4年 6年 4年 6年 男子 女子
第5節 研究V 児童の自由記述によるアンケート分析
1 目的
集団描画活動直後のふり返り表の自由記述より,児童が集団 描画活動をどのように捉えていたのかを明らかにする。
2 方法
H大学院に在i籍する現職教諭5名(男性4名,女性1名,うち 小学校教諭2名)により,児童の自由記述をKJ法的手法により,
学年別に特徴のあるものに注目して,分類,整理する。
3 結果・考察 吟日,グループで絵をかいて感じたこと,思ったことがあったら書いてくださw
ここにあげる言葉は,各カテゴリーの中の特徴的なものであ る。言葉は原文を意味など変えないように配慮した上で,ほぼ 児童の言葉を用いた。
1)4年生の自由記述の分類と考察 (1)グループ活動のよさ
「いっしょに協力してやって楽しかった」
「1人でかくよりグループでかくとおもしろいんだなあと思っ
た」
「みんなといっしょだといろいろなアイディアがうかび上がって
くる」
「みんなと力を合わせてやったからうまくかけた」
「みんなといっしょに絵を描いて,友達と仲良くなれた」
これらの言葉は,グループ活動のよさを表していると思 われる。仲間と共に活動することにより,新しい発想が芽 生え,より上手に描くことができるなどグループ活動の効 果を表していると考えられる。また,その結果として仲間 への親近感も生じていると思わ.れる。
(2)描画時に話し合うことの楽しさ
「みんなで絵をかいて話し合うことによって,絵をかくことが楽 しくなると思う」
「いろいろ意見が合わなかったけれど,みんなでいろいろ決めて かけたので,楽しかった」
これらの言葉は,描画時に仲間と話し合うことの楽しさ を表していると思われる。仲間との意見の相違が生じても,
絵の完成という共通の目標を達成しようとする話し合いが 進められたと考えられ,また,描画時に話し合うことによ
り,描画活動も楽しくなったということも考えられた。
(3)物語を作ることの楽しさ
「物語を作っていたときの方が心がはずんでいた」
「物語を作ることで絵も楽しくなった」
これらの言葉は,描画後の仲間との物語作りの楽しさを 表していると思われる。描画表現ではなく,言語表現とし ての物語を作るほうに楽しさを感じる児童がいたと考えら れる。また,仲間と物語を作ることで描いた絵に対する感 情が肯定的に変化することも示していると思われる。
(4)描画自体の楽しさ
「大きな紙に絵をかいてとても楽しかった」
「いろいろな絵がかけて楽しかった」
「もっと絵をかきたい」
これらの言葉は,描画自体の楽しさを表していると思わ れる。描画課題に遊びの要素を取り入れた投影法を用いた 点や通常の授業で使用しない大きな紙やクレヨンを使用し た点が,描画自体の楽しさを引き出した原因とも考えられ
る。
(5)メンバーによる受容
「みんな私の思っていることをわかってくれた」
この言葉は,描画活動を通しての話し合いの中でメン バーに受容されたことを表していると思われる。仲間に自 分の思いを受容されながら,仲間と共に活動することは,
安心感を生じさせると考えられた。
(6)グループ活動による拘束
「自分の好きなように決めたりしてはいけないと思った」
「自分のかきたいようにかける人とそうでない人がいるから,1 人で小さな紙にかきたい」
「1人がたくさんかいているからグループがえをしたい」
「絵のことを相談すると無視されることがあった」
「けんかをした人もいたけれど楽しかった」
「臨むかっくこともあったけれど少しうれしいこともあった」
これらの言葉は,グループ活動による拘束を表している と思われる。観察の結果からもグループ内の規範を守らな い仲間に対して,他の仲間が不快に感じていたことや,活 動を通してグループ内で対立的な感情が表出し,けんかや 無視といったことが生じていた。しかし,「けんかをした人 もいたけれど楽しかった」「営むかっくこともあったけれど 少しうれしいこともあった」と記述にあるように,仲間に対
して,否定的な行動や感情が生じても,肯定的な感情が消 失するとは言いがたいとも考えられる。以上のことから,
児童はグループ内で,肯定的,否定的感情の両方を抱きな がら活動していると考えられた。
(7)作品への評価
「最終的には自分が思ってもみなかった絵ができた」
「不思議な絵ができた」
「友達がおもしろいものをかいて,おもしろかった」
「他の人も絵が上手だと思った」
「いろいろ工夫していい作品だなあと思った」
