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研究VI集団描画活動作品に対する教師の印象評定と         児童の学級適応感の分析

4年    6年    4年    6年    男子         女子

第6節  研究VI集団描画活動作品に対する教師の印象評定と         児童の学級適応感の分析

1 目的

 集団描画活動作品に対する小学校教諭の印象評定と児童の学 級適応感の関係を検討する。

2 方法

 まず,集団描画活動前に個々の児童の学級適応感の因子分析を

行う。次に,集団描画活動作品の印象評定に関する質問紙

 (Appendix4参照)を用いて, H大学院に在籍する小学校教諭経験 10年以上の男女9名(男性:6名,女性:3名)が絵の印象評定を行う。

 2つの描画課題で描かれた集団描画活動作品(4,6年生の作品 68枚)を1枚ずつ提示し,印象評定をもとめた後,因子分析を 行う。そして,それぞれの因子の解釈に用いた項目の平均を因子 得点として,「島の共同画」「スクィグルから合同スクリプル」に ついて学級適応感因子得点と教師の印象評定の評定値の因子得 点の相関について検討する。

3 結果・考察

 1)集団描画活動前の児童の学級適応感の因子分析

  学級適応感に関する質問紙の評定値を因子分析(主成分分  析・プロマックス回転)し,教育環境適応尺度(小泉,1984)に  基づき,3因子解にした。それぞれの因子を解釈するにあたり,

 1つの因子に対する負荷量が0.5以上で他の因子への負荷量の絶  対値との差が0.1以上の項目を採用した(Table3−8参照)。

Table3−8 集団描画活動実施前の学級適応感の因子分析

項目内容 因子1因子2因子3

あなたはクラスの入について不満(気に入らないことが)ありますか,ありませんか あなたは担任の先生に何でも話しかけたりたずねたりしますか,しませんか

あなたのクラスではあなたがなかまにはいりにくいと感じるときがありますかTありませんか あなたは,今している勉強がつまらないと思うときがありましか,ありませんか

あなたは勉強のやり方がわからなくてこまるときがありますか,ありませんか あなたは,近ごろ勉強する気がしないと感じるときがありますか,ありませんか あなたは,クラスに何でも話すことができる友だちがいますか,いませんか あなたは,クラスの人に何でも話しかけることができますか,できませんか

あなたのクラスの人があなたのことをいい子だなあと思っていると感じるときがありますか,ありませんか

.82

.61

.60

.53 一.13

.16 一.09

.oo

A3

一.14 一.17

.23

.39

.83

.71

.09

.20 一.42

一.19

.25

.09 一.14

.05

.13

.79

.72

.51

F1因子との因子間の相関 F2因子との因子間の相関

.12 .20

  .11 因子抽出法=主成分分析

 第1因子は, あなたはクラスの人について不満(気に入らないこ と)がありますか,ありませんか あなたは,担任の先生に何でも 話しかけたりたずねたりしますか,しませんか などの項目からな

り,「学級生活への感情」(α=.57)と命名した。第2因子は あな たは,勉強のやり方がわからなくてこまるときがありますか,あり ませんか あなたは,近ごろ勉強する気がしないと感じるときがあ

りますか,ありませんか の2項目からなり,「学業への関心」(α

=.62(r=.46,p〈.01))と命名した。第3因子は あなたはクラスに 何でも話すことのできる友だちがいますか,いませんか あなたは

クラスの人に何でも話しかけることができますか,できませんか の2項目からなり,「友達との交流」(α=.45(r=.39,p<。01))と命 名した。また,第1因子と第3因子の問に弱い相関が見られた(r=.20,

p〈. 05)o

2)集団描画活動作品に対する教師の印象評定の因子分析

  集団描画活動作品の印象評定に関する質問紙の評定値を因子  分析(主因子法・バリマックス回転)し,固定値の推移を参考にし  て2因子解を採用した。1つの因子に対する負荷量が0,4以上  で同時に他の因子の負荷量とは絶対値で0.2以上の差があるこ  とを基準に因子の解釈を行った(Table3−9参照)。

Table3−9集団描画作品に対する教師の印象評定の因子分析(バリマックス回転後)

項目内容 因子1 因子2

ゆったりとした感じ一はりつめた感じ おだやかな感じ一はげしい感じ のどかな感じ一緊迫した感じ やわらかな感じ一固い感じ 上品変な感じ一下品な感じ 好ましい感じ一いやらしい感じ 美しい一みにくい

