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燃料消費量の比較

ドキュメント内 航空宇宙工学専攻 博士後期課程 (ページ 100-104)

第 6 章 現在の到着機制御における潜在便益 ____ 81

第 4 節 燃料消費量の比較

1 項 各速度での燃料消費量の比較

図 6-6は3つの飛行条件で水平飛行する航空機の気圧高度に対するCAS,単位時間

当たりの燃料消費量,単位距離当たりの燃料消費量を示している.横軸は気圧高度を 表している.青のL/D MAXは揚抗比最大の速度での飛行,赤のCAS250ktは管制官が レーダーベクターで指示できる最低速度250ktでの飛行,緑のCI40は標準的なCost

Index = 40による巡航飛行を表している.Cost Indexを元に計算される速度は風の影響

を受けるがここでは無風として取り扱う.また,機体はボーイング777としてBADA モデルを使用し,重量は標準重量を使用する.

図 6-6(a)は各高度での較正対気速度(CAS)を表している.CI40は250ktより速く,

揚抗比最大の速度は250ktより遅いことが分かる.CI40のCASが高高度で低下してい るのはこの領域ではMach数で飛行するためである.

図 6-6(b),(c)はそれぞれの速度における単位時間当たりの燃料消費量と単位距離当

たりの燃料消費量を表している.揚抗比最大となる速度は単位時間当たりの燃料量が少 ないが単位距離当たりの燃料消費量は多くなる.速度が速くなるにつれて単位距離当た りの燃料消費量が少なくなることが分かる.これらのことから迂回経路がない場合は速 度が速い方が燃料消費量は少なくなり,管制間隔設定のため到着時刻を遅くする必要が

ある場合は揚抗比最大の速度で飛行することにより燃料消費量は少なくなることが分 かる.

(a)各速度のCAS (b)単位時間当たりの燃料消費量

(c)単位距離当たりの燃料消費量

6-6 各速度での燃料消費量

第2項 全機の燃料消費量の比較

ここではSSRモード Sデータに記録されている始点から ADDUMまで直行する飛 行を仮定し,実際のデータとの比較を行う.終点はADDUMにおけるSTARの制限高

度10,000ft,制限速度230ktとする.ADDUMまでの速度はSSRモードSデータに記録

された飛行時間と同じになるものの中から最適なものを選択する.本解析においては 実際と等しい飛行時間となるように CI を調節して燃料消費量が最小となる軌道を求 める.また,a の上下限値は最適解が得られる範囲とする.早着する場合は ADDUM において最適速度,高度 10,000ft で Holding を実施すると仮定する.これは通常の

Holding実施手順である.次に干渉を評価し,Holding実施時に干渉が発生する場合は

一方のHolding高度を1,000ft加えた値とし高度を変更することで間隔を確保する.こ

の手法は実運航でも行われているものである.

ここでは有効な航空機データを用いて計算を行い,レーダーベクターと Holding 指 示を行ったときの燃料消費量の比較を行う.図 6-7はSSRモードSデータから当日の 航空機の軌跡を表したものである.青は SSR モード S データの軌跡,緑は ADDUM から航空路と直交する方位117°と297°を引いた線であり,Abeam ADDUMと言われて いる.到着時刻は ADDUM 通過時刻とする.レーダーベクターにより ADDUM 上空 を通過しないものはAbeam ADDUM の線を横切った時をADDUM通過として判断す

る.また,東から到着する便に関しては西から東にこの線を横切った時を Abeam

ADDUMとする.図 6-8はSSRモードS データの始点からADDUMに直行する場合

の軌跡を示している.

図 6-9は早着した航空機がADDUMでHoldingした時間を表している.横軸は機体 番号,縦軸はHolding時間を表している.赤線は平均値を表している.表 6-3はHolding の詳細を示している.この表から26機がHoldingを実施し,Holding時間は平均53.17

秒,最大401.02秒,最小3.28秒であった.

図 6-10は燃料削減率を表している.横軸が各機体,縦軸は燃料削減率を表している.

赤線は平均値を表している.表 6-4は燃料消費量の詳細を示している.到着時刻を指定 してもそれぞれの到着時刻に合わせた最適速度で飛行する航空機が増加することから レーダーベクターと比較し全ての航空機で燃料消費量が減少した.平均燃料削減量は

274.43kg,燃料削減率は34.11%であった.最大燃料削減量および率は852.95kg,61.19%

であり,最小燃料削減量および率は5.33kg,0.53%であった.また,標準偏差もHolding を実施した方が小さく,偏りなく燃料が削減できることが分かる.

6-7 SSRモードSデータの航跡 6-8 ADDUM直行の航跡

図 6-9 ADDUMでのHolding時間(ADDUM10,000ft)

表 6-3 Holding時間(ADDUM10,000ft)

平均 最大 最小 Holding実施

Holding時間[s] 53.17 401.02 3.28 26機

図 6-10 燃料削減率(ADDUM10,000ft)

6-4 燃料消費量(ADDUM10,000ft

実際の飛行[kg] Holding[kg] 削減量[kg] 削減率[%]

平均 761.92 487.49 274.43 34.11

標準偏差 412.19 271.35

削減率最大 963.66 374.03 852.95 61.19 削減率最小 996.54 991.22 5.33 0.53

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