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疑似表面粗さを有した板材の変形挙動

ドキュメント内 Ductile fracture mechanism of metal foil (ページ 107-112)

第3章 延性破壊条件式の金属箔材への適用

4.3 疑似表面粗さの延性破壊挙動に及ぼす影響

4.3.2 疑似表面粗さを有した板材の変形挙動

Fig.4.3.2-3 に変形に伴う疑似表面粗さの高さマップおよび表面形状の変化を示す.また

変形に伴う板厚に対する疑似表面粗さ深さの変化をFig.4.3.4に示す.Fig.4.3.2-3より,疑 似表面粗さにおいて局所的な変形が進行し破断に至っていることがわかる.さらに

Fig.4.3.4からもε=0.25 以降で急激に疑似表面粗さにおける変形が進行し,破断に至った

ことがわかる.

これに対し,疑似表面粗さを有した板材の応力ひずみ線図は Fig.4.3.5 に示すとおりで,

疑似表面粗さによって破断ひずみが低下したことがわかる.

2.4.1節でも述べたように,板材では一様変形限界ひずみεu=ボイド発生時のひずみεv

関係が成り立つ.2.4.1節では,板材と異なった延性破壊挙動を示した箔材において,εu=εv

の関係は成り立たなかったことを述べた.そこで疑似表面粗さを有した板材ではεu=εvの関 係が成り立つのか検討を行った.ボイド発生時のひずみεvの算出方法は2.4.1節に示すとお りで,求めたn,K,ε0値をTable4.3.1に示す.疑似表面粗さを有した板材,疑似表面粗さ を有さない板材および箔材におけるεuv をFig.4.3.6に示す.Fig.4.3.6より疑似表面粗さを いれることによってεuvは低下し,εu=εvの関係から遠ざかっていることがわかる.したが って,疑似表面粗さによってεu=εvの関係は成り立たなくなり,理論上より早い段階で一様 変形限界に至ったといえる.

Fig.4.3.7に疑似表面粗さを有した板材,疑似表面粗さを有さない板材および箔材の破断

面を示す.疑似表面粗さをいれることにより,板材の破断面におけるディンプルの数は少 なくなり,その大きさも小さくなっていることがわかる.さらに箔材の破断面と比較した 場合,双方の破断面が酷似していることがわかる.

以上より,箔材の板厚に対する表面粗さと同程度の疑似表面粗さを板材にいれることに よって,破断時のひずみは低下し,理論上より早い段階で一様変形限界に至った.さらに その破断面は箔材の破断面と酷似していた.疑似表面粗さを有した板材では,疑似表面粗 さにおいて局所的な変形が進行し破断に至ったことから,箔材においても表面あれのある 凹凸で局所的な変形が進行し破断に至ったと示唆される.

Table4.3.1 n,K,ε0 value of C1020-O with scratch

Thickness t/ mm n K ε

0

0.5 0.464 535 0.0120

第4章 金属箔材および板材における表面あれ進展挙 動

Fig.4.3.2 Scratch behavior during deformation for C1020-O with scratch (t=0.5mm) 100

0.0 Height

[μm]

(i)ε=0

200μm

(ii)ε=0.26

200μm

(iii)ε=0.29

(iv)ε=0.31

(iv)ε=0.32 200μm

Simulated surface roughness

200μm

200μm

第4章 金属箔材および板材における表面あれ進展挙 動

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35

Ratio of scratch height to thickness h/t

Strain ε

100

0.0 Height

[μm]

Fig.4.3.3 Surface profiles for C1020-O with scratch(t=0.5mm) -1,000

-800 -600 -400 -200 0 200

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

Height/μm

Position along profile/μm

(iii)ε=0.29 (iv)ε=0.31 (v)ε=0.32 (i)ε=0 (ii)ε=0.26

Scratch

Fig.4.3.4 Change for ratio of scratch height to thickness with deformation 200μm

第4章 金属箔材および板材における表面あれ進展挙 動

Fig.4.3.5 Scratch effect on stress-strain curve

Fig.4.3.6 Scratch effect on ratio of uniform strain to work-hardening exponent 0

50 100 150 200 250 300 350

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45

True stress σt/MPa

True strain εt

No scratch (t=0.05mm)

Scratch (t=0.5mm) No scratch (t=0.5mm)

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20

Ratio of uniform strain to void strain εu/εv

Simulated surface roughness

(t=0.5mm)

No simulated surface roughness

(t=0.5mm)

No simulated surface roughness

(t=0.05mm)

1.00

ε

u

v

第4章 金属箔材および板材における表面あれ進展挙 動

(a)Sheet metal with a scratch (t=0.5mm)

T ensile dir ec tion

10μm

(b)Sheet metal (t=0.5mm)

10μm

T ensile dir ec tion

(c)Metal foil (t=0.05mm)

Fig.4.3.7 Scratch effect on fracture surface

T ensile dir ec tion

10μm

第4章 金属箔材および板材における表面あれ進展挙

ドキュメント内 Ductile fracture mechanism of metal foil (ページ 107-112)