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多文化社会における福祉コミュニティ形成にむけて

第1節  「外国籍移住民」観と多文化福祉社会の位置

1.政策推進の枠組みの構築

 前章で韓国の多文化政策の特徴の一リとして確認をしたように、韓国政府の外1}ミ1人支援 施策において、民間団体のなかには政府施策と一線を画す組織もあるが、民間団体は受委 託関係などを通して、支援施策の実践者として人きな役割を果たしている。H本において も外国人の生活支援に関わる非営利の民間組織は多様な活動を行りている。しかし、日本 においては外国人労働者受入れにりいての体系的な政策はいまだ確、1ノ.されておらず、政策 的な裏づけを持りた支援策はようやく試みらdるようになりてきた段階である。

 韓国では民間組織による支援が先行してきたが、1在韓外国人処遇基本法1が制定された ことにより、受け人れ政策推進のための枠紐みが構築されて、国、地ノノ自治体、民問がそ れぞれに果たす役割が位置づけられてきている。

 前章で見た韓国における多文化社会化の進展にたいする政策的な対応には、先に白井の 指摘のように、行政官庁問での調整が行われていなかったことによる官庁問の政策的恒複 や、縦割り行政による政策の谷間の問題などにたいして「在韓外国人処遇基本法]が制定

されたことにより、統・した政策の施行がii∫能になりたと考えられる。また行政自治部の

「地方自治体 居住外国人地域社会統合支援業務推進指針」が、その推進の背景にある課 題にっいて「大 トの居住外国人が韓国生活への適応過程で,『語疎通の問題、文化の違い、

貧困等の問題による定着の陥路がある」などの認識を示し、1.地方自治体における推進 体制の構築、2.居住外国人への支援基盤の備え、3.外国人の地域社会への適応支援、4.

多文化尊ifttの地域社会の造成の4項日を課題としてあげている。宣が指摘するようにこオ1 までの外国人支援においてそのi−1役であ一ノたNPOやNGOなどの市民団体の役割とは別 に、地方自治体の果たす役割の増人が予想される177。

 韓国の多文化政策の推進にあたっては、地方自治体とNPOなどとの連携が・f t視されて いる。地域で活動しているさまざまな団体とfr政とが、相ll:0ハ た場や特性を認めながら白

^1した関係のもとに、共通する課題の解決や社会的目的の実現に向け、対等なi ∫:場から協 議し、その結果の合意にもとづきながら、サービスの提供など協働の活動を行っていくパ 177宣元錫、前掲、P.9

一トナーシップが構築されvリある。韓国の多文化政策は 地方白治体 居住外匡1人地域 社会統合支援業務推進指針 の一基本方向、では、中央政府が政策方向を示し、白治体は 総合的にサービス提供し、民間の経験とノウハウを活用するとある。そのような関係のあ

り方への是非はおくとして、その政策の背景には、民間組織体の実践の蓄積がありたこと があげられる(表64参照)。

助∴麸馴酬二藁籔銚 南北南州 全一慶慶済

公共機関 宗教団体    102    61S    25

(出所)行政安全部「2008地方自治体 外国住民実態調査」

   表6−1 自治体外国人支援機関・団体の現状

 だがこれらの多文化政策はいま だ緒に )いた段階であり、その政 策評価にりいてはこれからの具体 的な施策の展開をまたなけ才1ばな らない。しかし少なくとも図5−3 で整理しなおした政策推進の枠組 みが構築されており、居住外国人 の生活課題への対応の1リのモデ

ルといえる。

 H本の多文化社会化のもとでの

夕卜lElノ\0)勺ゴ舌支枢…{こ羊)こ(ノ)ようオ£

枠組みの構築が課題となる。

 日本では日系外国人の集住地域 での受け人才1施策は、基礎自治体 であるli∫や町が課題を後追いする

形で対処してきている。NPOや ボランティア団体による支援も韓 lElと同様に行われてはいるがその 活動の財政的な基盤は脆弱なとこ ろが多い、また福祉領域では社会 福祉協議会などの外国人支援に対 する関心はいまだ低い状態にあ る。さらに日本では外国人労働者 への支援の必要性などにたいす る一般住民の認識や関心もいまだ低い。生活の場としての基礎自治体レベルの生活圏にお

ける外国人労働者との共同・生活関係を構築していく過程においては民間レベルでの、外 国人労働者に関わる社会的に認知されていない問題への気づきや、問題を顕在化させる役 割、さらには外国人労働者が自助努力では充足することの困難な生活課1題の解決への取り 組みが重要であることはいうまでもない。

