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まとめ

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 67-71)

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続いて,通学路での児童との遭遇機会と周辺の物理的環境要因が犯罪・不審行為に与え る影響を考慮しながら,任意の場所における犯罪・不審行為の発生しやすさを表現できる ようなモデルを作成した.モデルは児童を対象とした犯罪および不審行為の多くが「犯行 企図者と,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った 場合に遂行される可能性が高くなる」性質を持つ機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周 辺における「ターゲットとの遭遇機会」および「環境要因」が犯行企図者に影響を与える という仮説に基づくものである.

この仮説に従い,先の統計分析での結果と課題点をふまえ,学校からの距離に対する児 童対象の犯罪発生・不審者出没の分布を目的変数とし,通学路周辺での児童との遭遇機会 と物理的環境要因の存在状況を説明変数とするようなモデルを作成した.児童との遭遇機 会については,児童の実際の登下校状況を把握することが困難であったため,全校児童数 と校区内の住宅分布を用いて推計した数値を用いた.また,通学路周辺の物理的環境要因 としては,前節と同様に監視性(静的監視性・動的監視性)にかかるものを取り扱った.動的 監視性に関する要因である交通量については,速度による監視性への影響の違いを考慮し て,歩行者・自転車と自動二輪車・自動車に分けて取り扱った.さらに,これら犯行を左 右する条件の影響範囲を考慮するため,視認距離を導入した.

作成したモデルを実際の小学校区での児童対象の犯罪発生・不審者出没事例に適用した ところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審行為の発生分布を再現 する結果となった.また,モデルの適用によるパラメータ推定より,犯行企図者が犯行を 実施しやすいターゲットとの遭遇頻度,および沿道施設の静的監視性に対する影響度の違 いを表現できた.この結果から,道路空間整備や交通規制,道路網整備によって犯罪や不 審行為を抑制する可能性を示せた.店舗や駐車場などの民有地を操作することは困難だが,

潜在的に危険性の高いエリアを避けるような通学ルート設定や,道路整備や交通規制によ って交通量を増加させ,動的監視性を高めるなどの方法は可能である.

なお,観測値と理論値の誤差が比較的大きい距離帯については,今回考慮した交通量や 静的監視性に関する要因とは別の影響要因が存在することが考えられる.例えば,統計分 析についても言えることだが,歩道の有無などは犯行企図者にとってターゲットとの接触 しやすさに影響を与える可能性がある.実際の犯罪発生・不審者出没地点は歩道のないと ころが多かったため取り扱わなかった経緯があるが,歩道がないことが犯行企図者にとっ て都合のよい条件であったとも考えられるため,考慮すべきであった.それらの要因を特 定し,追加することでモデルの改善が期待される.

今回は小学校区を学校からの距離に応じたエリア単位での犯罪・不審行為の発生しやす さの分布についてモデル化を試みたが,地点単位での分布についてモデル化を行うことで,

監視性に関する物理的環境要因の影響をより詳細に考察することが可能になると予想され る.これについては,より精密なデータ収集が必要とされるため,実現性も含めた検討が 必要である.また,視認距離を一定のものとして扱ったが,特に下校時では照度の変化によって

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視認距離も変化している可能性がある.このため,視認距離と照度の関係を考慮することで,犯 罪・不審者の発生しやすさに時間変化が与える影響を表現することが可能になると考える.

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4 章 路上の物理的環境要因の影響を考慮したひった

くり発生のモデル化

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