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第 3 章 調査結果

3.1 天然ガスセクターの現状

3.1.8 天然ガス価格と政府補助金

3.1.8.3 政府補助金

「バ」国政府の財政状況は表 3.1.28 に示す通りである。2011/12 年度の計画歳入は 11,838 億タカで、計画歳出は 16,358 億タカである。従って、財政に対する赤字総額は 4,520 億タカであり、財政赤字は年々増える傾向にある。

政府の歳入は歳出の 72%であり、残りを 25%の国内・国外の銀行融資と 3%の外国支援 に頼っている。

表 3.1.28 「バ」国政府の財政状況

No.

項目 実績

2009/10

予算

2010/11

予算

2011/12

支出予算 に対する割合

2011/12

1

歳入

759,050 928,470 1,183,850 72.37

2 税歳入 624,850 760,420 957,850 58.55

3 非税金歳入 134,200 168,050 226,000 13.82 4

歳出

1,016,070 1,321,700 1,635,890 100.00 5 開発歳出 281,150 427,700 506,420 30.96 6 非開発歳出 731,670 857,860 1,029,030 62.90 7

食料関連純支出 -8,490

2,410 6,310 0.39 8 融資および前払支出 9,300 32,230 94,130 5.75 9

構造調整支出

2,440 1,500 0 0.00 10

歳入歳出差額 -257,020 -393,230 -452,040 -27.63

11

融資

250,740 393,230 452,040 27.63

12

国内融資

158,200 236,800 272,080 16.63

13 外国融資 60,360 108,340 130,580 7.98

14

外国無償資金

32,180 48,090 49,380 3.02

15

差額 -6,280

0 0 0.00

出所:財務省

(単位:百万タカ)

政府補助金の考察のため、政府予算資料(MOF WebSite: BUDGET AT A GLANCE, Economic Analysis of Non-Development & Development Expenditure)に計上される補助金項目 のみを抽出して表 3.1.29 に示す。燃料・エネルギーに対する政府補助金は当該資料に 明示されていないため、本表にも記載していない。農業分野は本表の補助金予算合計 930 億タカの 48%に当たる 450 億タカを利用する計画である。

表 3.1.29 「バ」国政府予算における想定補助金

No.

項目 実績

2009/10

予算

2010/11

予算

2011/12 1

公共サービス

15,990 25,590 31,090 2

国防サービス

2,710 2,940 3,180 3

治安と安全

4,040 4,730 5,060 4

社会保障と副詞

3,090 3,300 8,540

5

燃料とエネルギー

- -

-6

農業

49,220 40,060 45,000

7

小計

75,050 76,620 92,870

8

他表の補助金予算合計値

75,060 76,680 93,010

(単位:百万タカ)

出所:財務省

一方、新聞情報による 2011/2012 年度の政府補助金見込み額は表 3.1.30 に示すとおり である。2011 年 7 月以降の「バ」国各分野での政府補助金の利用は急増しており、11 月中旬時点で政府の年間予算割当 2,047 億タカを超え、最終的に 3,517 億タカ(計画歳 出 16,358 億タカの約 21%)になると見込まれている。

表 3.1.30 2011/2012 年度の政府補助金見込み額

No.

項目 予算手当 政府補助金

要求額 予想割当

1

バングラデシュ石油公社(BPC)

35,000 167,000 120,000

2

農業

45,000 116,000 80,000

3

電力開発庁(BPDB)

52,000 100,000 74,000 4

バングラデシュジュート工業公社(BJMC)

29,000 29,000 29,000

5

輸出

22,000 27,000 27,000

6

食品

16,770 16,770 16,770

7

その他

5,000 5,000 5,000

8

合計

204,770 460,770 351,770

(単位:百万タカ)

出所:デイリースター紙(2011年11月21日)

上記の表 3.1.29 と表 3.1.30 を比較し、2011/2012 年度の農業分野の補助金額が同じ であること、表 3.1.29 の BPC の 350 億タカと BPDB の 520 億タカを燃料・エネルギー 分として表 3.1.29 に付加した場合の合計は 1,900 億タカとなり表 3.1.30 の合計 (2,048 億タカ)に近似してくることから、表 3.1.30 の情報は一定の信頼がおけると考 えて、以下の考察をおこなう。

政府補助金を大幅に利用しているのがエネルギーセクターのバングラデシュ石油公社

(BPC)と電力開発庁(BPDB)であり、第 1 位と第 3 位に当たる。BPC の補助金見込み は特に多く政府予算の 3 倍以上の 1,200 億タカであり、BPDB の補助金見込みは 1.5 倍 の 740 億タカである。補助金の利用用途は、石油火力発電所への燃料供給やレンタル 発電所への補助金利用が大きな項目となっている。第 2 番目は、農業であり、ジュー ト製造業、輸出、食料の順で政府補助金を多く利用している。

