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最大応答値の比較

第 5 章 パッシブ可変オイルダンパーを用いた免震建物の動的解析による制御効果の検証

5.4 小ストローク免震への適用効果の解析的検証

5.4.4 最大応答値の比較

各入力地震動に対する,建物の最大応答値(建物頂部加速度,1 階層せん断力,免震層変 位,建物頂部変位)の比較を図 5.16 に示す。図 5.16(c)に示すように,レベル 1 地震動では,

免震層の変位は切替変位(100mm) に達さず,減衰係数は C1L のままである。レベル 2 地震 動では,切替変位を超え,減衰係数 C1H へ切り替わる。減衰係数が切り替わることで,C1L 固定と比較して免震層の変形は抑制され,免震層の変形は目標値(150mm)以内に収まってい る(図 5.16(c))。また,レベル 1 地震動では,可変のケースは C1H 固定と比較して,頂部の 最大応答加速度は 60%程度,1 階の層せん断力は 70%程度に低減している(図 5.16(a),(b))。

図 5.17 に,エルセントロ NS 波に対する建物の加速度と変位の最大応答分布を示す。可 変のケースは,レベル 1 では C1L 固定時の結果と一致し,レベル 2 では,全層で C1H 固定 時の結果とほぼ同等の値となっている。

図 5.18 に,エルセントロNS波の最大加速度を 500mm/s2ピッチで増加させた際の,入力 加速度と建物頂部加速度および免震層変位の関係を示す。2,500mm/s2以下の入力では,C1L 固定時と同じ応答値を示し,減衰係数の切り替わりが生じる 2,500mm/s2以上の入力では,

入力レベルが大きくなるにつれて応答値は C1H 固定に漸近してくる。なお,減衰係数が一 度切り替わると,C1L に手動で復帰させるまでは C1H 固定の状態となる。そのため,大地震 直後の余震では C1L 固定時に比べて加速度応答が大きくなり揺れを感じやすくなるものの,

免震性能上は問題となるレベルではない。

図 5.19 にエルセントロ NS 波での,可変と C1H 固定,及び C1L 固定の地震応答波形の比 較と可変オイルダンパーの減衰係数を示す。図 5.19(a)がレベル 1 の結果,図 5.19(b)がレベ

101

ル 2 の結果である。レベル1での頂部加速度応答は,可変では減衰係数 C1L 固定時と同じ 値となっており C1H 固定時に比べて小さい。レベル 2 での免震層の変位は,C1L 固定では目 標値を越えてしまうが,可変では切替変位に達したところで減衰係数が C1H に切り替わる ことにより,目標値以内に収まることが確認できる。また,切り替え後の応答波形は,C1H 固定時とほぼ一致している。

(a)建物頂部加速度

(b)1階層せん断力

図 5.16 最大応答値の比較 0

500 1000 1500 2000 2500 3000

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

エ ル セ ン L1

タ フ ト L1

八 戸 L1

エ ル セ ン L2

タ フ ト L2

八 戸 L2

加速度 (mm/s2 ) レベル1 加速度 (mm/s 2) レベル20.60 0.62 0.52 0.95 1.01 0.98

↑頂部加速度低減率(可変/C1H) レベル1 レベル2

0 2000 4000 6000 8000 10000

0 5000 10000 15000 20000

エ ル セ ン L1

タ フ ト L1

八 戸 L1

エ ル セ ン L2

タ フ ト L2

八 戸 L2

層せん断力 (kN) レベル1 層せん断力 (kN) レベル20.65 0.73 0.68 0.95 1.04 1.03

↑1階層せん断力低減率(可変/C1H) レベル1 レベル2

102

(c)免震層変位

(d)建物頂部変位

図 5.16 最大応答値の比較

(つづき)

0 50 100 150 200

可変 C1H固定 C1L固定

エ ル セ ン L1

タ フ ト L1

八 戸 L1

エ ル セ ン L2

タ フ ト L2

八 戸 L2

変位 (mm)

目標値

切替変位

0 50 100 150 200 250

可変 C1H固定 C1L固定 制震

エ ル セ ン L1

タ フ ト L1

八 戸 L1

エ ル セ ン L2

タ フ ト L2

八 戸 L2

変位 (mm)

103

(a)レベル 1,レベル 2 地震時の最大加速度の比較

(b)レベル 1,レベル 2 地震時の最大変位の比較

図 5.17 最大応答分布(エルセントロ NS 波)

0 2000 4000 6000 0

2 4 6 8

10

可変

C1H固定 C1L固定 制震

加速度 (mm/s

2

)

L1

0 2000 4000 6000 0

2 4 6 8

10

可変

C1H固定 C1L固定 制震

加速度 (mm/s

2

)

L2

0 100 200 300 0

2 4 6 8

10

可変

C1H固定 C1L固定 制震

変位 (mm)

L1

0 100 200 300 0

2 4 6 8

10

可変

C1H固定 C1L固定 制震

(mm)

L2

104

(a)入力加速度と頂部応答加速度の関係

(b)入力加速度と免震層変位の関係

図 5.18 入力加速度と最大応答の関係(エルセントロ NS)

0 1000 2000 3000 4000 5000

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 可変

C1H固定 C1L固定 制震

頂部加速度 (mm/s2 )

入力加速度 (mm/s2) レベル2

レベル1

0 50 100 150 200 250

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 可変

C1H固定 C1L固定

免震層変位 (mm)

入力加速度 (mm/s2) レベル2

レベル1 目標値

105

(a)レベル 1 入力時の応答波形

図 5.19 頂部加速度,免震層変位,減衰係数の応答波形(エルセントロ NS 波)

-1500 -750 0 750

1500 頂部加速度

可変 C1H固定 C1L固定

加速度 (mm/s2 )

時間 (s)

0 5 10 15 20

-200 -100 0 100

200 免震層変形

可変 C1H固定 C1L固定

変位(mm)

目標値(150mm)

切替変位(100mm)

時間 (s)

0 5 10 15 20

0 2 4 6

0 5 10 15 20

減衰係数 (1台当り)

減衰係数 (kN・s/mm)

時間 (s)

1.25(C1L)

106

(b)レベル 2 入力時の応答波形

図 5.19 頂部加速度,免震層変位,減衰係数の応答波形(エルセントロ NS 波)

(つづき)

-3000 -1500 0 1500

3000 頂部加速度

可変 C1H固定 C1L固定

加速度(mm/s2 )

時間 (s)

0 5 10 15 20

-200 -100 0 100

200 免震層変形

可変 C1H固定 C1L固定

変位(mm)

目標値(150mm)

切替変位(100mm)

0 5 10 15 20

時間 (s)

0 2 4 6

0 5 10 15 20

減衰係数 (1台当り)

減衰係数 (kN・s/cm)

時間 (s)

1.25(C1L)

3.75(C1H)

107