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測定に影響を及ぼすその他の要因

第 2 章 爆発物の検出方法

2.3 高感度検出についての検討

2.3.5 測定に影響を及ぼすその他の要因

抗原・抗体の親和性と類似物質・抗体の親和性の大小関係やセンサ表面へ の抗体の非特異的吸着が検出に影響を及ぼすことはこれまで述べた. ここでは その他の要因について述べる. まずSPR センサではセンサグラムの絶対値では なく実験前後のセンサグラムの相対値をセンサ出力とする. そのため実験前の センサグラムの絶対値が安定していない場合はセンサ出力の誤差が大きくなる.

そのためセンサグラムを安定させる必要がある. このセンサグラムの安定性だ が実験中, 徐々に変化して行く場合と表面への抗体溶液の流通, 再生溶液によ る抗体の解離の実験サイクル毎に変化する場合がある. 前者の原因はよくわか っ て い な い が 10wt%の ド デ シ ル ス ル ホ ン 酸 ナ ト リ ウ ム(Sodium Dodecyl

Sulfonate; SDS) を流通させると改善されることがある. 後者の場合は主にラ

ンニングバッファの溶存酸素の影響と再生溶液の影響がある. ランニングバッ ファは水溶液で水は酸素を溶かしやすい性質がある. 溶存酸素はSPR のセンサ グラムにスパイク状の信号となって現れ, 影響を与える. その為, ランニングバ ッファは使用前に 2 時間程度の真空脱気が必要になる他, 実験が 3~4 時間以上 になる際は空気中からの酸素の再溶解を防ぐ手だてが必要になる. 具体的には ランニングバッファの容器を窒素でバブリングするか測定系をすべて窒素雰囲 気中で行う必要がある. また可能ならばオンライン脱気装置などで随時脱気す れば測定が安定すると考えられる. また実験に使用する再生溶液も選定が必要 である. 再生溶液は抗体が抗原のエピトープ部位との結合に使用している静電 的な相互作用を働かなくすることで抗原抗体反応の吸着を解離させる. この方 法として溶液のpHを変えて抗体の電荷状態を変える物(酸や塩基), 高塩強度 で静電相互作用を打ち消す物(塩化ナトリウム, 塩化マグネシウムなど), 界面

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活性剤で静電相互作用や疎水性相互作用を阻害する物(SDS, Tween20など), キ レ ー ト 剤 で 静 電 相 互 作 用 を 阻 害 す る 物 ( エ チ レ ン ジ ア ミ ン 四 酢 酸; ethylenediaminetetraacetic acid; EDTA), 抗体の3次元構造を壊す物(グア ニジン塩酸塩)などがある. 新しい種類のセンサ表面を作製した際は適切な再生 溶液の選定を最初にすべきである. 適切でない場合, 抗体の結合・解離の度に結 合量が減少して行く場合がある.

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2.4 2章のまとめ

この章では爆発物の具体的な検出方法とSPR免疫センサで検出を行う際に センサ表面に求められる性能を検討した. まずSPRセンサでRDXやTNTの分 子を検出するにはこれらの分子量が小さく吸着による誘電率変化が小さいため, 直接検出は難しい. そこでRDX や TNTを抗原としてこれらの類似物質をセン サ表面に固定することでこれら抗体が表面に吸着でき, 抗原分子の濃度によっ てその結合を阻害できる表面を作製した. 具体的な測定方法として間接競合法 と置換法を用いた. 間接競合法は抗体のみの溶液をセンサ表面に流通させた時 に比べて抗体と抗原の混合溶液を流通させた時の方が表面への抗体結合量が低 くなることを用いて測定している. 置換法は表面に抗体を抗原抗体反応で結合 させた後, 流通させる抗原溶液の濃度によって抗体の表面からの解離速度が大 きくなることを用いて測定を行っている. またこれらの方法に関してモデルを 作成してどのような測定条件が高感度検出に適しているかを検討した. その結 果は抗体と低い親和性を持つセンサ表面を作製して低濃度の抗体を用いて測定 を行うことが高感度検出に有利であることが示唆されたが, 実際の測定では誤 差の影響があるのでそれらが低すぎても良くないことも示唆された. また高感 度検出に影響を与える要因として抗体の表面への非特異吸着を抑制することも 重要である.