(出典)今野浩一郎(2006)「欧州における外国人労働者受入れ制度と社会統合を展望する」『欧州 における外国人労働者受入れ制度と社会統合一独・仏・英・伊・蘭5ヵ国比較調査一』独立行政法 人労働政策研究・研修機構、p.2
という報告書の日的と研究枠組みを示している。そこでは外国人労働〜千問題を議論するに あた一)ては、その受入オ1制度のあり方とともに、外国人労働者が労働者である点に注日す ると、彼ら(彼女ら)らが国内雇川にどのような影響を及ぼすのか、彼ら(彼女ら)の失 業問題にどのように対応するのかの検討、さらに彼ら(彼女ら)が生活者である点にVい ての考慮すること、すなわち受入れにあたりては生活基盤をいかに整備するかが巾要にな ろう1と述べている。
彼ら(彼女ら)の滞在期間の長期化、家族との1司居の進展は1彼ら(彼女ら)とともに 彼ら(彼女ら)の配偶者、1/弟の社会統合を促進するために教育、社会福祉、住宅等の社 会基盤をいかに形成するかが重要な政策的な課題になる1としている。そして、1960年代 までに外国人労働者を積極的に受人れてきた欧州先進国が、彼ら(彼女ら)とその家族の 失業と社会統合の問題に苫:労してきたが、それら諸国の政策が新たな段階に人リていると
する。
それは「経済のグローバル化と高齢化を背景にして、技術者等の高度人材、医療従 1堵 等の受人れに積椒的になり、また、外国人労働者の1世、 :川の深刻な失業等を11†景にし て、彼ら(彼女ら)の社会統合を強化する政策を打ち出している1ことである、そこから 示唆を得ようとする調査の枠組みは、この問題の認識にとって参考になる。
「調査のフレームワーク」は図5−1に示されている。それは労働者としての外国人の供給 構造が、当該国の出入国管理とA三留管理に規定されること、外国人労働者の1三要な供給源 に、①永住日的の移民、②難民認定を受けて永住許日∫を得た難L忌、③就労が認めらかてい る非永住の在留資格を取得したその他外国人の3つがあるとする。なお、[欧州では、移民 と難民で入国して就労する外国人が多いことから、ここでは移民と難民を外国人労働者の
i{要な供給源としている」という1・19。
検討にあたっては、これまでの政策の変遷が示される。その概要を整理したのが図5−
2である。労働力不足に対応するために外国人労働者を積極的に受人れてきたドイツ、フ ランス、オランダは1970年代初頭の石油危機を契機にして、就労日的の外国人の受入れを 原則停lllし、外国人労働者をの帰国促進政策に転換している。
119今野浩・郎(2006)「欧列〕における外国人労働者受人れ制度と社会統合を展望て1る」r欧州{二おける外 国人労働者受入れ制度と社会統合一独・仏・英・伊・蘭5ヵ国比較調査 』独、「元行政法人労働政策研究・
研修機構、P2
しかし、各国政府のねらい通りとはならず、工帰国促進をはかりたにもかかわらず、外 国人労働者の国内滞留が長期化した、②外国人労働者の家族呼び寄せが進んだこと、③各 国政府の削減意図とは異なる結果は、外国人労働者の受入れ停lllと帰国促進の政策へと帰 結しこと、9定住化が進展し、 二世、 ヨn二が増加したことが新たな問題を生む温床になり 政策変更の一v)の契機になった。
これらの政策に大きな変化が現れ20〔〕0年以降では、』誰を受人引るのか1(受人引対象者 の政策)、「どのように受入れるのか」(出人国・在留管flllO)政策)、[いかに社会に統合する のか」(社会統合政策)のそれぞれの面で政策が変化しているとし、次のような変化があげ
られている。
①外国人労働者の受人れを厳しく規制するという」,[本ノノtt lは維持さ引るが、高度人材の 受入れを拡人する政策がとられていること、②受入れ管理の体llilj整備が進めt 、 A l、効率的、
効果的な対応に向けて行政サービスを統合化する努力が進めらdlていること、 ii3 }社会統合 政策の強化をはかっていること、の3点である150。
2.日本の出入国管理政策
この点においてH本では多様な在留資格で長期滞在し、白らを移住民と認1識する人びと が増加しているにもかかわらずかれらを「移民1として認識した1移民政策1は国家政策
としてはいまだ確立されていない。森廣正は「1980年代以降の国際化時代の到来とともに 生じた外国人労働者問題が、あたかも新しい問題であるかのように意識される背景にりい て、「戦前・戦中に*i Hして戦後U本社会に在留した在日韓国・朝鮮人および中国人の存在 は、一般的には『朝鮮人問題』として特殊化され、外国人労働者・住民として意識される
ことはなか一)た」と指摘する1 1。
日本における外国人労働者に関わる政策は、出人国管理政策を通してこれまで行われて きている。1988年に、労働省が雇用審議会答申にもとつく第6次雇川対策基本計tlillを策定
