 59.6 -24.1 (-33.6, -14.7) <0.0001 Non-Completer = Failure (NC=F), All Randomized and
Treated Subjects║
153/373 41.0 123/192 64.1 -23.6 (-31.9, -15.2) <0.0001
† 層(高リスク/低リスク)で調整したMantel-Haenszel法(各層の2群の症例数の調和平均で重み付け)を用いて群間差 の95% CI及びP値を算出した。主要評価項目の主要解析では統計学的有意差の判定に片側P値(0.0249以下)を用いた。
その他の解析では、治験薬投与と効果の関連の強さの指標として、片側P値(多重性の調整なし)を求めた。
‡欠測値の取扱い方法として、非完了例=無効例(NC=Fアプローチ)を用いた。NC=Fアプローチでは、移植後24週の来 院までに臨床的に意味のあるCMV感染を発症した又は治験を中止した又は欠測値のあるすべての患者を無効例に分類 した。
§欠測値の取扱い方法として、Data as Observed(DAO)を用いた。DAO解析では、特定の評価項目に欠測値のある患者 は解析から除外した。
║無作為化割付けされ、投与を受けたすべての患者には、Day 1にCMV DNAが検出された患者を含めた。
N = 解析対象集団の患者数 n = 項目に該当した患者数
FAS =最大の解析対象集団、PP =治験実施計画書に適合した解析対象集団 [資料5.3.5.1.3: P001V01]
2.5.4.3.2 部分集団解析
CMV 感染のリスク分類(高リスク/低リスク、幹細胞源、ドナー不一致の程度、HLA 不適合 移植)、患者背景(年齢、性別、体重、地域、移植日から無作為割付けまでの期間)、移植前処置 レジメン及び併用免疫抑制レジメン(シクロスポリン含有及びタクロリムス含有レジメン)別の 様々な部分集団(FAS 解析対象集団)におけるレテルモビルの予防効果の一貫性について、フォ レストプロットを用いて評価した。これらの部分集団の詳細は[2.7.3.2.2.6.4 項]を参照のこと。
部分集団解析の主な知見を以下に記述する。
• 臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合は、以下のリスク分類に関して、レ テルモビル群でプラセボ群より低かった:CMV感染のリスク因子、幹細胞源、ドナー不一 致の程度及びHLA不適合移植[図 2.5-3]。
• 患者背景別の部分集団では、全体として、プラセボと比較した際のレテルモビルの予防効 果が一貫して示された。臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合は、以下の 患者背景別の各部分集団で、レテルモビル群でプラセボ群より低かった:年齢、性別、体 重、人種(白人vs.非白人及びアジア人vs.非アジア人)、地域(欧州vs.北米及び米国vs.非 米国)並びに移植日から無作為割付けまでの期間(移植後2週以内vs.移植後2週以降)[図
2.5 臨床に関する概括評価 - 60 -
2.5-4]。ほとんどの部分集団では群間差が大きかったが、アジア人患者では差が小さかった。
001試験に組み入れられたアジア人患者が少数であったため、信頼区間の幅は非常に広く、
群間差の95%CIには0が含まれていたものの、依然としてレテルモビルの予防効果を否定す
るものではなかった。なお、アジア人種には日本人患者が最も多く含まれており、レテル モビル群では68.6%(24/35例)、プラセボ群では54.5%(6/11例)が日本人患者であった。日 本人集団の患者数が少ないことから、日本人、非日本人別のフォレストプロットによる評 価は実施しなかった[2.7.3.2.2.6.4.2 項]。日本人集団の有効性の結果及び全集団の結果との 比較については[2.7.6.3.3.3.2 項]を参照のこと。
• 移植前処置レジメン及び併用免疫抑制レジメン(シクロスポリン含有及びタクロリムス含 有レジメン)の分類では、プラセボと比較して、レテルモビルの予防効果が一貫して示さ
れた[図 2.5-5]。
• 剤形別の部分集団解析の結果、十分な期間の投与を行うことにより剤形を問わず予防効果 が得られると考えられた[2.7.3.2.2.6.4.4 項]。レテルモビルの錠剤及び注射剤を投与した際 の曝露量はHSCT患者では差異が認められたものの[2.7.2.3.1.1.2 項]、部分集団解析の結果 より、製剤の違い及び切替えの有無にかかわらず、一貫した有効性が得られることが示唆 された。
2.5 臨床に関する概括評価 - 61 -
[資料5.3.5.1.3: P001V01]
脚注:この図は、移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する群間差(レテル モビル群-プラセボ群)のCMV感染のリスク因子の部分集団別のフォレストプロットである。
図 2.5-3 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する フォレストプロット(リスク因子の部分集団別)(FAS、DAO、全集団)(001試験)
2.5 臨床に関する概括評価 - 62 -
[資料5.3.5.1.3: P001V01]
脚注:この図は、移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する群間差(レテル モビル群-プラセボ群)の患者背景の部分集団別のフォレストプロットである。
図 2.5-4 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する フォレストプロット(患者背景の部分集団別)(FAS、DAO、全集団)(001試験)
-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30
≥2 Weeks (n=82, 47)
< 2 Weeks (n=178, 91)
Days from transplantation to randomization
≥median (75.4 Kg) (n=131, 67)
<median (75.4 Kg) (n=129, 71) Weight
Ex-US (n=172, 85) US (n=88, 53) Region
North America (n=96, 57) Europe (n=134, 72) Region
