本コースで特に特徴的な科目は、「アドバン ス科目」「講究科目」に現れている。すなわち
「共通基礎科目」「コア科目」「拡充科目」履修 による学府・専攻の基本的・共通的な知識、幅 広い知識をベースとして、強力な産学連携の所
産が盛り込まれた「アドバンス科目」「講究科目」
を実施し、前述の「特色」「目標人材像」で述 べたような人材の育成を図っている。
以下は「アドバンス科目」と「講究科目」の 一覧である。開講時期をあわせて示す。(九州 大学は、前学期・後学期制、1コマ90分で各講 義半期10数コマ)
【アドバンス科目】
講義名 単位数 概要(シラバス要約)
先端ICT特論
(1年前期) 2 ICTに関する最新動向・最新技術について各界講師を招いた講義により、
ICTアーキテクトとしてのモチベーション向上や視野の拡大を図る。
将来情報インフラ設計特論
(2年前期) 2 九州大学内のICカードプロジェクトをはじめとする実践的なプロジェ クトの例を用いて、将来必要となる情報基盤の方向性を講義する。
先端情報システム特論
(1年前期) 2 社会を支える大規模システムの最新技術について、開発第一線の講師に よる講義と議論を行う。
大規模システム構築特論
(1年後期) 2 大規模化・複雑化する情報システムの設計開発における理論と技術につ いて講義する。
先端情報社会学特論
(2年前期) 2 情報社会の構造や特性を、技術ならびに経済的側面から講義する。具体 的には、社会構造の変化、知的財産保護、情報セキュリティ、オープン ソースなどについて。
高度ICTリーダー特論
(2年前期)※集中講義 2 企業リーダーやベンチャー社長などを招き、リーダーシップや経営哲学 などを講義・議論する。
情報社会史特論
(1年前期)※集中講義 2 社会におけるICTの位置づけとインパクトについて歴史観点で再認識 し、かつ将来を展望する。
プロジェクト マネジメント特論
(1年前期)
※集中講義
2
一般的なプロジェクトマネジメントにソフトウェアの特徴を付加して、
提示された一組の顧客要件を満たすソフトウェアシステムをプロジェク トプロセスに沿ってチームで開発するプロジェクトマネジメントの仕組 みを学び体験する。
ソフトウェア工学特論
(1年後期) 2 ソフトウェア工学が出現した背景とソフトウェア開発の特質を延べ、開 発上流工程におけるフォーマルメソッドに基づくモデル化や仕様記述に ついて論じる。
組込みシステム特論Ⅰ
(1年前期) 2 組込みシステムにおけるハードウェアを対象に、アーキテクチャ、ハー ドウェア/ソフトウェアコデザイン、省電力化などについて講義する。
組込みシステム特論Ⅱ
(1年後期) 2 組込みシステムにおけるソフトウェアを対象に、開発方法論、アーキテ クチャ、各要素技術などについて講義する。
※上記全て選択科目(必修ではない)。ただし上記より「8単位以上」の取得が必要。
上述の「アドバンス科目」と「講究科目」に ついて、本コースの特徴である下記3つの観点
⑴ 産と学、それぞれの強みを生かした講義
(アドバンス科目)
⑵ PBL
⑶ インターンシップ
が強く現れている科目について示す。
⑴ 産と学、それぞれの強みを生かした講義(ア ドバンス科目)
「アドバンス科目」には本コースの特徴であ る産学連携が色濃く反映されているため、以降、
特徴がよく現れている5つの講義について、平 成21年度を例に講義テーマを示す。
註:1つのテーマに対して、複数コマを割り当 てているものがある。
1) 先端ICT特論…企業派遣非常勤講師によ る実施
表5. 2 先端ICT特論 講義テーマ一覧(平成21年度例)
テーマ名
① 視野を広げよう−技術者も経営の視点を
② 世界ビジネス動向と情報技術動向
③ 産業界における先端ICT活用
④
オープンシステム、SOA、Web2.0、ユビキタス、
Webサービスなどの概要と動向。およびこれ らの技術を活用するための、イノベーティブな 発想のあり方
⑤ Next Market、第三世界のためのITインフラ
⑥ 地球環境とIT
⑦ 企業の社会的責任とコンプライアンス最新事情
⑧ クラウドコンピューティング
【講究科目】
講義名 単位数 概要(シラバス要約)
PBL第一
(1年前期) 4 PBLの導入編。基本的なシステム開発実習を通じて、要求定義・設計・コ ーディング・試験の一連のシステム開発工程やプロジェクト実施に必要な 知識・技術・方法を修得する。
PBL第二
(1年後期) 4 PBLの実践編。与えられた実課題を分析し、学生自らがシステム開発を実 施・運用する。
PBL第三
(2年前期) 2 PBL第一・第二の経験をふまえ、ふりかえりや改善を行いながら、学生自 らがプロジェクトを運営し、成功させる。
組込みシステム 演習
(1年前期) 2 エンベディッドソフトウェアに関して、その開発に必要な基盤技術などを 講述するとともに、実際にエンベディッドシステム(主にソフトウェア)
を開発する。
インターンシップ
(1、2年前、後期)
※実質1年夏季休暇 時
2 長期就業体験をとおして社会の現状を理解することで、自らの能力・適性 の客観評価や将来のキャリアプラン作りにも役立てる。
特別研究
(2年前〜後期) 4 研究項目もしくはプロジェクトで扱った題材に関する研究項目について、
修士論文を作成するか、もしくはチームで取り組んだプロジェクトについ てのプロジェクト成果報告書(プロジェクトレポート)を作成する。
※「インターンシップ」「組込みシステム演習」以外は必修科目。
第2章5 九州大学拠点
2) 将来情報インフラ設計特論…大学教員に よる実施
表5. 3 将来情報インフラ特論 講義テーマ一覧(平成21年度例)
テーマ名
① 社会情報基盤とは?どんな問題があるのか?