なお、BPC と BPDB の補助金見込み合計(1,940 億タカ)は、「バ」国 GDP 予測値(2011/2012 年度:89,730 億タカ)の 2.2%に相当する。

因みに、BPC の WEB 情報によると 2011 年 4 月までの累計損失が 618 億タカであり、単 純計算すると 2010/2011 年度の年間損失は 742 億タカになったと考えられる。また、

BPDB の年報によると 2009/2010 年度の年間損失は 64 億タカと公表されている。

ここで、世界銀行が 2010 年に実施した「バ」国におけるセクター別の公共支出管理レ ビ ュ ー ( Bangladesh Public Expenditure and Institutional Review, Volume II:

Sectoral Analysis)の中で実施した間接補助金(Implicit Subsidy)の観点からの検 討手法に倣って、天然ガスセクターへの間接補助金(2011/2012 年度)の状況を試算す る。

上記の WB の検討では、「バ」国で生産される全ての天然ガスの限界(収益)費用とし て IOC からのガス購入価格を採用しており、同じ手法で最近のガス購入価格、販売価

格と販売量に基づいて計算した結果、表 3.1.31 に示すように約 774 億タカの間接補助 金(歳入損)が発生することになる。この数値は 2011/2012 年度の「バ」国 GDP 予測値

(89,730 億タカ)の 0.9%に相当する。

表 3.1.31 2011/2012 年度のガスセクター間接補助金の試算

Sector

IOCよりの 購入単価 (US$/MCF)

販売単価 (US$/MCF)

差額 (US$/MCF)

2011/2012年 販売量

(BCF)

間接補助金 (億タカ)

発電 2.66 1.31 -1.35 394.2 -38.32

自家発電 2.66 1.31 -1.35 132.5

-肥料工場 2.66 1.31 -1.35 102.6 -9.97

工業用 2.66 1.31 -1.35 141.3 -13.73

商業用 2.66 1.31 -1.35 9.1 -0.89

家庭用 2.66 1.31 -1.35 104.8 -10.18

CNG,茶園 2.66 1.31 -1.35 44.2 -4.29

合計 928.6 -77.38

データ出所:ガス単価 (Petrobangla)、ガス量(調査団)

現時点において、天然ガスセクターは直接的な政府補助金を利用していない。天然ガ スの消費者価格は国際価格より低価格で設定されているものの、国産天然ガスの開発、

生産、搬送、販売をペトロバングラグループ企業で管轄し、政府に対する利益主体と なっている。

しかし、低価格に抑えられている「バ」国内天然ガスの全エネルギー需要に占める割合 が将来的に逓減する一方、海外から LNG 等の天然ガス輸入が開始された場合、天然ガ スの消費者価格を調整しない限り、ガスセクターにおいても政府補助金を利用せざる を得ない状況になると容易に想定される。

現在のガス販売単価(加重平均 1.31US$/MCF)、IOC からの買取単価(2.66US$/MCF)と LNG 国際スポット単価(17US$/MCF)および収益配分システムが不変と仮定して、2015 年と 2020 年のガスの生産搬送販売費用とガスの販売収益を試算し、表 3.1.32 に示す。

2015/2016 年度に 229 億タカ、2020/2021 年度に 1,877 億タカの損失が発生し、直接的 な政府補助金が必要になるとの結果を得た。(詳細は添付資料-7 を参照)

表 3.1.32 ガスセクターへの補助金の予測 (Unit: Million Taka) 2015/2016 2020/2021 ガス生産販売量 1,296 BCF

(3,551MMCFD)

1,382 BCF (3,787MMCFD) ガス生産搬送販売費用 196,960 389,800 天然ガス販売収益 174,040 202,100 損失額(補助金) 22,920 187,700

将来のエネルギーセクターへの政府補助金は、現在の BPC と BPDB への多大な補助金に 上記のガスセクターへの補助金を追加したものになると予想され、「バ」国財政への影 響は甚大である。

政府の予算は逼迫しており、政府補助金の利用は、発電、農業、工業などの国全体の 経済政策から決定して行く必要がある。また、経済を引っ張る産業が農業、縫製業輸 出、および外国労働者からの送金に頼っている「バ」国では、これ以上の補助金捻出 は困難になっている。各産業分野におけるエネルギーの利用効率を引き上げ、エネル ギーの多様化を目指すなど業際間におけるエネルギー利用に対する調整が必要である。

天然ガスセクターにおいては、政府補助金を利用しない市場価格での取引と投資優遇 策を利用した PPP プロジェクトの活用等が欠かせない。