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日本からの南部向け直接投資動向  1.直接投資流入の推移

ドキュメント内 I ASEAN (ページ 83-87)

第1章  南部地域の概要

II. 日本からの南部向け直接投資動向  1.直接投資流入の推移

  南部(ホーチミン、ドンナイ、ビンズオン)に進出している企業数はベトナム全体の57%

となっている(ハノイ、ハイフォンを足した北部は34%)。

  南部への直接投資の特徴は、第 1 に北部との比較で一件あたりの投資額が少ない小粒の 案件が多く、また中小企業の投資が多いことである。2000〜06年における日本からの直接 投資は、件数ベースでは若干南部が多いが、金額ベースではここ数年北部の伸びが大幅に 目立っている。第2に2005年までは、第1次投資ブーム時(1995年以降1997年アジア 通貨危機後まで)に進出した日系企業による拡張投資が進み、増資が増えていたが、2006 年には件数・金額ともに増資を上回る新規投資の流入があった点である。2004〜2006年の 投資動向をみると、新規投資が2004年36件、1.2億ドル、2005年50件、1.0億ドル、2006 年 66件、2.3億ドルであるのに対し、拡張投資が2004年 40件、1.1億ドル、2005年は 56件、0.8億ドル、2006年は47件0.8億ドルであった。

2.業種別直接投資動向 

  東洋経済新報社「海外進出企業総覧」(2007年版)に掲載されている、ベトナム南部に進 出した日系企業の業種を調べると、7 割強が製造業であった(図表 2-3)。製造業のなかで は電気電子の占めるシェアが最も大きく(製造業全体に占めるシェア21%)、次いで化学・

国別  業種別 

医薬1(同18%)となっている。電気電子では、パナソニック(松下電器)、日本ビクター、

富士通、東芝が操業するなど、日本でも有数の大手電気電子メーカーが進出している。ま た、こうした大手組立メーカーの進出に伴い、電気電子系部品メーカーの進出もみられる。

図表 2-3  業種別投資動向 

(出所)東洋経済新報社「海外進出企業総覧」(2007年版)を元に作成

3.南部進出主要企業のベトナム戦略(ベトナム拠点の位置づけ) 

  以下に、南部(ホーチミン、ドンナイ、ビンズオン)進出企業のヒアリングから、南部 進出背景につき概観する。また、最近の傾向として、南部では増資が増えているが、この 背景には第1次投資ブームに進出した日系企業が当地活動約10年を経て拡張時期に入って いることがあり、こうした企業の拡張投資の背景についても概観する。

建設・工事 3%

製造業 69%

サービス業 28%

食料品 7%

機械 6%

鉄鋼業 4%

非鉄金属 4%

金属製品 7%

自動車・部 7%

繊維業 11%

化学・医薬 18%

その他

15% 電気・電子 21%

(製造業内訳)

(1) 港までの距離を考慮した進出  〜輸出加工型〜 

自動車系 A 社の例: 

・ 輸出100%の企業であるため、港までの距離を最重要視した。北部と南部で比較したところ、

北部は港からの距離が遠かった。進出当時、北部のハイフォンは田んぼで、地盤が堅くない ことも問題視した結果、南部への進出となった。

(2) ASEAN との距離を考慮した進出  〜輸出加工型〜 

電気電子系 A 社の例: 

・ ベトナムは、輸出生産拠点との位置づけであり、部品もタイから輸入している。従って、

ASEAN との物流条件に優れた場所に進出する必要があった。ホーチミンはタイから船で 2

日かつ船便数も多いなど、最も条件的に適したところであったため進出を決定。

自動車系 B 社の例: 

・ ASEAN諸国とのCEPTによる相互補完体制を意識。廉価な労働力が魅力。

(3) 現地日系ユーザーへの供給を意識した進出  〜国内販売型〜 

自動車系部品 B 社の例: 

・ 進出を決定した 90 年代後半、ベトナム南部には納入先となる自動車、バイク系企業が多少 進出していたが、北部には十分なユーザーが進出していなかったため、ユーザーの多い南部 へ進出を決定した。

(4) インフラ面での優位性を意識した進出  〜国内販売型〜 

二輪車系部品 A 社の例: 

・ 進出決定当時、最大のユーザーである大手二輪メーカーは北部に進出していたが、工業団地 内のインフラ、物流、駐在員の生活環境にかかるインフラ等をすべて比較したところ、南部 に優位性があったため進出を決定。

(5) 国内市場を意識した進出  〜国内販売型〜 

衣料品系 A 社の例: 

・ ベトナム南部は所得水準が高く、消費水準も高いことから、日本ブランドの衣料品を販売す るのであれば、南部に拠点を置く方がよいとの判断により決定。

電気電子系 B 社の例: 

・ 8000万人というベトナム市場が魅力であった。家電製品の部品はタイなどASEANに集積し ており、ASEAN から輸入した製品を南部で組立、市場に販売。市場、ASEAN との距離か ら南部への進出を決定。

電気電子系 C 社の例: 

・ 世界的に価格競争が厳しく、本社の方針としても選択と集中を進めているが、ベトナムには 販社が設立できないこと、高い輸入関税により国内産業が保護されていることから、完成品 は簡単には流入しないとの判断で、市場を取るために進出した。

・ ホーチミンに進出したのは、商業都市であり、交通インフラなどが整備されていたため。

サービス系A社の例: 

・ 日系進出企業をターゲットとしてサービスを提供するため、進出日系企業が多いところでは ニーズが有ると判断して進出を決定。特に、WTO 加盟を控え、その後の市場の拡大も注目 している。なお、市場規模を考えた結果(ハノイではなく)ホーチミンへの進出を決定した。

素材系会社の例: 

・ 今後のベトナムの経済成長を見込んだもの。工業化が進めば、国内での需要が伸びることが 見込まれたため。

 

(6) 労働の質およびコストを意識した進出  〜国内販売型・輸出加工型〜 

衣料品・繊維製品系会社の例: 

・ 繊維産業は労働集約であるため、労働力が豊富であることが重要。特に手先が器用であるこ とが魅力。また、賃金が廉価であることも大きな要因。

 

(7) 拡張投資の背景  〜輸出加工型〜 

電気電子系 D 社の例: 

・ 1994年に輸出加工区に第1工場を建設して以降、順調に拡張を進め、2006年7月に同敷地 内に第3工場を立ち上げた。人材が優秀であること、また、比較的離職率が低い事等を評価。

こうしたことを受けて、第3工場は新製品の開発拠点とすることを計画中。

電気電子系 E 社の例: 

・ 1999年に輸出加工区に第1工場を建設して以降生産も順調に進み、2006年末にはハノイの 工業団地に新工場を設立し業務分散予定。人件費が安く、手先が器用であることが魅力。

金型系 A 社の例: 

・ 1995年に輸出加工区に第 1工場を建設したが、今後の拡張余地等を考慮した上で、99年に 別の輸出加工区に移転。2005年には近隣の輸出加工区に第2工場を建設し現在に至る。識字 率の高さや技術力の観点より、海外拠点の中でもベトナムでの事業規模は最大規模となって いる。

第3章 主要工業団地 

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