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暗視野結像法を用いた色消し格子像の観察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 41-44)

第Ⅱ章 結晶格子像を用いた機械的安定性評価手法の開発

3. 暗視野格子像を用いた機械的安定性評価手法の開発

3.2 暗視野結像法を用いた色消し格子像の観察

ことがわかる。すなわち、光軸対称な透過波と回折波、または回折波と回折波によっ て形成される格子縞は、色収差の影響を受けない。従って、適切なデフォーカス量に 調整して観察した色消し格子縞の観察限界は機械的振動等の安定性阻害要因のみで決 まることになる。

図2-11 色消し条件によって形成される色消し格子縞の模式図

機械的安定性を示すためには、観察し得る最も細かい間隔の色消し格子縞を形成する 回折波の対を選択することが重要であり、それ以外の回折波はノイズになると考えら れる。そこで、不要な回折波をビームストッパーで遮光し、目的の回折波対のみで色 消し格子縞を形成する暗視野結像法を考案した[11]。

図 2-12(a)に暗視野結像法の光学系を示す。対物レンズの後焦点面に特殊な形

状の対物絞り(ビームストッパー)を用いて透過波を遮光し、目的とする回折波(gと -g)を選択し、色消し格子縞を形成している様子を示している。この方法により、最 も細かい格子縞を形成する色消し条件の回折波の対のみを選択することが可能であり、

色消し格子縞のS/N比の改善が期待できる。

図2-12(b)に、ビームストッパーの光学顕微鏡像を示す。500 μm の対物絞り

孔に100 μmタングステンワイヤーをエポキシ製接着剤にて固定し、金属コートを施 した。更にタングステンワイヤーの方向を変えた複数のビームストッパーを製作する ことによって、任意の回折波を遮光できるようにした。

図2-12(c)に[111]方向から見たイリジウム単結晶薄膜の電子線回折図形を示す。

ビームストッパーの有無の二条件を二重露光で撮影しており、100 μmのビームスト ッパーで遮られる領域(上部の矢印が示す範囲)を含んでいる。色消し格子縞の形成 に使う回折波は8_26と862_ _であり、2_20や202_などの回折波はビームストッパーによ って遮光されるため実際の結像には寄与しない。実際の実験では、8_26 と862_ _の回折 波のみが強く励起している場所を選択し、ビームストッパーで遮蔽できないその他の

Bragg反射の影響を抑制することで、色消し格子縞のコントラスト向上に努めた。

色消し格子縞の観察条件を以下に示す。試料は、集束イオンビーム加工装置に よるマイクロサンプリング法を用いて製作した。試料厚さは、約15 nmである。色消 し格子縞観察における球面収差によって生じるフォーカスのズレを修正するためのデ フォーカス量𝜀𝑐は、𝜀𝑐= 𝐶𝑠(𝜆 2𝑑⁄ 𝑎)2 から算出した。ここで、𝐶𝑠は対物レンズの球面収

差係数、𝜆は電子ビームの波長、𝑑𝑎は結像に使った回折波対によって形成される色消し 格子縞間隔である。更に、設定したデフォーカス量の近辺にて 10 枚程度のスルーフ ォーカス撮影を実施した。記録媒体はフィルム(Kodak SO-163)で、露光時間は5秒

~30秒とした。加速電圧は、1,000 kVである。

図2-12(a) 暗視野結像法の光学系、(b) ビームストッパーの光学顕微鏡像、

(c)ビームストッパーで遮られる領域を含む電子線回折図形。ビームストッパー の有無の二条件を二重露光で撮影した。

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