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bO 470

目﹀〜山6鋤

図3.2.13

460

450

  295      300      305      310      315

  Peak Wavelength of Excitation Band(x)(nm)

再焼成温度を変化させたSrS粉末における励起帯のピーク(x)と発光帯のピー

ク(y)の相関

一67一

びV,,−VS(neutral)が、近接iするV、(double donor)の余剰電子を捕獲[図3−2−14(a)]、または ダブルアクセプタ準位の正孔と価電子帯の電子が置換[図3−244(c)]することにより生ず る。発光は、この電子が図3−2−14(c)に示すような各準位間の励起・緩和過程を経て生じ ていると考えられる。電子は、伝導帯には遷移しないと思われる。なぜなら、もし遷移 すれば、(i)で説明した380nmの発光も同時に観測される可能性があるからである。一方、

V s,複合欠陥は、図3−2−14(b)に示すように様々なV,,の組み合わせが考えられる。欠陥準 位は、このような状態の異なる複合欠陥により変動すると思われる。発光帯と励起帯が 図3−2−13のように変化するのは、これが原因であると考えられる。特に、再焼成温度が 高い場合には、V、,の増加に伴ってVs,複合欠陥が増加し、深い欠陥準位が多く形成され ているものと推察される。

(iii)SrS母体のバンド間励起による480〜526 nmの発光

 この発光は、再焼成温度を900°C以上にした場合に観測される(図3−2−7)。特に、Sr欠 陥が生成されやすい1200℃の再焼成温度にて長時間焼成した場合に、380nmの発光の減 少と共に、長波長側へのシフトと発光強度の増加が観測される(図3−2−11)。また、この長 波長シフトと発光強度の増加とともに、SτSの結晶性は悪くなる。以上より、再焼成時に、

母体内に欠陥、特にSr欠陥が多く生成されることにより、図3−2−15(a)に示すような複合 欠陥、例えばV、,が複合化したVls,、 V!s,とV,が複合化したV s,−V、、またはV、,が3つ以上 複合化したv ,,などが生成され、その複合欠陥が(iii)の発光に関与していると推測され る。これらの複合中心は、欠陥同士の様々な結合の組み合わせが考えられるので、これ に起因する欠陥準位は変動し、それに伴い、発光ピークも変化すると考えられる。

 以上、(i)、(ii)および(ii)の3つの励起一発光過程を説明した。これらの3つの励起一 発光過程は、いずれもSrS母体内の欠陥(SrおよびS欠陥)に起因することがわかった。

また・3つの過程において、SrS母体内に最も多く欠陥が存在しているのは、(i輌i)の場合 であり、続いて(ii)、(i)の順で欠陥が多いと考えられる。逆に、これらの発光を観測する ことにより、SrS母体内の欠陥(SrおよびS欠陥)の存在量の相対的な比較が可能である

と考えられる。

(a) (Vs+e−+e−):double donor

      (Vsr−Vs):neutra1

V,唐秩iVsr−Vsr)  (Vs,+h++h+):double acceptor

(b)

(c)

<電子捕獲>

 C.B.

警………鴇

C.B.

Vs冊i

i<×>v、,

    o◆

●o

Vs,〈×〉

V.B. V.B.     0

<励起・発光過程>

C.B.

VSr−Vs●一一     VSr●〈〉       寧

V.B.

図3−2−14 (a)SrS母体内における様々な欠陥の生成と電子捕獲.(b)V†翫複合欠陥の組み合      わせ.(c)Fセンターの電子捕獲と励起一発光過程.

一69一

(a)

S   Sr

VIrr VIrr−VS

(b)

 C.B.

㌻八八+

  @ S  

c

     ∨

/・ー︑     W

叉八〜…齢

嘉甲⁝°ー申

V.B.

図3・12−15 (a)SrS母体内における複合欠陥の生成.(b)複合欠陥に起因する励起一発光過

程.

3−2−4.まとめ

 本節では、硫化の度合の異なるSrS粉末の作製、ならびにSrS粉末の再焼成を行うこと により、SrS母体自体の物性、特に再焼成温度に対するSrSの結晶性(SrとSの組成比)

と母体自体の発光の変化を調べるとともに、SrS母体自体の励起一発光過程の考察を行っ

た。

 硫化の度合の異なるSrS粉末は、硫化(焼成)の回数と焼成温度を900〜1180°Cと変化 させることにより作製した。この結果、硫化の度合を高くする(硫化の回数の増加、焼成 温度の上昇)ことにより、Sr組成の小さい粉末が得られるとともに、母体からのPL発光 が観測された。一方、SrS粉末を300〜1200℃と変化させて再焼成することにより、 SrS の結晶性と母体内の欠陥(特にSr欠陥)に起因する発光が再焼成温度に依存していること がわかった。再焼成温度が500〜600°Cの場合に、SrSの結晶性が最も良く、かつ母体の 発光が最も弱かった。また、再焼成温度を上昇させることにより、異なる発光帯の出現、

ならびに発光強度の増加が見られ、母体内に点欠陥、特にSr欠陥が多く生成されている 可能性が高いことがわかった。特に、1000℃以上の再焼成により、その傾向は顕著に現 れた。SrS母体からの発光として、次に示す3種類を提案した。

 (i)SrS母体のバンド間励起による380 nmの発光  (ii)297〜31hm励起による455〜502 nmの発光

 (ii)SrS母体のバンド間励起による480〜526 nmの発光

これらの発光は、(i)がSrS母体内に生成された孤立化したSr欠陥、(ii)が母体内のSr欠 陥が関与したFセンター、そして(iiりが母体内の複合欠陥に起因すると考えられる。以 上の結果より、作製時に厳密な焼成温度を設定することにより、SrやS欠陥の生成を抑 制し、かつ、化学量論比を満足するSrS母体を作製することが可能であると考えられる。

