• 検索結果がありません。

気泡核数密度の空間分布を考慮した

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 133-139)

第5章 気泡核の流動挙動の Lagrange 解析とそれによる

5.3 解析結果

5.3.4 気泡核数密度の空間分布を考慮した

126

127

となる.ここで+ +!,+ +!は液相速度に関する実質微分である.一方,気泡核の半 径変化は本来気相による実質微分に対して,-2 /&− / 3 0 .1と表されるべきである.

よって,気液間スリップがある場合,これにスリップ比222322223&をかけて気泡の半径変 化を液相速度に対する実質微分で表現することにより,次の生成項が得られる.

%& = &

* 1 − 3 42 /&− /

3 52222222222235,789

522222222235&,:; 5.30

ここで2222222223&,:;は気泡核追跡で得られる気泡速度,222222222223,789はキャビテーションを考慮した CFD解析で得られる速度である.また,222222222223,789の代わりに液単相の速度2223を用いること も可能であり,その場合,%&は以下の通り表される.

%&= &

* 1 − 3 42 /&− / 3 < 2223

&

22223 =:; 5.31

一方,式(5.28)および(5.29)より次式が得られる.

& ! + &> $&## − $##? 1 − + &- 1 − &#+ #0 $# = *%& 5.32

定常流の仮定の下,これより直接%&を求めると,次式が得られる.

%&= &

* @ 1 − 1 42 /&− /

3 <1 − + A #

&#B

:;= + 1 − 1 3 A $C##B

:;D 5.33

以下では,式(5.30),(5.31),(5.33)の3通りについてCFD解析を行う.

図 5.19~5.21に気泡核半径50µmのσ=0.9の場合において,それぞれ式(5.30),(5.31)

および(5.33)の各生成項を用いたことによって得られるボイド率分布を示す.また,図

5.22に喉部下壁面上におけるボイド率分布を示す.図5.22においては,

(1) 気泡数密度の空間分布を考慮しない場合 (2) 気泡数密度の空間分布を考慮する場合 の2パターンに,

(i) 式(5.30)を用いた場合 (ii) 式(5.31)を用いた場合 (iii) 式(5.33)を用いた場合

およびスリップを考慮しない場合の,組み合わせを変更した場合の下壁面のボイド率の 結果を示している.図の横軸は,喉部を0とした場合のx座標であり,縦軸はボイド率

128 である.

図5.19および5.20より,(i)および(ii)のキャビテーションモデルを適用した場合,流 路内部のボイド率は,図 5.18(b)の気泡核数密度の空間分布のみ考慮した場合とほぼ同 様の分布となった.一方,図5.21より,(iii)のキャビテーションモデルを適用した場合,

流路内のキャビテーションが生じている領域が最も小さい結果となっていることが分 かる.また,下壁面のボイド率は,(i),(ii),(iii)のキャビテーションモデルを適用した 場合,気泡核数密度の空間分布のみ考慮した場合に比べボイド率の高い領域が小さくな っている.下壁面のボイド率を示した図5.22より,(1)を用いた場合と(2)を用いた場合 の差は小さく,気泡核数密度の空間分布による差異は小さい.(i)および(ii)を適用した場 合,ほぼ同位置から下壁面のボイド率が急上昇しており,図 5.22 より最も下流に位置 していることが分かる.急上昇直後の下壁面のボイド率は,(i)に比べ(ii)を適用した場合 の方がやや小さいことが分かる.(iii)を適用した場合は,下壁面のボイド率が急上昇す る位置が最も上流側に位置しているが,(i)および(ii)を適用した場合に比べ斑があり,下 壁面のボイド率がほぼ1となる領域は最も小さい.これらの結果は,気液間のスリップ の取り入れ方により,キャビティ初生位置および流路内のキャビテーション領域が異な ることを示しており,実際の現象を適切に取り入れることで,均質媒体モデルによるキ ャビテーション初生の予測精度を向上し得ることを示唆している.

本解析においては,球形を仮定した運動方程式により気泡核の追跡を行ったが,実際 の気泡核は,第4章で行った観察から分かるように,気泡核が壁面に近づく過程で変形 し非球形となり,壁面の極近傍を壁面に沿って流れ,喉部下流で気泡核の一部が壁面に 付着してちぎれて,残った一部がシートキャビティに成長する(第 4 章図 4.9,4.10).

また,壁面近傍の低圧部を流れる全ての気泡核がシートキャビテーションを形成するの ではなく,いくつかの気泡核のみがシートキャビテーションの元となる確率論的な現象 である.一方,本解析では,喉部近傍の低圧域を流下する全ての気泡核がそのままシー トキャビティに成長することを想定しており,実際の観察結果と異なる.また,壁面に おける衝突時の気泡の跳ね返りなどの壁面の存在自体を考慮しておらず,壁面近傍の気 泡核数密度の空間分布を得るためには,壁の存在を厳密に考慮する必要がある.

流れが物体表面で層流はく離し再付着する場合,再付着点付近の圧力変動によりシー トキャビテーションが初生し,また,層流はく離しない場合でも,主流の乱れ度が大き く境界層が乱流遷移すると圧力変動によりシートキャビテーション初生の引き金とな ることがある[61].よって,シートキャビテーションの初生では,最低圧力ではなく再 付着点または乱流遷移点の圧力が重要である[85].本解析においては気泡核数密度の空 間分布および気液間スリップ速度に着目したが,これらに加え乱れ度も重要な因子であ ると考えられ,乱流による気泡核に作用する流体力も考慮する必要があると考えられる.

129

5.17 気泡核数密度比

r=50µm

5.18 気泡核数密度の比較(ボイド率分布)

E = 2.4 × 10 m r=50µm

E = 2.4 × 10 r=50µm (a) 気泡核数密度の空間分布を考慮しない場合

(b) 気泡核数密度の空間分布を考慮する場合 Flow

Throat

Bottom wall

130

5.19 ソース項パターン(i)によるボイド率分布

5.20 ソース項パターン(ii)によるボイド率分布

(i) E = 2.4 × 10

(ii) E = 2.4 × 10

E = 2.4 × 10 (iii)

5.21 ソース項パターン(iii)によるボイド率分布

131

5.22 気泡核数密度およびキャビテーションモデルのパターンによる

ボイド率分布の比較

-0.01 0 -0.005 0 0.005 0.01

0.2 0.4 0.6 0.8 1

(1) (2) (2),(i) (2),(ii) (2),(iii) (1),(i) (1),(ii)

x [m]

V o id f ra c ti o n

132

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 133-139)