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混合 SAM による親和性制御

第 5 章 表面開始原子移動ラジカル重合を用いた

5.4 MES と DEAEM による混合ポリマー表面

5.4.3 混合 SAM による親和性制御

間接競合法や置換法で物質を検出するにあたってセンサ表面とTNT抗体の 親和性が重要になる. その親和性を制御するために混合SAM を用いた. 一つは

SI-ATRPにおいて反応開始剤になるDTBUを用いた. もう一つは末端にヒドロ

キシル基を持つ11-mercaptoundecanol triethyleneglycol ether (Hydroxyl EG3 undecanethiol; HEg3UT)を用いた. これらの構造を図 5-11 に示す. これらの 試薬を混合しSAMを形成することでSI-ATRPの反応開始点の密度を変化させ ることが出来る. これらをモル比DTBU:HEg3UT=1:10, 1:100, 1:1000, 1:10000,

1:100000で混合し最終的に1 mM (in エタノール)となる様に溶液を調整したう

え で 金 表 面 に SAM を 形 成 し た. こ の 混 合 SAM 表 面 に 対 し て

MES:DEAEM=24:16 のモノマーを用いてpoly-MES-co-DEAEM表面を作製し

た. ATRPの反応時間は300秒と600秒の二つの条件を選択した. この反応時間

でDTBU:HEg3UT=1:0つまりDTBUのみのSAMにSI-ATRPを行った際のポ

第5章 表面開始原子移動ラジカル重合を用いたセンサ表面による TNTの高感度検出

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リ マ ー 膜 厚 は 44 nm と 118 nm で あ っ た. そ し て 混 合 SAM の

poly-MES-co-DEAEM ポリマー鎖に DNP-hdrz を固定した. この表面に 25

ppmのTNT抗体溶液を2分間流通させ抗体の結合量の評価を行った. その結果 を表 5-2 に示す. HEg3UT の割合が高くなるにつれて抗体の結合量が増してい る. これはポリマーの密度が低下し抗体がポリマー内部まで拡散できるように なったため結合量が増した可能性がある. また反応時間は300 秒よりも 600 秒 の方が高い抗体結合量の傾向がある. これはポリマーの鎖が長いため結合サイ トの全体量が多いことが原因と考えられる.

次にこれらの混合 SAM ポリマー表面に対して 200 ppb の TNT 抗体溶液 を6分間流通させ表面と結合させた後に6分間自然解離させてTNT抗体との親 和 性 を 求 め た. 結 合 速 度 定 数(Association Rate Constant), 解 離 速 度 定 数 (Dissociation Rate Constant), および結合定数(Association Constant)の算出 にはBIAevaluation software (version 3.2; GE Healthcare Bio-sciences)を用い,

1:1 (Langmuir) binding のモデルを適用して計算を行った. その結果を表 5-3

に示す. DTBU:HEg3UT混合SAMの混合比と解離速度定数の間に相関がみられ る. HEg3UTの割合が大きくなると解離速度定数は小さくなる. これは先程の抗 体結合量の結果と一致し, 解離速度が小さい条件ほど抗体結合量が大きくなっ ている. この様に ATRPの開始剤である SAM 試薬 DTBU とそうでない SAM 試薬HEg3UTを混合させることで混合SAMを作製し, これを用いてSI-ATRP で表面を作製することで親和性が制御できた. これはポリマー密度を低くする と抗体がポリマー内部まで拡散されやすくなり, 内部に侵入した抗体が表面か ら解離しにくくなるので, 解離速度定数が小さくなった可能性がある.

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図 5-11 DTBUとHEg3UTの構造

表 5-2 混合SAMによるpoly-MES-co-DEAEM表面の抗体結合量 Binding Amount of Anti-TNT Antibody [ R.U. ]

DTBU:HEg3UT=1:x Polymerization Time [ s ]

300 600

10 554.1 819.3

100 1,052.7 848.0

1,000 663.1 971.5

10,000 1,742.8 2,004.0

100,000 1,762.6 2,038.2

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表 5-3 混合SAMポリマー表面と抗体の親和性

DTBU:

HEg3UT

=1:x

Polymerization Time [ s ]

Association Rate Constant Ka [Ms-1]

Dissociation Rate Constant

Kd [s-1]

Association Constant

KA [M]

10 300 1.76E+06 1.02E-03 1.73E+09

10 600 4.32E+05 4.19E-04 1.03E+09

100 300 8.02E+05 1.76E-04 4.56E+09

100 600 9.21E+03 4.16E-04 2.21E+07

1000 300 1.24E+06 4.53E-04 2.74E+09

1000 600 1.07E+04 2.66E-04 4.02E+07

10000 300 1.53E+05 5.02E-05 3.05E+09

10000 600 2.44E+05 6.90E-05 3.54E+09

100000 300 2.81E+05 1.08E-04 2.60E+09

100000 600 4.17E+05 5.32E-05 7.84E+09

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