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東京国際空港での検証

ドキュメント内 航空宇宙工学専攻 博士後期課程 (ページ 111-117)

この項では第2章第3節で使用した2012年5月9日のCARATS Open dataのうち7:00~

23:00に東京国際空港34Lに着陸した機体を対象とする.始点は合流点から250NMの地点

とする.また,終点は標準計器到着経路の開始点であるADDUMにおいて230kt,10,000ft とする.これはADDUMにおける制限速度および高度である.

式(7.2)の評価関数を用いて,対象となる航空機の到着時刻指定を行わず全て自由に最

適化した場合を考える.最適化に用いるパラメタは以下のように設定する.

𝑎𝑎𝑘𝑘 = 0.5 kg s⁄ ,𝑚𝑚0= 208700 kg

また,第6章と同様にそれぞれの航空機の重量は短距離国内運航を行っている航空機 に合わせるため,BADAモデルに記載されている標準重量の0.9倍として計算する.

次に到着時刻を指定した場合について考える.到着時間間隔を以下のように設定し,

到着時刻の調整を行う.

𝑑𝑑𝑡𝑡𝑡𝑡𝑛𝑛,𝑇𝑇𝑓𝑓𝑠𝑠𝑟𝑟𝑠𝑠𝑟𝑟𝑡𝑡𝑡𝑡𝑜𝑜𝑛𝑛= 90 𝐶𝐶𝑒𝑒𝑠𝑠

また以下の条件で到着時刻指定を行う.

1) ADDUMから250NM以内に入域した機体を監視する.該当機同士の到着時刻が干

渉しないように到着時刻の指定を行う.

2) ADDUMから150NM以内に入域した機体は到着時刻を固定する.150NMに入域し

ていない航空機の到着時刻は到着時刻を固定した先行機体と干渉しないように調 整する.

計算の時間間隔は5分とし,5分ごとに到着時刻指定を行う.

図 7-2はCARATS Open dataに記録されていた機体の軌道を表している.図 7-3は到着

時間間隔を示している.垂直の赤線は必要と思われる管制間隔でここでは90secを表し ている.

図 7-4は到着時刻を指定せずに軌道最適化を行ったものであり,図 7-5は到着時刻間

隔を示している.これらの図から250NMに入域した時点から最短経路を飛行しているが,

到着時刻間隔は確保できていないことが分かる.

図 7-6 は到着時刻の指定を行った場合の軌跡である.図 7-7 は到着時間間隔を表し

ている.これらの図から最適経路は到着時刻を指定しないものと同じながら合流点にお ける時間間隔が保たれていることが分かる.

図 7-8 は潜在便益を到着時刻の指定を行ったときと行わなかった時を重ねて表して

いる.表 7-1は燃料消費量と飛行時間の変化量の平均値を表したものである.表の燃料

消費量および飛行時間は,高度10,000ftの上昇フェーズから積算されたもので飛行デー タと最適軌道の差は,250NM 圏内で最適化を開始したことによるものである.飛行時 間は機体によっては増減があるものの燃料消費量はほとんどの機体で削減された.平均 値は飛行時間についても若干短縮されており,燃料消費量は5%以上削減された.これ らのことから潜在便益の有無は到着時刻指定にはほとんど影響されず,いずれのケース でも大きな潜在便益がある事が分かる.

図 7-9はある1時間の時間履歴を示したものである.横軸は時刻であり縦の破線は指

定時刻を再計算した時刻である.縦軸は指定された到着時刻である.この図から先行機 との間隔が空いた時間を有効に使用するため,到着時刻を遅らせるのみならず早める到 着時刻指定を積極的に使用していることが分かる.

図 7-10 は当初の予定到着時刻と指定された到着時刻の差を表している.図 7-11 は

そのヒストグラムである.これらの図からも全体で同様の到着時刻制御を行っており,

全体として最適な到着管理を行っていることが分かる.

7-2 軌道(飛行データ) 7-3 到着時間間隔(飛行データ)

7-4 軌道(到着時刻指定なし) 7-5 到着時間間隔(到着時刻指定なし)

図 7-6 軌跡(到着時刻指定あり) 図 7-7 到着時間間隔(到着時刻指定あり)

7-8 軌道最適化による潜在便益

7-1 燃料消費量と飛行時間の平均値

飛行データ 最適軌道

(a)到着時刻指定なし (b)到着時刻指定あり (b)-(a) 燃料消費量(kg) 3990 3781 (−208, −5.22%) 3778 (−211, −5.30%) -3

飛行時間(sec) 3728 3676 (−52, −1.39%) 3703 (−25, −0.67%) +27

7-9 ある1時間での時間履歴

図 7-10 予定到着時刻と指定到着時刻の差

図 7-11 予定到着時刻と指定到着時刻の差(ヒストグラム)

4 節 まとめ

この章では4次元軌道運用を想定し,到着する航空機に空港から250NMから150NMの 区間で到着時刻指定を伴う軌道最適化の調整を行い,適切な到着時間間隔の確保と便益 の実現を同時に達成できることを検証した.1日分のデータを解析して分かったことを 以下にまとめる.

・ 到着時刻を指定して軌道最適化を行った場合,最適軌道は到着時刻を指定しない場 合とほとんど同様の便益を得られた.このことから飛行効率の最適化と到着間隔の 設定が同時にできることが分かった.

・ 燃料消費量の差は現状と比較し最適軌道を飛行した到着時刻を指定しない場合,到 着時刻を指定した場合いずれの場合もほとんどの便で燃料消費量を削減すること ができた.平均して5%以上削減可能であり到着時刻を指定しても指定しない場合 と比較して大きな削減率の差はなかった.また,飛行時間も短縮することが可能で あった.

・ 時間履歴から到着時刻間隔を確保するために到着を遅らせる指示だけではなく早 める指示も行っていることが分かった.

ドキュメント内 航空宇宙工学専攻 博士後期課程 (ページ 111-117)