第3章 外国人労働者の社会的排除と生活問題
第2節 生活福祉の視点
1.外国人労働者から定住する生活者へ
外国人労働者をめぐる問題の特質は、第1に、それが労働問題から派生しているという 点であり、第2に、表3−1に外国人集住都市会議会員都市のデータを示したように地域性を ともなった集合的な現象として見られる点である。具体的には、非常に多くの日系ブラジ ル人などが一部地域に集住し、働いているという状況である。第3に、集住化に伴い生じ る生活課題は複合的な構造を持つという点である。これらの点において、労働力の需要サ イドからすれば、かれらは「外国人労働者」としてたち現れるが、かれらは同時に「生活 者」でもある。生活は「人びとがその生命と活力を維持・再生産しようとする営みであり、
そこには人びと自身の生命と活力の維持・再生産の営みとつぎの世代を産み育てるという 生命と活力の世代的な維持・再生産の営みが含まれている」ものである113。
ll1永住者:在留期間は無期限で、法務大臣から永住の許可を受けた者
定住者:在留期間は3年、1年、法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)で、 日本人 の親族、日系人の子、外国人配偶者の連れ子等
1122009年02月03日 中日新聞 朝刊
113古川孝順(2005)r社会福祉原論』(第2版)、誠信書房、p.52
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表3・1外国人集住都市会議会員都市データ
(出典)外国人集住都市会議HP
http:〃homepage2.nifty.com/shujutO8hi/shiryou/shiryou/20080401kalintOshidata・pdf
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そして生活者は「何よりも労働力(労働能h)の所有者として把握さオいるが、[生理的、
人格的、社会的などの多様な生活ニーズと多様な能h(活力)をもら、それゆえにその生 活は、生活者の多様な生活ニーズを充足し、その生命と多様な能ノノを維持再生産する営み
として把握されなけオ/ばならない.のである11・4。
2.気づきの枠組み
図3−3は、生活課題への気づきの視点として、生活課題、コミュニティ、マイノリティ の3つの要素の重なりから論点を示したものである。
図3−3 気づきの枠組み
社会問題(非日常 的課題)から生活 課題(日常的課 題)としての認識 の共有
コンフリクトから生活 課題の共有化を通した 支えあう関係へ
生活福祉の視点
(潜在的課題の日常化へ)
参加の機会と手段が 保障された福祉コミ ュニティ形成へ
生活課題は、課題が当事者以外には認識されにくい。それがとくにマイノリティ(少数 者)に関わることであれば顕在化しにくい。したがってそオユはマジョリティ (多数派)に 共有されにくい課題となる。マイノリティは、必ずしも「社会的弱者」とは限らないが、
少数であるが故に見過ごされる問題も多い。社会的排除という考え方は、これまでに見過 ごされてきた人びとの問題に生じているプロセスにたいして着日していくというところに
つの意義がある。そしてコミュニティは、すでにみたように地域社会という意味だけで はなく人びとが生活の営みのなかで作り出す共同の「場」(kl:会的空間)を意味する。
生活課題、コミュニティ、そしてマイノリティをキーワードに生活福祉という視点から 福祉の地域化における3つの課題を検討したい。
114占川、前掲『社会福祉学』、p.96
具体的にはtt.生活課題とコミュニティとの関係においては、社会的排除という観点から 社会への参画の機会が乏しいという点に着日し、参加の機会とr・段が保障された福祉コミ ュニティ形成への課題、②生活課題とマイノリテ(という関係においては、社会問題とい う観点からマイノリティの抱える独自0)生活課題に着llし、そこに生じている生活課題が 特別な課題なのではなく誰にでも関わるものであるという認識の共有化という課題、③マ
イノリティとコミュニティとの関係においては、生活の営みにおけるコンフリクト(紛争 事態)から生活課題の共有化を通しての支えあう関係の形成が課題となるの、3リである、、
図3−4 生活課題へのボランタリー・セクターの対応と制度化
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新たな生活ニーズへの﹁気づき﹂
新たな生活ニーズへの気づきがボランティア活動を生み出し、その活動を通じてニーズ 充足に向けた対応が行われる。それは先駆的な試みであるが、その試みの意義が社会的に 理解を得たとき福祉の新たな制度として位置づけられていく。このような福祉ボランティ アの活動は、それぞれの気づきに基づく自発的な活動に基礎をおくが、臨床性という特質 をもつ福祉ボランティアの活動ではその活動を持続的なものとしていくことも必要となる。
そこに組織化の課題が生じる。さらに活動を通じた気づきの深まりを社会的に共有してい くために市民運動として展開され、新たな公共を創出することもある。
3.生活福祉とボランティアの位置づけ 多様な生活ニーズ
人びとの日々の生活の営みの中でこんにち生じる生活課題は多様であり、家族、親族、
近隣、友人といったインフォーマル(非制度的)な従i域での相!1:扶助によりそ引らの課題 を解決することは、高齢者への介護支援を考えてみても明らかに困難になってきている。
社会福祉サービスや介護保険などの仕組みはこれらの課題へのフォーマル(制度的)な対 応であるが、さまざまな日々の生活のなかで生じる多様なニーズへの即応は難しい。
図3−5 生活課題への対応とボランタリー・セクター 市場経済領域
、
、
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 社会福祉制度による 活基盤
共同消費生活基盤
i・題、
住宅・医療・教育等)