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第1節 実験の目的と方法

1 目 的

  生徒一人一人を大切にする学級経営の具体的な方法として、学級目標づくりの  授業と朝の会・帰りの会での肯定的評価を取り上げ、その実践が学級集団の雰囲  気や生徒個々人の自尊感情にどのような影響を与えるかを検証する。

2 方 法

 (1)被験者

   実験群には、公立B中学校の1年生1学級をあて、統制群には同中学校の1   年生・学級をあてた・ 学繍標つく硬朝の会・帰りの会は・統制しにくい面   があるので、比較する学級を多くとった。被験者の内訳は表3・1に示す通りで

  ある。

       表3・1 被験者の内訳

実験組 i     統制群       合計     i・組

       b組 c組 d組 e組

男子 女子

20

17

2e 20 20 20 20

17 17 17 17 17

120102

合計 3.7

37 37 37 37 37

222

(2)調査時期 1996年4月から7月までの1学期間

(3)調査内容及び手続き  ① 学級雰囲気尺度

  坂本1の使用したSD法による学級雰囲気尺度を参考にして、筆者が作成した  (資料2−1及び表34参照)。坂本は、学級雰囲気の因子を次の4つに分けていた。

  「参加的雰囲気」、「親和的雰囲気」、「男女の協力」、「おとなしさ」

一57一

しかし、各因子の内容項目を見ると、「男女の協力」と「おとなしさ」の因子は、

それぞれ「親和的雰囲気Jと「参加的雰囲気」の因子と重なるものが多く、区別し ない方がよいと判断し、筆者は「親和的雰囲気」と「参加的雰囲気」の2因子 で尺度を作成し、7件法で実施した。実施時期は4月、5月、7月の3回であ る。実施方法は、各学級単位で、各学級担任が質問紙を配布し、その場で回収 する方法をとった。

② 自尊感情尺度

  ローゼンバv一一一グ(Rosenberg,M.)の自尊感情尺度(星野命訳)2を参考にして筆者  が中学生用に作成した(資料2−2参照)。実施の時期及び方法は学級雰囲気尺度  と同じで、5件法で実施した。

③ 実験の内容

 ア)学級目標づくりの授業(資料2−3授業の略案参照)

   学級活動の時間を3時間設定した。

  第1時面目:学級や生徒個々人に対する教師の思いや願い及び学級経営方         針などを語り、学級目標づくりのアンケート(資料2・4 No.1

        参照)を実施する。

  第2時間目:生往一人一人の学級に対する思いや願いなどを十分に受け止         めながらアンケートの集計結果(資料2−4No.2参照)を知らせ         る。その後、班別で学級目標及び下位目標について話し合う         (資料2−4No.3参照)。下位目標については、 「自分にできる         こと」という視点で、具体的なものを考えさせる。

  第3時間目:学級目標及び下位目標を決定し(資料3−6参照)、学級目標達         成へ向けて生徒の活動意欲を高める。

 イ)朝の会・帰りの会

   学級の一日の目標として学級目標の下位目標を取り上げ、朝の会で意欲   付けをし、帰りの会で評価・反省を実施する。評価・反省の際には、肯定   的評価をより多く取り入れる。そのために、班日誌や学級委員の日誌等に   肯定的評価の記入欄を設け(資料2−5参照)、また朝の会・帰りの会のプログ   ラムの中に教師による評価、班員による評価、学級委員による評価の時間   を設定する(資料2−6参照)。そして、発言の際には、必ず肯定的評価をその   中に取り入れるように指導していく。

   既述したように、肯定的評価とは、評価する際に悪い面ではなく良い面   を見つけて評価し、認めることであり、評価対象に対して好意的な視点を

一一@58一

持って評価することである。

第2節 実験の結果

1 学級目標づくりの授業について

 授業後の振り返りで、「自分の手で、居心地の良い学級を作り上げていこうと する気持ち」が「十分高まった」、rやや高まった」と答えた生徒の割合は84%であ

り、また「自分もクラスのために何かできそうだという気持ち」が「十分にでてき た」、「ややでてきたSと答えた生徒の割合は87%であった(図3−1参照)。さらに、

授業後の感想では、「みんなの意見を集めて学級目標を作るのはよい。」、「自分が クラスのためにどんなことをすればよいのかがわかってきた。」、「役に立てるこ とをたくさんしたい。」などの肯定的な感想が多かった(資料3−1参照)。

Q3自分にとって居心地の良い学級を、自分の手で  作り上げようとする気持ちが高まりましたか どちらとも

いえない  16%

十分高まつ

 た4996 il.灘

Q4自分もクラスのために何かできそうだという気     持ちが出てきましたか

どちらとも あまり出て いえない   こない

 跳

図3・1 授業後の振り返り結果

 また、生徒個々人の思いや願いが学級目標に生かされているかを調査した結果 では、実験学級が統制群の5学級よりいずれも高い値を示していた。その差をt 検定した結果、実験群とb組の差は有意傾向(両側検定:t(66)=1.911、p<0.1)で あり、その他の統制学級との差は、有意水準5%で有意であった(図3−2及び資料

3・2参照)

一一@59一

4.5

4. 0 3. 5 3. 0

2.5 2.0 1.5

1. O

O.5 0.o

4.1

@   3・6  3.5  3.5 3.4   3.3

b

 

d

 

図3−2 生徒個人の思いや願いが学級目標に生かされているか    (「生かされている」を最高の5とした5段階評価の平均)

2 朝の会・帰りφ会での肯定的評価について

 学級での評価・反省において、良い面と悪い面のどちらの反省が多いかを調査 した結果が図3−3である(「良い面が多い」を最高の5とした5段階評価)。実験学 級が統制群の5学級よりいずれも高い値を示している。その差をt検定した結果、

すべて有意水準1%以内で有意であった(資料3−3参照)。

 また、実験学級の担任教師に朝の会・帰りの会の自己評価を毎週実施してもら った結果では、各班の反省や学級委員による評価、教師による評価のいずれにも 肯定的評価が取り入れられていた(資料3−4参照)。

4. 5

4.0 3.5

3. 0

2.5

2. O

Ls LO

O.5

0. o

4. 2

3.2   3. 0

2.5 2.5

L8

b

d

 

 

 図3−3 良い面と悪い面の評価の比較

(「良い面が多い」を最高の5とした5段階評価の平均点)

一60一一

3 学級雰囲気について

 学級雰囲気尺度の13項目に対する回答に基づいて、2因子解で因子分析(主成 分分析→バリマックス回転)を行った。その結果が表3−2である。第1因子が親和 的雰囲気であり、第2因子が参加的雰囲気であるが、項目の7、6、4は両方の 因子に負荷量が大きいので採用せずに、各因子5項目で分析することにした。

表362学級雰囲気尺度項目の因子分析結果 ←211)

項目番号

@     項目の内容

 因子負荷量

謔P因子 第2因子 共通性 1楽しい

Q仲がよい R明るい

P2男女の仲がよい

P3一人一人が大切にされている Wけじめがある

P0勉強に熱心 X掃除に熱心

0.74 O.74 O.68

ソ61 ソ60

0.07 O.02 O.00 O.29 O.38  0,67

@0.67

@0.61

X 0.55

@055

0.55 O.60 O.47 O.46

O51

O.47 O.48 O.43 ゥ0.30

O.46

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