これらの言葉は,作品への評価と思われる。出来上がった 描画作品の意外性に対する感想,共に活動した仲間のよさを改
めて認識するなど集団描画活動ゆえの意見と考えられる。
2)6年生の自由記述の分類と考察 (1)グループ活動の楽しさ
「グループで一緒に活動するのが面白かった」
「みんなといろいろ相談しながら描けてとても楽しい」
「グループで絵をかいて楽しかった」
「みんなと協力して1つの絵を完成させたから,グループの人と前 より仲良くなった」
これらの言葉は,グループ活動の楽しさを表していると思 われる。仲間と一緒に活動することを,楽しさとして受けと め,仲間との親近感も生じていると考えられる。
(2)今までにやったことのない図画工作
「今までにやったことがなかったので楽しかった」
「今までにやっていないことをやったので少し考えた」
「久しぶりにクレヨンで絵をかいたのでとても楽しかった」
「いつもの図工は1人ひとりが自分の作品を作っていたから,4人 くらいのグループでやって楽しかった」
これらの言葉は,通常の図画工作の授業とは異なり,今まで で体験したことのない図画工作であったことを示していると 思われる。その異なる点として,描画素材,制作人数につい てあげられていた。その違いを積極的に捉えているものもあ れば,「少し考えた」と記述にあるように多少の戸惑いが生じ
た児童もいることから,今回の活動に対して慎重に受け止め る様子がうかがわれる。
(3)描画に対する意外性の発見
「1本の線からいろいろなものがうかんできた」
「1本の線からこんなおもしろい物語できるとは思わなかった」
これらの言葉は,描画に対する意外性の発見を表している と思われる。特に,なぐり描きであるスクィグルを用いた描 画課題は,『写実期に移行する高学年の6年生にとっては新鮮 であったと考えられる。
(4)展開していく楽しさ
「1人が絵を描いて,また1人が絵を描いて,また1人が絵を描い ていくと個性が重なり合って,おもしろいことができた」
「みんなで少しずつ描いてアイディアを出していろんなふうにか けて楽しかった」
「1つの形から何かをつけたすことで絵の中の世界が広がってい くのが,絵のすばらしいところだと思った」
これらの言葉は,集団で絵を描くことによって,絵が展開し ていく楽しさを示していると思われる。児童は,仲間と一緒 に絵を展開していくことを個性の重なり合いととらえたり,
この活動により絵のすばらしさを見出したとも考えられた。
(5)自由に描くことの楽しさ
「自分達の描きたいことを好きなようにたくさん描けたのでとて
も楽しかった」
「しっかり描くのもいいけれど楽しく描くのもいいと思う」
「意味不明な絵を描いたりして,かなりおもしろかった」
これらの言葉は,自由に描くことの楽しさを表している と思われる。「しっかり描くのもいいけれど楽しく描くの もいい」と記述にあるように技能的なものを過度に要求さ れず,また,教師から評価されないことが自由に描くこと
の楽しさとして生じていると考えられる。
(6)作品に対する自己評価
「みんなと協力して自分としては,いい絵が描けたなあと思った」
「友達とよく相談してとてもいい作品ができた」
「前回よりもうまくできた」
これらの言葉は,児童の作品に対する自己評価を示して いると思われる。いずれも肯定的な評価であり,仲間とと
もに創り上げた作品に対しての満足感がうかがわれる。
(7)グループ活動の難しさ
「少しグルー一一一プを変えたい。同じ人とやりすぎると逆につまらなく なってしまう」
「みんなと描きたいと思ったのに『どうする?』と聞くと,『知ら ない』『わからない』と言われた」
「あまりいい気持ちにならなかった」
これらの言葉は,グループ活動の難しさを示すものと思 われる。6年生の場合,日常の友達関係がグループの活動 に影響を与えることが考えられる。特に,6年生女子の場 合,親密でない子でグループを構成するとグループの機能 が円滑に働かない場合があり,今回は話し合いの減少とい
う形であらわれたと考えられる。
3)両学年の自由記述の分類における類似点と相違点 (1)両学年の自由記述の分類における類似点
a「グループ活動」について
カテゴリ・一一一一に分類をする際に,4年生,6年生を通して,
グループ活動をただ一緒にいることのみをさす「仲間と一緒 にいる活動」と狭くとらえるのか,話し合いを含め,グルー プで行う活動すべてをグループ活動と広くとらえるのか2っ