Non-Asian (n=230, 127) Asian (n=30, 11) Race
Non-white (n=47, 18) White (n=213, 120) Race
White (n=213, 120) Asian (n=30, 11) Race
≥65 (n=34, 26)
< 65 (n=226, 112) Age
≥median (55 years) (n=120, 72)
<median (55 years) (n=140, 66) Age
Female (n=124, 51) Male (n=136, 87) Gender
Overall (N=260, 138)
2.5 臨床に関する概括評価 - 63 -
[資料5.3.5.1.3: P001V01]
脚注:この図は、移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する群間差(レテル モビル群-プラセボ群)の移植前処置レジメン及び併用免疫抑制レジメンの部分集団別のフォレストプロットで ある。
図 2.5-5 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合に関する フォレストプロット(移植前処置レジメン及び併用免疫抑制レジメンの部分集団別)
(FAS、DAO、全集団)(001試験)
2.5.4.3.3 有効性の副次評価項目
本項で記述する001試験の重要な副次評価項目である「移植後14週以内に臨床的に意味のある CMV 感染がみられた患者の割合」[2.5.4.3.3.1 項]及び「移植後24週以内に臨床的に意味のある CMV 感染がみられるまでの期間」[2.5.4.3.3.2 項]は、プラセボと比較して、レテルモビルの十分 な有効性が示された[表 2.5-6 ]。「終末器官におけるCMV感染症を発症した患者の割合」について も本項で記述する[2.5.4.3.3.3 項]。その他の副次評価項目については[2.7.3.2.2.6.2 項]を参照のこと。
有効性の副次評価項目の定義を[2.7.3.2.2.1.1 項]に示す。
2.5 臨床に関する概括評価 - 64 -
表 2.5-6 有効性主要及び副次評価項目の要約(FAS、全集団)(001 試験)
Letermovir Placebo
(N=325) (N=170) Difference†
n % n % Difference(95% CI) p-value
Primary Endpoint Clinically significant CMV infection through Week 24
post-transplant‡ 122 37.5 103 60.6 -23.5 (-32.5, -14.6) <0.0001 Secondary Endpoints Clinically significant CMV infection through Week 14
post-transplant‡ 62 19.1 85 50.0 -31.3 (-39.9, -22.6) <0.0001 CMV End-organ Disease through Week 14
post-transplant§
1 0.4 2 1.4 -1.0 (-3.5, 1.5) 0.2258
CMV End-organ Disease through Week 24
post-transplant§ 5 2.0 3 2.4 -0.4 (-4.0, 3.2) 0.4056 Initiation of PET for documented CMV viremia through
Week 24 post-transplant‡ 119 36.6 101 59.4 -23.3 (-32.3, -14.3) <0.0001 Initiation of PET for documented CMV viremia through
Week 14 post-transplant‡
61 18.8 84 49.4 -31.0 (-39.6, -22.4) <0.0001
† 層(高リスク/低リスク)で調整したMantel-Haenszel法(各層の症例数の調和平均で重み付け)を用いて群間差の95% CI 及びP値を算出した。主要評価項目の主要解析では統計学的有意差の判定に片側P値(0.0249以下)を用いた。その他の 解析では、治験薬投与と効果の関連の強さの指標として、片側P値(多重性の調整なし)を求めた。
‡欠測値の取扱い方法として、非完了例=無効例(NC=F)を用いた。NC=Fを用いた解析では、移植後24週又は14週の来 院までに臨床的に意味のあるCMV感染がみられた又は治験を中止した又は欠測値のあるすべての患者を無効例に分類 した。
§欠測値の取扱い方法として、Data as Observed(DAO)解析を用いた。DAO解析では、特定の評価項目に欠測値のある患 者は解析から除外した。
N = 解析対象集団の患者数 n =項目に該当した患者数 [資料5.3.5.1.3: P001V01]
2.5.4.3.3.1 移植後14週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合
HSCT患者でCMV感染又はCMV感染症のリスクが最も高くなると考えられる移植後14週まで の期間に臨床的に意味のあるCMV感染がみられた患者の割合は、レテルモビル群(19.1%)でプ ラセボ群(50.0%)より低かった(FAS、NC=Fアプローチ)[表 2.5-6]。群間差(95% CI)は-31.3%
(-39.9%, -22.6%)と推定された(片側P値:P<0.0001、多重性の調整なし)。補足的な解析とし て実施したFAS解析対象集団を用いた解析(DAO解析)については[2.7.3.2.2.6.2.1 項]を参照のこ と。また、日本人集団では、レテルモビル群で25.0%(6/24例)、プラセボ群で33.3%(2/6例)で あり、群間差は-7.8%(95%CI:-58.9%, 43.3%)であった(FAS、NC=Fアプローチ)[2.7.6.3.3.3.2.3 項]。
2.5.4.3.3.2 移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染がみられるまでの期間
Kaplan-Meier 法を用いて、FAS 解析対象集団における移植後24週以内に臨床的に意味のある
CMV 感染がみられるまでの期間を投与群別に評価した[図 2.5-6]。移植後24週まで両投与群の Kaplan-Meier曲線は明確に乖離していた。