し、外国人労働者の流人と就労の急増という事態をうけ、外国人労働者問題研究会が1988 年3月に報告誇「今後における外国人労働者受人れの方向」をとりまとめ、5月に外国人 労働者問題調査会が発足し、同年9月に「外国人労働者問題にりいて](中間的整理)、]2
月に最終報告「外国人労働者問題への対応のあり方について1が川された。この報告では
150 1司11、 PP.3−6
1;11森廣IE(2002)r日本における外国人労働者問題の研究動向L『大原社会問題研究所雑1誌』No.528
単純労働者の受人れ拒否、特定の事業1三と特定の外国人労働者の関係を律する制度として の雇川許可制度の導人の棚ヒげをした。この議論の内容が第6次雇川対策基本計画に反映 された。法務省は第6次雇用対策基本計ll}llに基づき、単純労働に従事する外国人の就労は 認めないが、技術・技能者の導入枠は広げる、現行法には限界があること、イ・法就労対策 の強化が求められているという認識に、1/1ち、外国人労働者の単純労働就労は受人れ拒否の 姿勢を堅持するとした152。
出入国管理及び難民認定法の改Illでは、27種の在留資格が新たに設けら専門的・技術的 分野の在留資格の拡大、「研修」の在留資格資格としての独、 fl、「就学」の在留資格の新設 とともに、「日本人の配偶者等」と「定住者1の在留資格が整備され日系2、3川とその配 偶者に広く在留資格が与えられることとになりた。このことが南米の川系人の流人増大を
もたらした。1990年8月に法務省告示で、研修制度を改[llし外国人研修生の受人引が困難 であった中小企業にも研修生受人オ1の途を広げた。1993年4Jlには技能実習制度が倉ll設さ れ、研修を修rした研修生は雇川関係のドで実践的な技術、技能等を習得することができ るようになりた。
このような入管政策を通した外国人受人れ政策が進められるなかで、日系人の集住する 都市が形成されてくる。2001年5月に浜松市で第1回外国人集住都市会議がBH催される。
その設、tll趣旨では「ニューカマーと呼ばれる南米H系人を中心とする外国人巾民が多数居 住する都市の行政並びに地域の国際交流協会等をもって構成し、外国人fi民に関わる施策 や活動状況に関する情報交換を行うなかで、地域で顕在化しっりある様々な問題の解決に 積極的に取り組んでいくことを目的として設 Lするものである。また、外国人住民に係わ る諸課題は広範かリ多岐にわたるとともに、就労、教育、医療、社会保障など、法律や制 度に起因するものも多いことから、必要に応じて首長会議を開催し、国・県及び関係機関 への提言や連携した取り組みを検討していく。こうした諸活動を通して、分権時代の新し い都市間連携を構築し、今後の我が国の諸都市における国際化に必要不P∫欠な外国人什民 との地域共生の確、ン:を目指していく」ことが述べられている。ここにみるように日系外国 人が集住する基礎自治体が国、県などの、{芋記官に制度改革などの提,「をし、制度的な対応 の必要性を訴えることがその大きな課題とされており、設、 Lから工0年近くを経たこんにち においてもこの構図に変化はみられていない。
152清水隆雄(2008)一外IKI人政策の変遷と各種提,■総合調査『人日減少社会の外国人問題』国、 f国会図 書館、「外国人政策関係年表(1945.8−2007.9)/資料・統計」同、1}、森廣lll、前掲、参照。
国の政策をみてみると、1988年5月に内閣 1 ∫房1 1}IJ長官補(内政)をlil{1⊥kとして関係省月
の局長等で構成される会議として 外国人労働者問題関係省庁連絡会1,趨が設置された。
同会議は「我が国の国際化の進展等の観点から外国人労働者の受人れの範囲拡ノくや円滑化 が要請される 方、外国人の不法就労等が社会問題化している現状に鑑み、外国人労働者 の受入れ範囲拡人の是非、拡大する場合その範囲及び受入れ体制の整備等外国人ヴ7働者を 中心とする外国人受入れに関する諸問題を検討する、ことがその設置の日的とさオ1ている。
近年では、2006年6Jjに[『生活者としての外国人』問題への対応にりいて(iii川整理)1 をとりまとめている。2008年秋のlfl二界的な景気後退を受けて2009年lJjに内閣1杓に「定 住外国人施策推進室」が設置され、その業務内容は1定fi外国人施策の推進に必要となる 企画、∪.案及び総合調整に関する事務1とされる。
しかし定住する外国人労働者等に関わる受け人れ政策の体系的な展聞はみられない,次 節では、外国人労働者だけではなく結婚移民者の急速な増加による多文化社会への対応を 迫られている韓国における政策的対応に注日し、国と白治体の政策的関わりにりいて検討
する。