第2章 生徒一人一人を大切にする学級経営
第3節 生徒一人一人を大切にする学級経営の在り方
もから学ぼうとする姿勢を持とうと思うならば、この朝の会・帰りの会こそ、重 視されるべきものであろう。
朝の会・帰りの会は、その両方を合わせても一日約20分程度のものではあるが、
毎日実施されることを考えれば、年間90時間近くになり、それゆえ、これは週1 時間実施される学級活動の時間の三倍近くにもなる。先にも述べたように、朝の 会・帰りの会は、単なる連絡だけに終わりやすいが、その時間を有効に活用する
ことができれば、相当な教育効果が期待できるのである。坂本7は、朝の会・帰り の会の研究・実践に全教師で取り組むことによって、学校の「荒れ」を克服した学 校があることを紹介し、朝の会・帰りの会にはそれだけの値うちと効果があると 主張している。そして、坂本は、朝の会・帰りの会が連絡だけで、子どもに任せ っきりになっていること、また教師が付いている場合でもそれが形式的に進めら れているだけの学校が多いことは、今日の中学校の重大な欠陥であると指摘して いる。では、この欠陥を改善するためにはどうすればよいのか。そのためには、
朝の会・帰りiC 会に対する教師の意識改革が、まず必要であろう。串橋8は、 「二 三(学級活動)の時間が主、短三三(朝の会・帰りの会)が従というのが通常の位置づ
けであるが、これは一種の固定観念である。」(括弧内筆者)と言い、このような 固定観念を打ち破らなければ、朝の会・帰りの会の充実は望めないと主張してい る。既に述べたように、特別活動の指導書等をみても、朝の会・帰りの会の教育 課程上の位置づけは不明確であり、朝の会・帰りの会は単に学級活動の補助的な
ものと捉えられているだけである。そのため教師もそのような意識が強く、朝の 会・帰りの会が軽視されているのである。このような教師の意識を打ち破るため
にも、継続的な指導の場としての朝の会・帰りの会の存在意義を十分に強調する 必要がある。継続的な指導の場としては、学級活動よりもむしろ朝の会・帰りの 会の方が有効であり、重視されるべきものなのである。
1 生徒の意識調査
(1)対象・時期および方法
①対象 長崎県A市立B中学校1年生216人 2年生224人 3年生234人合計674 ②時期 1996年4月第4週
③方法 各学級単位で実施。質問用紙は担任によって配付され、その場で回収さ れた。
(2)結果と考察
生徒がどのような学級を望んでいるのかを調査した結果が図2−1である。これ をみると、全体的には「居場所のある学級」や「いじめのない学級」といった個 の存在に関わるものが多く、また、 「楽しい学級」も多い。しかし、 「けじめの ある学級」や「協力する学級」など集団の在り方に関するものは少ない。このよ うに、生徒たちは、けじめがあり協力する学級よりも、まず安心して生活できる 楽しい学級を望んでいるのである。このような学級を生徒たちが望むのは、彼ら が、新しい学級になって少なからず不安を感じているからであろう。不安な状態 の中では、積極的な活動意欲は出てきにくい。それゆえ、教師は生徒たちに対し て、 「自分にとって居心地の良い学級」を作り上げていくために、諸活動に取り 組んでいく必要があることを十分訴え、生徒の活動意欲を高める必要があろう。
1年
2年
3年
。% 20% 40% 60% 80% 100%
いじめのない 協力する } 峯
楽しい 24
櫛∴…
鷲∴…
馨 懇繋嬉・・
27 20
@ 居場所のある け めの
3・ 1∴∴ 28
23 13 7
29 LII」1
ド 11昂轡PI・IF・1…
:
x1層1=1 L
23
30 11 7; t
る
図2−1 どんな学級になってほしいか(%)
一一@46一
図2−2は、朝の会・帰りの会に対する生徒の意識調査の結果である。この中で、
朝の会・帰りの会に対する否定的な回答のエ)とオ)を合計すると、1年生10%、
2年生24%、3年生47%となり、学年が上がるにつれて、明確に朝の会・帰りの 会に対する意識が低くなっていることがわかる。また、7月掛追加調査をした結 果では、さらに否定的な回答が増えて、1年生15%、2年生24%、3年生52%
になっていた。
O% 20% 40% 60% 80% 100%
1年
2年
3年
…G)連絡 ア)けじめ25
魂禦嶺、…
:驚懲越
19
iiii;iil量,…;、…、
1
j不
12 麟.三三∵
図2−2朝の会・帰りの会に対する生徒の意識 肯定=ア)一日のけじめをつけるために大切 イ)係活動や反省の時間として重要 ウ)協力する学級を作るために必要 否定=エ)出欠確認や予定の連絡だけで十分 オ)朝の会・帰りの会は必要ない
この調査結果をさらに詳しく分析するために、選択肢のア)〜オ)に、それぞれ 5点から1点の点数を与えて各学級の平均点を算出し、その差をt検定した。そ の結果、各学年内における学級得点問にも有意な差がみられた(表2−1、図2−3参 照)。「このことは、教師の朝の会・帰りの会に対する取り組み方によっても、生徒 の意識が変わる可能性があることを示していると考えられる。
表2−1 各学年における学級得点の平均値とその差の検定結果
※最高得点学級(A組)と最低得点学級(B組)のみ
1年
2年 3年
A組(n=37)
B組し(n=37)
A組(n=31)
B組(n二35)
A組(n=31)
B組(n=27)
平均値
3. 91 3. 44 3. 83 3. 20 3. 45 2. 25
SD
O. 88 1. 22
1. 01 1. 21
1. 26
1 .. OO
t検定結果
両側検定:t(72)=1.87,p<0.1
両イ則検定 : t 〈64)=2.34,p〈0.05
両側検定=t(56)=3.50,p〈0.01
一一@47一
4
3. 5
3
2. 5
2
1. 5
1
0. 5
0
3.9 3. 8
3.4 3.2 3.5
2.3
A組 B組 A組 B組 A組 B組
1年 2年 3年
図2−3 学級の平均値
朝の会・帰りの会に対する否定的な回答の理由には、次のようなものがあった。
1年忌
2年生
みんな発表を聞いていないから。
反省の効果がない。無駄。
一一長玄.蓋ゑ9,.
