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キャビテーション様相と揚力の時間変動

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 80-86)

第3章 均質媒体モデルによる翼周りのキャビテーション流れの数値解析

3.3 異なる気泡核数密度を適用した数値解析

3.3.2 キャビテーション様相と揚力の時間変動

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方がキャビティの体積変動も大きいことが分かる.第2章の実験において,迎角8°の 場合は気泡核数密度が小さい方がキャビティの体積変動が大きく,揚力係数の時間変動 の振幅も大きいことを示した.実験では,気泡核数密度によりシートキャビテーション およびバブルキャビテーションと形態が異なるが,気泡流モデルを用いた解析において は気泡群で満たされたシート状のキャビテーションである.また実験では遷移キャビテ ーション振動時における気泡核数密度による比較を行っていたが,解析結果は部分キャ ビティ振動時の結果である.このように比較の条件が実験と解析で異なるため注意を要 するが,本解析のSSモデルを適用した二次元解析結果からは,実験結果と逆の傾向が 見られた.これは,気泡核数密度が大きい場合に比べ,気泡核数密度が小さい場合はキ ャビティ内部のボイド率が小さくなるためであると考えられる.また,気泡核数密度に よらず,キャビティの伸縮に合わせて揚力係数が変動しており,キャビティの体積が大 きくなるときに揚力係数も大きくなり,キャビティ体積が小さくなるときに揚力係数も 小さくなることが図 3.15(a)より分かる.図 3.12 から分かるように,気泡核数密度が小 さい場合に比べ,気泡核数密度が大きい方が,キャビティが翼面を覆う範囲がやや広く,

そのため,揚力係数の振幅が大きくなったと考える.

図 3.15(b)の BD1VF モデルによる二次元解析の気泡核数密度が高い場合の結果では,

SSモデルの解析結果のような約0.1sの周期の変動が見られる.また,時刻0.3sでは図

3.13(a)および図 3.15(b)から分かるようにクラウドキャビテーションが放出されており,

この瞬間にSSモデルの変動に比べ短い周期の揚力の変動が見られる.また,翼面付近 にクラウドキャビテーションが存在していない時刻0.375s~0.4sにかけて短い周期の変 動は見られず,キャビティ体積と揚力係数が小さくなっている.BD1VF モデルによる 二次元解析において気泡核数密度が小さい場合は,気泡核数密度が大きい場合の結果に 比べ短い周期の変動が顕著に見られた.図 3.13(b)および図 3.15(b)ではクラウドキャビ テーションの放出により短い周期の変動が見られるが,キャビティの体積変動は小さく,

気泡核数密度が大きい場合に見られた変動周期が現れなかったと考えられる.

一方,図 3.16 に示す三次元解析の気泡核数密度が高い場合の揚力の変動を見ると,

揚力係数が約 0.2s 毎に変動しているように見えるが,二次元解析に比べ周期的な変動 は見られない.また,三次元解析において気泡核数密度が低い場合には,揚力係数がほ とんど変動していないことが図より分かる.キャビティの体積変動もほとんどなく,そ のため揚力係数もほとんど変動しない.二次元解析に比べ三次元解析でキャビティの非 定常挙動が現れないのは,図3.4に示した格子より,スパン中央におけるスパン方向の 格子が粗いことや翼面に垂直な方向の格子の密度と乱流モデルの適合性の問題の可能 性が挙げられる.また,クラウドキャビテーションは,キャビティ後縁から回り込み上 流へ液相が溯るリエントラントジェットによってキャビティの一部または全部が翼面 から切り離されて放出されることが知られている.本三次元解析においてはクラウドキ ャビテーションの放出が見られず,リエントラントジェットが弱いことや渦粘性の修正

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が不十分であることが考えられる.したがって,BD1VF モデルにおける連続相の切り 替えおよび渦粘性の修正の際に仮定した気液界面のボイド率についての検討や,より高 精度であるLarge Eddy Simulation(LES)などへのモデルの変更を含めた乱流の扱いに ついての検討を行う必要があると考えられる.

以上より,キャビティ様相,揚力およびキャビティ体積変動の結果から,気泡核数密 度が異なるとキャビティ内部のボイド率が異なることが分かった.また,キャビティの 体積は気泡核数密度が高い方がより変動し,それに伴う揚力係数の変動は,気泡核数密 度が大きい方が振幅が大きいことが示された.一方,気泡核数密度が105程度異なるに もかかわらず,最大キャビティ長や時間平均揚力係数のキャビテーション数の低下に伴 うなだらかな減少には気泡核数密度による大きな差異は見られなかった.気泡核数密度 が 105程度異なると,式(3.4)より初期気泡核半径に対するボイド率は105程度異なり,

表面積密度は104程度異なる.したがって,キャビテーションの初生時に気泡核数密度 が大きく影響するが,図3.9より初生後の発達過程においては表面積密度が1オーダー 程度の差となり,初生時に比べ気泡核数密度のキャビティ発達過程に及ぼす影響が小さ くなるため,気泡核数密度による最大キャビティ長などの差異が小さかったと考えられ る.

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3.12 二次元SSモデルによるキャビティ様相 (σ=1.8) (a) nnuc=1.6×1013 m-3, dnuc=2.0×10-6 m

(a) nnuc=1.6×1013 m-3, dnuc=2.0×10-6 m

(b) nnuc=2.4×108 m-3, dnuc=3.3×10-6 m

(b) nnuc=2.4×108 m-3, dnuc=3.3×10-6 m3.13 二次元BD1VFモデルによるキャビティ様相 (σ=1.8)

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(a) nnuc=1.6×1013 m-3, dnuc=2.0×10-6 m (b) nnuc=2.4×108 m-3, dnuc=3.3×10-6 m

3.14 三次元BD1VFモデルによるキャビティ様相 (σ=1.9)

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(a) 二次元SSモデル (b) 二次元BD1VFモデル

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 0.5 1

0 1 2

t [s]

Void volume, Vvoid [m3 ]

BD1VF, nnuc=2.4*108 CL

Vvoid 0

0.5 1 [×10-7]

0 1 CL 2

Vvoid BD1VF, nnuc=1.6*1013

Lift coefficient, CL

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 0.5 1

0 1 2

t [s]

Void volume, Vvoid [m3 ]

SS, nnuc=2.4*108 CL

Vvoid 0

0.5 1 [×10-7]

0 1 CL 2

Vvoid SS, nnuc=1.6*1013

Lift coefficient, CL

1.15 1.2 1.25 1.3

BD1VF, nnuc=1.6*1013, σ=1.9

Lift coefficient, CL

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

1.15 1.2 1.25

t [s]

BD1VF, nnuc=2.4*108, σ=1.9

3.15 二次元解析による揚力係数とキャビティ体積変動

(σ=1.8)

3.16 BD1VFモデルを適用した三次元解析による揚力係数の時間変動

(σ=1.9)

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