② 社会情報基盤への要求
③ 医療への情報技術のかかわり
④ 社会情報基盤への要求を実現する技術と開発事 例
⑤ 発展途上国の社会情報基盤
⑥ 電子マネーと個人ID
⑦ 地域の情報通信基盤
3)先端情報システム特論…企業派遣非常勤講 師による実施
表5. 4 先端情報システム特論 講義テーマ一覧(平成21年度例)
テーマ名
① イノベーションタイプ ITベンチャー「技術を ベースに起業〜エンジニアにとってもう1つの 選択肢〜」
② イノベーションタイプ コンテンツビジネス
「インターネットビジネスの可能性・将来性」
③ プロジェクトXタイプ 国家プロジェクト要素 技術としてのIT 「宇宙開発へのチャレンジ」
④ プロジェクトXタイプ 要素技術としてのIT
「人の命を預かるソフトウェア」
⑤ ミッションクリティカルタイプ 「社会的なイン パクトの大きいソフトウェアの開発と運用」
4)大規模システム構築特論…企業派遣非常勤 講師による実施
表5.5 大規模システム構築特論 講義テーマ一覧(平成21年度例)
テーマ名
① 経営戦略からIT戦略策定、知識経営へ
② 大規模システム構築のマネジメント
③ 大規模システム開発と人間力
④ 大規模システム構築の企画・要件管理
⑤ ソフトウェア設計
⑥ 品質マネジメント
⑦ 大規模システム開発プロジェクトの監査
5) 先端情報社会学特論…企業派遣非常勤講 師による実施
表5. 6 先端情報社会学特論 講義テーマ一覧(平成21年度例)
テーマ名
① 情報社会概論
② 内部統制とリスクマネジメント
③ 知的財産とオープンソース
④ オープンイノベーションと企業戦略
⑤ ICT企業の経営戦略
⑥ ICTとグローバリゼーション
⑵ PBL
企業派遣教員と大学教員が協力しながら
「Real PBL」を実施することが本拠点の最大の 特徴の1つである。
1年前期~2年前期の1.5年間を半年ごとの 3回、スパイラル的に実施することでより強い 教育効果をねらっている。
【実施時期】1年前期、1年後期、2年前期 (各 期実質3ヶ月強の期間)
【平均チーム規模】学生5名程度/グループ
【プロジェクトの進め方】
(Ⅰ)顧客よりRFP提示を受け、プロジェクト 立ち上げ
(Ⅱ)週に最低1回程度のプロジェクト進捗レ ビュー /顧客レビュー(別々にそれぞれ実施)
でフィードバックを受けながら、プロジェク トを遂行
(Ⅲ)プロジェクトの進捗報告はEVM(Earned Value Management)などを用いて報告。ま た、「プロジェクト管理セット」を教材とし て学生に提供しており、これらを適宜用いて、
プロジェクトの管理に適用している。
(Ⅳ)プロジェクト終了後、発表会を実施。発 表に当たっては、プロジェクトの振り返り等 の準備を十分に実施。
【教員側の体制】
大学教員:主に技術側面からの気づきを実施。
プロジェクトごとに2名程度。
企業派遣教員:主にプロジェクトマネジメント 側面からの気づきを実施。1名。
補足:
大学教員のFaculty Development(以下 FD)としてのPBL指導経験強化と教員不 在時(出張等)のレビュー対応の観点から、
プロジェクトマネジメント側面の気づきを 実施する大学教員もプロジェクトごとに1 名配置。
【本拠点の特徴】
・半期ごと3回のスパイラル的なPBL実施で、
入学時の実力不足を無理なく改善し、かつ繰 り返しによる経験の定着を志向
・PBLで体験した各種経験や問題解決体験に対 する振り返りの重視
・CMMIのレベル2を目標
・自律的人材育成をあらゆる場面で引き出す工 夫を教員が実施
【これまでに実施した具体的なテーマ例】
(Ⅰ)クラウドコンピューティング基盤構築 PBL
(Ⅱ)バングラデシュ貧困層支援システム構築
PBL
(Ⅲ)地場企業共同PBL
(Ⅳ)学内ICカードPBL
⑶ インターンシップ
本インターンシップでは、企業現場での経験 を通して、1)実践的なスキルと知識の習得、
2)ヒューマンスキルの強化、3)自らに対す る気づきを得ることによるキャリアへの動機付 け、4)学習意欲の向上、を目的とする。特に 実際のプロジェクトを経験することにより得ら れる様々な気づきを通して、学生自らが将来の キャリアに対する動機付けや自発的な学習意欲 の向上を図ることを重視する。
企業現場での学習や実務経験を通して自ら自 分の足りない部分に気づき、自分でそれを学習 して問題解決能力を高めていく自律的な能力と 主体的行動パターンを身に付ける。
【講師情報】
大学教員:6名、企業側担当者:30名以上
【期間】
平均1ヶ月~2ヶ月間のインターンシップ
【受け入れ企業とテーマ数について】
数十社が提供するテーマ中(複数テーマ提 供の企業も多数)から学生が選択可能(企業 詳細情報は具体的に記述しない)