 このような状況の背景としては第4章でみたようにか引らの生活実態の見えにくさにあ る。、「葉の問題信葉の壁)、長時間労働による地域などでの生活時間のボ足が日本人との 交流の機会を持ちにくくし、かれらの抱える生活課題への気づきは限られた人びと、範囲 にとどまっている。外国人労働者への支援、さらには支援の制度化やそのための政策形成 という点では、基盤となる課題認識自体がいまだ不1 分なものにとどまりているといわざ るを得ない現状にある。

 2008年秋のiu:界不況は、外国人労働者の生活基盤をll 〔撃した。こんにちのill,界イV況∪)な かで日系ブラジル人たちが直面したような複合的生活困難を克服していくためには、地域 との関わりを深めながらの福祉コミュニティ形成が求められている。住居を失リたり、] ・ どもたちの教育を断念したりするなど厳しい状況に多くの日系ブラジル人たちが置かれて いる。だがすでにみたようにそのような状況ドにおいて、岐阜県やX濃1川J 支市における市 民による支援活動や、市や県での行政レベルでの支援もみられる。1990年代よりその流入 をみるようになり、増加の途をたどってきた日系ブラジル人たらとのさまざまなコンフ リクトを経るなかでソーシャル・キャピタルの深まりが見られてきたといえるのではない

だろうか。

2.定住化の進展とソーシャル・キャピタルの深化

 図6−1は外国人労働者の「定住化」が進行する中で集住地域住民と基礎自治体の外国人 労働者への認識の視点に関わる枠組みである。縦軸はソーシャル・キャヒタル(=生活福 祉の担い丁としてσ)NPOやポランティア活動実践)の高低に、また横軸は集住地域の基 礎自治体の政策的取り組みの姿勢に着llしている。

 ソーシャル・キャピタルとはパットナムによれば、人々の調和のとれた行動を促進するこ とによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特 徴とされるものizsであり、当該地域に生活する人びとに内面化された価値規範、行動、意識

 Putnam、 Ro、er{.D.日992} Mak}ng Democrac) IYOrk : 〔ilic Trad川ions in Mod(・rn l{aly、 Pr|ncelon118

Univesilts Press(=2001河田潤・訳『哲学づる1量}:1:義一一伝統と改・¥・の市民構造』ITTtH版)、p.167

などと関わるものと考える。ここでは、このソーシャル・キャピタルを外国人労働者への まなざし(労働者観)を探るT:がかりとする。

図 6−1 「外国籍移住民」観と多文化福祉社会の位置 ソーシャル・キャピタル

高い(異質性容認志向が強い)

         一   一 ll. 期滞在/定住型外国人労働

自治体の外国人労働者への取り組み姿勢 ︵経済的イニシアティブ︶

観ビ

   ト

/   、卜、

  コ N   の   − ロロロト

生活者としての外国人労働者観1        1   (意図せざる「定住」者)       (安定「定住」者1外国籍住民)

       t

      z 皿.短期/一時滞在型労働  観

      N. 期/一時滞在型労働者観

(非「定住」者:出稼ぎ型労働者)

低い(同質性志向が強い)

(不安定「定住」者)

 すなわち、外国人労働者に関わってはソーシャル・キャピタルが高い場合にはかからの 存在を、地域の産業=経済を維持していくのに欠かせない労働力とみなすだけではなく、

生活者として位置づけ、逆に低い場合には、その認識はあくまでも労働力としてのそれに とどまると考える。縦軸は、地域住民が、外国人労働者の存在を容認するのか、逆に排除 には及ばなくても同質性を保つことを志向し、地域の安定を図るのか、という社会的な基 盤のあり方に関わるものである。

 横軸では、基礎自治体が経済政策を進めるヒで外国人労働者の受け人れを経済的な側面 に限定することを志向するか(経済的イニシアティブ)、その地域での生活の営みを共にす る住民としてみなし、生活者としての外国人労働者とかれらを位置づけるか([共生]イニ シアティブ)に関わる軸である。

 自治体が、外国人労働者をめぐる政策課題を経済的側面に関わる限りでの政策に制限し ている場合にはかれらに関わる生活インフラストラクチャーの整備は限られたものになる。

この制限的な政策志向のもとでは、異質性を容認する志向性が高くてもそこでの外国人労 働者は、長期滞在/定住型外国人労働者(意図せざる「定住」者りとして位置づく (H)。

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