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第 6 章 本論文のまとめ

6.2 今後の課題と展望

第6章 本論文のまとめ

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の抗体の結合サイトの存在密度を変化させた. これはMESに対してHEMAが モル比で10倍以上混合される領域で混合比を変化させてDNP-hdrzの固定され るMESの濃度を変化させた. MESに対してHEMAの量が大きくなるほど親和 性の低い表面が得られ, その混合比で親和性を制御できた. これらのセンサ表 面を使用して間接競合法にてTNTの検出を試みたが上手くいかなかった. そこ で置換法にて検出を試みたところ最も親和性の低い表面で 0.4 ppb の検出限界 が 得 ら れ た. SI-ATRP を 用 い た ポ リ マ ー 表 面 の 作 製 を 通 し て は

poly-MES-co-DEAEMを用いた時の検出限界が最も低く5.7pptであった. ポリ

マー表面を用いることで高感度検出が実現できた.

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いくことでセンサグラムが減少する. この減少速度から抗原濃度を測定する.

このセンサの測定原理は置換法に近いものになっている. 置換法では使用前に 予め抗体溶液を流通させてセンサ表面に抗体を結合させる必要があるが, この センサでは初めから抗体はセンサ表面に結合しているので, 抗体溶液を流通さ せる必要がなく短時間測定に向いている. この様なセンサを目指す上で必要に なることはセンサ表面, ポリマーA, ポリマーB, ポリマーC が直列に繋がって いる事である. これは表面開始重合とリビングラジカル重合の特徴の一つで異 種ポリマーを直列に接続できる事を利用すれば実現できる. そのため本研究に お い て は SI-ATRP を 選 択 し た. 本 研 究 の poly-MES-co-DEAEM や

poly-MES-co-HEMAはこれらのポリマーの候補として研究した背景がある.

この表面を実現するには課題がある. まずこれらのポリマーにどのような ポリマーが適しているかということである. これは類似物質や抗体を固定する 時にどのような化学反応を選択するかで決定される. すなわちその化学反応で 利用する官能基を持つポリマーである必要がある. 例えばアミンカップリング を利用するならば類似物質とポリマーがアミノ基とカルボキシル基を持ってい る必要がある. 本研究で用いたアミンカップリングのみを使用するのは難しい ことが分かっている. 例えばポリマーAに poly-MES-co-HEMA を採用し MES のカルボキシル基にDNP-hdrzを固定する. 次にポリマーBとしてpoly-HEMA を成長させる. 次にポリマーCとしてpoly-MES-co-HEMAを成長させる. 次に MES のカルボキシル基を NHS/EDC で活性化させ抗体の持つアミノ基と結合 させれば良い様に見えるが, 実際にはポリマーA の未反応カルボキシル基も活 性化され抗体はそちらの方にも結合してしまうため, この表面に抗原溶液を流 通させてもセンサグラムに変化はない. このため例えばポリマーA にアミンカ ップリングを想定したポリマーを選択した場合はポリマーC にはアミンカップ

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リング以外のカップリング反応を想定したポリマーを選ぶ必要がある. この様 にセンサ表面作製に課題がある.

また抗原が来るとセンサグラムが減少するようなセンサ表面を作製できた としても次のような課題がある. 測定後のセンサ表面の再生方法である. 本研 究において再生溶液はNaOH水溶液やNaCl水溶液やグアニジン塩酸塩水溶液 などを用いた. 本研究では抗体は溶液でセンサ表面に供給され, 一度使用され たものは二度と使用されない. しかしこのセンサでは抗体がポリマー上に固定 されているため同じ抗体を何度も使用することになる. そのためタンパク質で ある抗体に対してダメージを与えない再生溶液を選ぶ必要がある. 即ち, グア ニジン塩酸塩の様なタンパク質の三次元構造を壊して抗原抗体反応を起こさな いようにして表面から解離させる様な溶液は使うことが出来ない. この問題が 解決しても今度は初期状態に戻るまでのどの程度の時間が必要かという問題も ある. この様に様々な課題がある.

本研究で用いた抗原類似物質を表面に固定して抗体との相互作用を測定し 抗原濃度を測定するという方法は非常に汎用性が高い方法である. 即ち異なる 抗原に対してもその抗原の類似物質と抗体を用意できれば別の物質でも応用可 能である. 本研究室においてもTNT やRDX 以外にも催涙ガスに使用される唐 辛子由来の辛味成分であるカプサイシンなどがこの手法で測定されている 38). この際に問題になるのが適切な親和性を持った類似物質が見つかり入手可能か どうかである. 抗体が入手可能なことは前提条件とする. モノクローナル抗体 はアミノ基やカルボキシル基などのカップリング反応に使用できる官能基を持 った抗原類似物質を何らかのタンパク質に結合させてそのコンジュゲートを免 疫することで得られる. つまり本研究で使用した TNT抗体も正確には TNT類 似物質を用いて作製した抗体である. そのため抗原よりも抗原類似物質に強く

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結合する抗体も少なくなく, 通常はあまり親和性が高すぎない類似物質を選択 する. しかし抗原によっては実質的に使用可能な類似物質が一つしかない場合 も多く, これがこの手法での物質検出の障害である. しかし本研究で行った類 似物質を変えずにセンサ表面の親和性を制御するということはこの点に関して 大きな利点を持つといえる. 低分子物質の抗体が存在するという事は必ず類似 物質が少なくとも 1 種類は存在するからである. これまでは抗体との親和性が 強すぎて使用でき無かった類似物質も利用できる可能性が高まるため, 本研究 の手法を用いればより広範囲での応用が期待できる.

図 6-1 抗原応答性ポリマー表面

抗原類似物質

抗体 抗原

初期状態

SPR

Time

Sensorgram

ポリマーA:類似物質固定 ポリマーC:抗体固定

ポリマーB:非特異吸着抑制

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謝辞

本研究を進めるにあたり, 始終多大なる御指導を賜りました九州大学大学 院システム情報科学研究院情報エレクトロニクス部門 都甲 潔 主幹教授に 心より感謝申し上げます. また, 本論文の審査にあたり, 様々な御指導と有益な 御助言を賜りました九州大学大学院システム情報科学研究院電機システム工学 部門 圓福 敬二 教授ならびに九州大学大学院システム情報科学研究院I&

Eビジョナリー特別部門 興 雄司 教授に深く感謝申し上げます.

本研究の遂行にあたり, 貴重な御助言や御指導を頂きました九州大学味 覚・嗅覚センサ研究開発センター 小野寺 武 准教授に深く感謝申し上げま す. 博士課程進学にあたり様々な御助言や御支援を頂きました九州大学大学院 システム情報科学研究院情報エレクトロニクス部門 栗焼 久夫 准教授に深 く感謝申し上げます. また分析装置の借用の際に御支援頂いた九州大学大学院 システム情報科学研究院情報エレクトロニクス部門 林 健司 教授ならびに 劉 傳軍 助教に感謝申し上げます. また九州大学大学院システム情報科学研 究院情報エレクトロニクス部門 田原 祐助 助教, テクニカルスタッフの肥 後 良子氏, 千葉 浩子氏をはじめとした都甲・栗焼研の関係者の方々の御支援 に感謝いたします.

参考文献

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