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1.研究対象

・授業内容:私たちの衣生活(「家庭生活」領域の代替)

・時  間:90分(授業:75分+VTR再生:15分)

・対象生徒:本学付属中学校1年3組(男子10名・女子10名)

・学習指導の概要:再生刺激場面と併記して、図3に示す 2.実験方法

渡辺・吉崎らによる先行研究の成果を参考に、本研究の目的に合わせて次の手順で実施した。

1)教室の後方に1台のVTRカメラを据え付け、生徒の視線の方向から教師を中心に授業場 面を収録する。

2)授業終了後、授業者、家庭科担当教諭ら共同研究者3名で予め選定した授業場面の数と同 じ枚数を一つづりにした質問紙を配布し、記入方法を説明する。

3)収録したVTR画面を、選定した各場面の2〜3分前から生徒に視聴させ、その場面で一

時停止する。

4)一時停止した各場面において、生徒が考えたり、思い出したりしていたことを質問紙に記 入させる。

5)質問紙に記入する時間は、一時停止の後3分間とする。

6)質問紙に記入された自己報告を考察する。

.3.質問紙の作成

生徒の学習内容と各自の生活体験がどのように関わっているか、及び生徒の学習活動への興 味・関心や意欲がどのようなものであるかを知るために、図2に示す質問紙を作成した。

       《おたずねします》

1、あなたは,このと.ォ何をしていましたか。

年 組 番 氏名

ぼくは,わたしは,

2.1のことをしながら,何か考えていましたかp

考えていた 考えていない

直接学習していること  学習に関係していること     l       i

どんなことですか。

①自分の家庭生活の出来事  のこと

②家族のこと

③自分の体験してきたこと

④今まで聞いたり.見たり,

 読んだりしたこと

⑤前に学校で学習したこと  その他(

      )

無関係なこと    ・

何を考えていま したか。

どんなことですか。

なぜそう思ったので すか。

i

○をつけたことが具体的に 書ける人は,書いてみよう.

なぜ,回も考えていない のですか.

①内容が難しい。

②よく知っていておもし  ろくない。

③自分に関係ない。

④興味がない。

⑤体調がよくない。

⑥その他(

         〉

L一一一一一nv一.L−s−L一一一一一一一一J

3.この学習でわかったことは何ですか。 わからなかったことは何ですか。

図2 質 問 紙

一35一

 質問紙の作成に当たり、工夫したことは次の2点である。

 まず、授業申に何か考えていたかを問うだけでなく、質問項目2のように「考えていた」の 回答をさらに「直接学習していること」「学習に関係していること」「無関係のこと」に分け た。「学習に関係していること」の内容を、6項目から選択させた理由は、学習活動が刺激と なって生徒の生活体験が呼び覚まされたり、家庭生活に対する関心が深まったりする状態がと

らえられると考えたからである。また、「無関係のこと」の項目を設けた理由は、授業内容を 学校や家庭以外の事象と関連させて思考する生徒がいると考えたからである。

 次に、学習に対する生徒の興味・関心や意欲を把握するために、「考えていない」理由を6 項目から選択させた。その理由は、授業に対して非好意的態度を示す理由を把握することによ

り、生徒の学習意欲を高める授業改善に役立つと考えたからである。

 質問紙の記入方法は、「考えていた」の3選択肢と、「考えていない」の合計、4っの中か ら1っを選ぶ方法で回答を求めた。

4.学習の展開と再生刺激場面の設定

 家庭科の授業は、生徒の衣食住を題材とした内容が中心であり、生徒は各学習場面と各自の 生活体験を相互に関連させながら学習内容を理解し、興味・関心を深めていると考えられる。

 そこで、再生刺激場面は研究目的に合わせて、次のような視点から選定した。

1)家庭科の授業展開の中で、生徒が自分の生活体験を通してイメージしている内容を知るこ  とが可能な場面であること。

2)その場面は生徒が思い出し易く、教師の指導の意図が把握できる場面であること。

図3は、学習指導の概要と設定した再生刺激場面であり、内容は次のとおりである。

1の場面

 1の場面では、人は被服を当然のように着て暮らしているが、「いつの頃から被服を着るよ うになり、人の暮らしがどのように変化したか」.を話し合い、被服の機能を明らかにすること から授業を開始する。次に、被服を着ることによって生じる汚れ、破れ、身体に合わなくなる

ことなどから、洗濯、アイロンかけ、繕い、新調などの仕事を知り、これらが「手入れと保管」

や「被服計画」にかかわる家庭の仕事であることを認識させる。

 そして、一世代前は家庭の衣生活にかかわる仕事の中で「被服を作る」ことは重要であった が、現代は「被服を管理する」ことを中心とした営みに変化していることを知らせる。

 これらを学習し理解させた上で、「自分の家庭ではどのようにしているか」について考えさ

せる。

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ee

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[ 学習ト11碧ミ] [ 学智学舌亜力] 〔 掌習『杓三容】

小豆三学…≡量ここ郵琉!碑フ書こをヨ』寺つ       の

      :       :       コ       :       …       :       …

コ       コ

:・衣生活の始まりと.塒代による虫活の1        ニ

 変化を話し合う。      1        :        ロ

 ・自分の家庭の衣服に関する仕事を考え:

 る.      . 1        …

 自分が着ている衣服の種傾を確かめるl        I

・衣生活は、他の動物にない人間だけが時つ 文化であること。

 1衣服の蹟能  2 暮らしの変化  3仕事と分担

・衣生活に関する仕事は、家庭の仕事と杜会 的Ct5}業化された段事に5}けられること。

      コ      ロ

衣服製作の工程と仕:哨自騰ている衣肱ルーペを蓬k L「てい衣服は鯉鋤齢ど1こ合樋て、醐や

羅露:1宍コ容やナ安多1苛を矢11る:

i i l l

鋭察し布地の彫状を誕し合う。

・古いワイシs・ツの角望体の演示を見る.