一71一

3−3.SrS:Ce粉末蛍光体

3−3−1.序

 SrS:Ce粉末蛍光体は、 SrCO、やSrSO、などを還元(硫化)することにより得られたSrS母 体粉末に付活剤、反応促進剤および電荷補償剤などを混合し、反応性ガスまたは不活性 ガス雰囲気中において焼成することにより作製されるのが一般的である。

 Kellerらは、 SrSに微量のCeとSrSO、(6%)、 NaCl(6%)を添加・混合し、 H、S雰囲気中 にて1100°C、2時間の焼成を行っている。(34°)Yamashitaらは、 SrS粉末に少量のCeF,を 添加し、N、とH、Sの混合ガス雰囲気中において、1000°C、50分の焼成を行っている。倒  参考までに、同じIIa−VIb族化合物であるCaSを母体とした、 CaS:Ce粉末蛍光体の作製 に関するいくつかの報告を記述する。Lehmamらは、 CaSにCe、S、(Ce:0.03%)、 NH、α(Cl

:1%)、そしてSを添加・混合し、ぷガス雰囲気中にて、1200°C、2時間焼成することに よりCaS:Ce,Cl粉末蛍光体を得ている。但41)Pandeyらは、 CaSにCe(NO、)とCaC1,を添加 し、1270K(997°C)で1時間、 H、S雰囲気にて焼成を行っている。 e42)Ogawaらは、 CaS にCe,S,(Ce:0.10r l mol%)、 NH、Cl(2 md%)を添加し、1150°Cで2時間、 H、S雰囲気中で 作製している。(綱

 いずれの場合においても、NaC1やNH、Clなどの反応促進剤を添加して、焼成されてい る。反応促進剤の添加は、結晶粒子の増大や発光中心の付活などに影響を及ぼすだけで なく、添加する化合物の種類や濃度、焼成条件により、粒径などまったく異なった粉末 蛍光体が生成される。醐〜46)本節の3−3−2項および3−3−3項では、このような反応促進剤 用いずに、最も単純な系であるSr、 S、およびCeから構成されるSrS:Ce粉末蛍光体を作 製し、Ce3+発光中心のSrS格子中への活性化を促進させるにはどのような作製条件または 原材料(母体材料)が必要であるのかに関して議論を行う。具体的には、3−3−2項では、単 純な系(Sr, S, Ce)におけるCe3+発光中心のSrS格子中への活性化条件を検討し、3−3−3項 では、その活性化条件下におけるCe・・発光中心のSrS格子中への取り込まれ方をCeの添 加濃度を変化させることにより調べる。また、Ceの最適添加濃度についても検討を行う。

 また、3−3−4項では、Ce3・とSr2・が置換する際に生ずる価数の不一致を解消するために、

電荷補償剤を添加した場合について検討を行う。本論文では、イオン半径の異なる4種 類のアルカリ金属元素を電荷補償剤として用い、それぞれのアルカリ金属を添加した場 合のSrS:Ceの結晶性ならびに発光効率の改善に関して議論を行う。

3−3−2.SrS格子中へのCe3+発光中心の活性化条件

 本項では、単純な系(Sr, S, Ce)で構成されたSrS:Ce粉末蛍光体を作製し、 Ce3÷発光中心 のSrS格子中への活性化条件を検討する。出発材料のSrS母体粉末と焼成温度に着目した。

出発材料のSrS母体粉末として、図3−2−1に基づいて作製したSrとSの組成比の異なる3

種類の粉末[SrS(900°C,1st)、 SτS(1000°C,2nd)およびSrS(1180°C,3rd)]を使用した。これ らのSrS粉末におけるSr、 S組成や不純物濃度、表面SEM(Scanning Electron Microscope)

像、X線回折(XRD:X−ray Diffraction)パターンおよびPL(Photoluminescence)スペクトル はそれぞれ、表3.24、図3−2.2、図3.2.3および図3.2−4に示した通りである。一方、焼 成温度は、900または1200°Cとした。900°Cとは、3.2節で説明したように、固相反応が 活発ではなく、かつ、Sr欠陥の過剰な生成が見られない温度である。これに対して、

1200°Cは、活発な固相反応が生じ、過剰なSr欠陥の生成が予想される温度である。

 SrS:Ce粉末蛍光体の作製方法を説明する。先に示した異なるSr/S組成比を有するSrS 母体粉末にCe、S、粉末(高純度化学、 Purity:3N)とS粉末(フルウチ化学・Purity:6N)を添 加・混合し、盈ガス雰囲気中にて、900または1200℃で2時間の焼成を行った。昇温速 度は20℃/min.とし、自然冷却法により試料を冷却した。 Ceの添加濃度は0.2 mol%に固 定した。

 まず、XRD測定によりSrS:Ce粉末蛍光体の結晶性を調べた。すべての試料において、

SrSのrocksalt構造に起因する回折線のみ観測された。図3−34にSrS(1180°C,3rd)粉末を 出発材料とし、1200℃にて焼成を行ったSrS:Ce粉末蛍光体のXRDパターンの結果を示 す。挿入図には、3種類のSrS出発母体粉末、および作製したSrS:Ce粉末蛍光体におけ る29°付近に見られるSrSの(200)面に起因する回折ピークの半値幅(FWHM:恥ll Width at Half Maximum)を示す。挿入図を見ると、焼成温度が900℃の場合には、いずれの母体 粉末を用いた場合においても、出発母体材料よりも半値幅が広くなり、結晶性が悪くな

.73一