4.3 道路空間の照度と地区特性に関する物理的環境要因を考慮した中心市街地でのひ
4.3.1 照度による視認距離の変化の導入
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4.3 道路空間の照度と地区特性に関する物理的環境要因を考慮した中心市街地
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このような傾向となった理由には,夜間には街灯の有無だけでなく,中心市街地では飲 食店など夜間・深夜営業の店舗が多いため,現場周辺の照度による視認距離の変化が夜間 のひったくり発生に大きな影響を与えていることが考えられる.そこで,前節で作成した 道路一区画のモデルにおいて,定数であった(4.2.1),(4.2.4),(4.2.5)式中の視認距離 L を照 度の関数で与えることとする.その際,モデルの基本構造については,道路一区画のモデ ル式をそのまま用いる.以下にその方法を示す.
視認距離とは,人が他の人や物の特徴を認識できる限界の距離であり,照度によって変 化するが,原理的には照度の影響を受けた犯行企図者や目撃者の視力によって変化するも のである.視認距離と照度の関係を直接表すことは困難であるため,視力と視認距離およ び照度と視力の関係から視認距離と照度の関係を導出することとし,照度,視力,視認距 離をそれぞれr,C(r),L(r)とおく.
まず,視力と視認距離の関係を求める.視力は,目で物体を識別できる能力である.定 義によると視力C(r)は,2個の点または線を分離して見分け得る最少視角θ’(分)の逆数48)で あり,任意の距離 l(m)だけ離れたところから見える2個の点の間隔あるいは線の長さ h(m) を用いて(4.3.1)式のように与えられる3.θ’は視角(分)であり,これを θ(rad)に変換し,C(r) を用いて表すと,(4.3.2)式のようになる.
2 60 tan 2
1 1
' 1
l r h
C
(4.3.1)
lh r
C
tan 2 90 180
60
1
(4.3.2)θ(rad)が微小である場合は,(4.3.3)式のように近似できる.
r L h
≒tan (4.3.3) 定義上,以上の式で与えられる視力とは,距離がl(m)以上離れるか,視認対象物のサイズが h(m)以下になると認識できなくなることを意味する.ここで,認識対象物のサイズを一定と すると,式中の距離lは視認距離L(r)に相当することとなる.よって,視認距離L(r)は(4.3.4) 式のように与えられる.
r C r h
L 60 180
(4.3.4)
3 視力の定義については,1909年の第11回国際眼科学会において,「直径7.5mm,大きさと切れ目の幅が,
おのおの1.5mmのランドルト環の切れ目の所在を,5mの距離から見分けることが出来て,それより遠距
離では見分けることが出来ないか,又は5mの距離からは,それより小さい指標を見分けることが出来な いような視力を,1.0とし,端数は少数で示す.」とされ,これを基準に(4.3.1)式のような定義式が与えられ ている.
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次に,照度と視力の関係については,井上 49)が実験によって求めた値を用いることとす る.図-4.3.2 にその結果を示す.図から視力 C(r)の近似式を最小二乗法で求めたところ,
(4.3.5)式のようになった.
図-4.3.3 照度と視角の関係 図-4.3.2 照度と視力の関係
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r 0 . 161 ln r 0 . 47
C
(4.3.5) この照度と視力の関係と(4.3.2)式を用いて,照度と視角の関係を算出したものが図-4.3.3 である.図-4.3.3から,100 lx以上では視角はほぼ一定であることから,100 lx以上のとき の視認距離を兵庫県加古川署による昼間の視認距離 100m と同じ値とし,(4.3.4)式と(4.3.5) 式から視認対象物のサイズ h(m)を求めると,h=0.024(m)となった.これは日中において,100m先にある直径2.4cm程度のものが認識できることを意味することから,例えば目や口 など人の顔の特徴を認識できると言える.以上より,視認距離L(r)は照度r≧100 lxのとき
100m,照度r<100 lxのとき(4.3.5)式と(4.3.4)式を用いて(4.3.6)式のようになる.よって,本
節では前節の(4.2.1),(4.2.4),(4.2.5)式中の視認距離Lを(4.3.6)式のL(r)で与えることとする.