・布片を、たて糸とよこ糸に5}解する。

・糸のよりを解いて、繊翻心こする。

織継の特邑を生かして作らhていること。

量身休と動き

2干昂也の腫煩(織物と曲物など)

3織物の伊都 4繊縦の1重煩

      ロ      ロ

      :・繊縦状の物を、糸状にできるか試みる:・繊維から布地が織られ、表服に加工する仕       :L       : 事は、時間と手問と習熟した技能がヨこ可欠

      け      ほ

      1・スピンドルを用いた.原毛の糸紡ぎの1 なこと.

      : 演示を見る。       : 乳作業工樫と岐婿

       ロ

      1・手織り機の幽幽を見る。      1 2 閉業馬蝉と効率       1       :  3家族と仕事分1旦    .     『レ

社会的にの業化して:一・一一・一一・一…一一一t一・一t一…・;・一一一……一…… …一 …憎… 一 一t

      コ      コ

いる:衣生活を考えるい近隣地域の織物産業について見「塒たい衣蟷の進展による、家甦1舌の爽1ヒ。

      コ      コ

      1 ことを話し合う。         ・ 1生活時問の変容

      コ       

      1      : 2家事労働の内容       :      : 3家族同士のかかわり

 お         セセ       コ      ユ

      1・自動隔離を尭明した、豊田佐吉の話を;・科学や産業は、人の象族に対する思いやり       1 闇く。      ; が原動力になって時圏してきたこと。

      1      巳

産業として分業化す1

      ロ

る条1牛を紬織図力》ら:

来rtる      1       ●

・布地の表面や繊物モデルと組織図を比1・記.引ヒしたlfl織図は、言葉によるIR明がな        ロ

成して、同じ穫煩の織り方の物を探す。:

       …

くても織り方が理解できること。

自分の衣主1・、活の課題 を矢日る

      コ

。衣服の磁1尺、着用、手入れ、保管が中心1 の衣生活の中で、舶の1糊をノートi に整生する。      l

      o

・各自が、衣服の吸い方、考え方を患い浮べて 客峻的に衣生活がとらえられること。

[再生刺激場面]

 【1の場面】

衣生活に関する仕事の内容 は,家催の仕事と社会的に 分業化した仕事に分けられ ているが,自分の家庭では どうしCいるだろうか。

 【2の場面】

家庭の仕事が,なぜ社会的 に翌翌1し,された仕事に変化 したのだろうか。

 【3の場面】

科学,産業の進展を支える 要因は.どこにあるのだろ

うか。

2の場面

 この場面では、各自が身につけている被服をルーペを使って観察させ、布地には織物と編物 などの種類があり、織物にもワイシャツや制服のブレザーなど、布地はそれぞれ表面の形状に 違いのあることを確かめさせる。

 次に、古いワイシャツを解体する様子を見せることによって「縫目を解くと被服は布切れに なり、その布切れは布地を裁断した物であること」を確認させ、さらに布切れを繊維状にまで 解く作業を生徒たちに体験させる。

 また、「繊維状に解いた物を糸に戻す」ことを試みさせたり、指導者がスピンドルを使って 原毛を紡ぐ作業を見せることにより、紡ぐ、織る、編む、縫う、繕うなど被服の製作や、保管

に必要な仕事の種類や技術を知らせる。その上で、もともと家庭の中にあった仕事が、なぜ、

社会的に分業化された仕事に変わっていったかを考えさせる。

3の場面      

 ここでは、家庭において手間と時間のかかる紡ぐ、織るなどの仕事が社会的に分業化してい く過程を、豊田佐吉を例にあげて説明する。すなわち、家族に対する思いやりの心が原動力と なって、機械を作ったり、改良させたりするなど科学や産業の進展につながったことを理解さ

せる。

 また、「布を織る仕事」が分業化していく手立ての1つとして「組織図」が考案され、世界 共通に使われていることを知らせ、言葉による説明がなくても組織図によって、その布の織り 方が容易に理解できるものであることに気づかせる。

3−3 結果と考察

再生刺激法の自己報告の内容を、研究目的に照らして以下の手順で分類し、考察した。

1.学習内容の類型(カテゴリー)による分析

(1)学習内容の類型化

 生徒の自己報告の内容を考察するために、まず、表1のように、本授業の学習内容(図3参 照)を再整理して、5っのカテゴリーを設定した。

 この中の「a家庭の仕事」「b家族に対する思い」は「家庭生活」領域の学習目標から、「d 生活に必要な技術」「e生活に必要な知識」は技術・家庭科の目標からそれぞれ設定した。ま た、「c生活様式の変化」は、個人の生活様式が多様化する中で、生活様式の変化を学習させ

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