3年生
みんな発表署蘭いて騨ないから。
内容が多すぎる、早く帰りたい。
反省が生かされていない。
月遜は童墜が塗.い.P.…簑.臨_…
みん濯発表を聞いていないか ら。
長い。時間がもったいない。
連絡だけで十分。
無意味。面倒。
これらは理由の主なものであるが、どの学年も「みんな発表を聞いていないか ら。」という理由が最も多かった。このことから、生徒たちの朝の会・帰りの会に 対する参加態度がややいい加減であることがわかる。これを改善する意味でも、
朝の会・帰りの会の重要性、つまり、望ましい学級集団づくりや学級目標達成の ために朝の会・帰りの会が重要であることを教師が生徒に十分訴えかけ、生徒の 参加意識を高めるとともに、「反省が生かされていない」、「内容が多すぎる」など の朝の会・帰りの会の問題点を改善していく工夫が必要である。.
図Z・4は、生徒が教師から大切にされていると感じる場面の調査結果である。
「真剣に教えてもらったとき」を除くと、 「意見を聞いてもらったとき」と「ほ めてもらったとき」が多い。それゆえ、教師はこのような場面を多くつくるよう に心がける必要があるが、その個々の生徒の思いや願いを聞き、意見を取り上げ、
活動などを認め、評価する場として、朝の会・帰りの会は活用される必要がある。
なぜなら、朝の会・帰りの会は毎日実施されるので、時期を逃さず生徒の意見を
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取り上げたり、生徒の活動を評価し、認めることができるからである。
60 50 40 30 20 10 0
53
36
26
21 21
ア) イ) ウ) エ) オ)
※その項目を選択した人数の割合(複数選択)
図2−4教師から大切にされていると感じる場面(%)
ア)真剣に教えてもらったとき イ)意見を聞いてもらったとき ウ)ほめられたとき
エ)叱られたとき オ)話しかけられたとき
2 教師の意識・実態調査
(1)対象・時期および方法
①対象 長崎県A市立B中学校 教師20名(いずれも今年度学級担任をしている)
②時期 1996年4月第4週
③方法 質問用紙は筆者によって配付され、数日後、随時回収された。
(2)結果と考察
学級目標に対する教師の意識はかなり高い。例えば、教師の95.o/・が、学級経営 において学級目標は「非常に重要」、「やや重要」であると答えている(図2−5)。
実態としても、ほとんどの教師が学級目標づくりに2時間以上の授業時間をあて ており、中には5時間かけて学級目標づくりを実施している教師もいた。また、
学級目標づくりの手順も、ほとんどの教師が生徒にアンケートを実施して、それ を基に話し合って決定しており、さらに具体的な下位目標を設定して、目標達成 の評価まで実施していた。.ただ、目標達成の評価時期は学期末が多く、日常的な
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意識付けの点では問題が残る。
どちらと
もいえな やや重要
15%
図2・5 学級目標の重要性 図2・6朝の会・帰りの会の重要性
朝の会・帰りの会についても教師の意識は非常に高かった。学級経営において 朝の会・帰りの会が「重要」であると答えた教師は、全体の85%であり、「やや重 要」と答えた教師も含めると全員が重要であると思っている(図2・6)。次に、教師 は朝の会・帰りの会を、どのような場として重要であると捉えているのか、その 回答の主なものを以下に示す。
・連絡の場 ・活動の場(班、係り) ・一日の反省の場 ・三指の評価の場 ・自治能力育成の場 ・生徒理解の場 ・励ましの場 ・発言訓練の場 ・けじめをつける場
・学級集団づくりの意欲付けの場 ・個々の生徒に存在感を持たせる場 ・コミュニケーションの場(教師と生徒、生徒相互)、ふれあいの場 ・担任の考えを浸透させる場、指導の場
このように、それぞれの教師がいろいろな場として朝の会・帰りの会を捉えてい ることがわかる。
(3)追加調査の結果と考察
上の教師に対するアンケート結果を大学院生7名(いずれも教職経験あり)に検 噛してもらった結果、このB中学校の教師は学級目標や朝の会・帰りの会に対す る意識が他の中学校の教師よりも高いのではないかという指摘を受け、他の中学 校でも調査を実施した。また、他の中学校での調査では新たに調査項目を追加し たので、B中学校でも追加分の項目について調査した。それらの結果について述 べる。この調査の時期及び他の中学校での調査対象は次の通りである。
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