明るい感じ一暗い感じ

親しみやすい感じ一親しみにくい感じ 優雅な感じ一がさつな感じ

動的な感じ一静的な感じ

にぎやかな感じ一落ちついた感じ ホットな感じ一クールな感じ

うきうきした感じ一しみじみした感じ ユーモラスな感じ一きまじめな感じ 明朗な感じ一哀調をおびた感じ 晴れやかな感じ一うれいをおびた感じ 好き一きらい

高尚な感じ一俗っぽい感じ

深みのある感じ一うすっぺらな感じ

.93

.92

.90

.90

.90

.84

.82

.79

.78

.78 一.34 一.13

.36

.32

.18

.76

.73

.61

.34

.20

.05

=17

.11

.11

一.Ol

.34

.26

.52

.42

.11

.88

.87

.85

.84

.80

.57

.56

.53

.29

.38

固有値

寄与率(%)

累積寄与率(%)

9.43

47.15 47.15

5.45 27.26 74.41

因子抽出法:主因子法

 第1因子は ゆったりとした感じ一はりつめた感じ おだやか な感じ一はげしい感じ のどかな感じ一緊迫した感じ など10 項目が大きな負荷量を示したことから,「好印象因子」(α=.97)と 解釈した。第2因子は 動的な感じ一静的な感じ にぎやかな感

じ一落ちついた感じ など5項目が大きな負荷量を示したので,

「活動因子」(α=.92)と解釈した。

3)学級適応感因子得点と教師の印象評定因子得点の相関   「島の共同画」「スクィグルから合同スクリプル」の2つの描画  課題は,作業方法に相違があり,児童の巧緻性や好みの活動等  から考え,2つの描画課題別に分析を試みた。

  前述した学級適応感と教師の印象評定におけるそれぞれの因  子の解釈に用いた項目の平均を因子得点として以下の分析に利

 用する。

 (1)「島の共同画」について

   「島の共同画」における学級適応感因子得点と教師の印象評    定因子得点の分析の結果をTable3−10に示す。

Table3−10 「島の共同画」における学級適応感因子得点と        教師の印象評定因子得点の相関(N=34)

学㈱情学業への開ひ 友達との交流好印象因子 活動因子

#mei!iNZIasS

学業への関心   .04 友達との交流   .16 好印象因子   .11 活動因子    .48**

.29

一. 41*

一. 09

.33 t

.04 .26

       t p〈.10 *p〈. 05 **p〈. Ol

 これらの結果から,「学級生活への感情」と「活動因子」は 有意な正の相関がみられた。このことより,学級生活への感 情が肯定的であるグループの作品は,学級に対しての満足感

が高いため,活動的な絵を描いていると教師から受けとめら れていると考えられる。ここから,学級生活への感情と活動 因子に関係があることが認められる(P<.01)。

 また,「学業への関心」と「好印象因子」は有意な負の相関 がみられた。これは,学業への関心が低いグループの作品は,

今回の描画課題に遊びの要素が含まれているため,のびのびと 表現でき,教師からの好印象をもたれる絵を描いていると考え

られる。ここから,学業の関心と好印象因子に関係があるとい

うことが認められる(p〈.05)。

 「友達との交流」と「好印象因子」との間には,相関に有意 な傾向が見られた。ここから,友達との交流のさかんなグル・一一 プの作品は仲間と協力して描画課題に取り組むため,教師が 好印象をもつ絵を描いていると考えられる。ここから,友達 との交流と好印象因子に関係があるという傾向が見られる

(p〈. 10)o

 (2)「スクィグルから合同スクリプル」について

   「スクィグルから合同スクリプル」における学級適応感因子    得点と教師の印象評定因子得点の分析の結果をTable3−11に

   示す。

TabIe3−11「スクィグルから合同スクリプル」における学級適応感因子得点と

       教師の印象評定因子得点の相関(N=34)

瀞の感青学業への関心 友達との交流好印象因子 活動因子

wwwtF.

学業への関心   .05 友達との交流   .16 好印象因子   .11 活動因子    .30†

.29

一. 05

.02

.49**

.15 .22

t p〈.10 *p〈.05 **p〈.O1

 これらの結果から,「学級生活への感情」と「活動因子」との 問には,相関に有意な傾向が見られた。このことより,学級生 活への感情が肯定的であるグループの作品は,学級に対しての 満足感が高いため,活動的な絵を描いていると教師から受けと

められていると考えられる。ここから,学級生活への感情と活 動因子に関係があるという傾向が見られる(pぐ10)。

 また,「友達との交流」と「好印象因子」との間に有意な正の 相関がみられた。このことは,友達との交流のさかんなグルー プの作品は,仲間と協力して描画課題に取り組むため,教師に 好印象をもたれる絵を描いていると教師に受けとめられてい

ると考えられる。ここから,友達との交流と好印象因子に関係 があるということが認められる(pぐ01)。

以上のことから,小学校教諭は,集団で描かれた描画から,描い た児童達の学級適応感をある因子については把握できる可能性が あることを示唆していると考えられる。