第 3 章 調査結果
3.4 当該セクターの課題に対する我が国の今後の取組み
3.4.1 天然ガスセクターの課題に対する我が国の今後の取組みの優先順位付け . 151
「バ」国政府が実施すべき天然ガスセクターの課題への対応策を表 3.2.1 に示したが、
その中で我が国の中長期的な支援の方向性を検討した。その検討にあたり、事業の持 続性、経済性、我が国が比較優位を持つエネルギー関連技術、省エネルギー制度・政策 等の適用、エネルギーセクター(電力分野を含む)において JICA が支援を実施中である 既往案件の事業効果の更なる向上も念頭に置いた。検討の結果を表 3.4.1 に示す。
表 3.4.1 天然ガスセクターに対する我が国の中長期的な支援枠組み
優先課題 優先地域 優先度 対応策
A.開発・生産分野
探鉱と試掘による埋蔵量確認
全土(BAPEX)
1 探鉱に関わる技術支援
/機材供与等 B.搬送分野
パイプライン網の拡大改善
西部地域(GTCL)
2 パイプライン整備(二 重化)
統合的な SCADA システムによ
る効率的なガス輸送全土 (GTCL)
1 GTCL の既存 SCADA シス テムのリハビリ拡大 C.販売分野
新規の統合的な SCADA システ
ムによる効率的なガス分配TGTDCL エ リア
2 販売会社 SCADA システ ムの構築
従量制導入によるガス供給効
率性の改善TGTDCL/KG DCL エリア
2 家庭・工場等へのガス メーター設置
D.その他(全般)
代替エネルギーの開発・供給
(再生可能エネルギー)
全土 2 再生可能エネルギー開 発の支援
ガスセクターの運営に関わる
政策・規制・計画の整備― 2 天然ガス関連基準等の 整備
教育・訓練による政策計画策
定・組織管理・開発技術・施 設維持管理などの能力向上整 備― 2 先進技術の指導 天然ガス試験施設整備
3.4.2 今後の円借款による重点支援対象分野における支援方針の提案
現地調査において、「バ」国ガスセクター関係機関から本調査団に支援ニーズが挙げら れた案件リストを表 3.4.2 に示す。
表 3.4.2 日本政府への支援要請案件リスト
要請案件 対象機関 概要
A.開発・生産分野
① BAPEX 技術者のトレーニング BAPEX 日本の先進技術である 2D/3D 地震 探査データ取得技術と衛星利用リ モート・センシング技術に関わるト
レーニング
② BAPEX の第 2 の 3D 物理探査 チームのための機材調達
BAPEX 上記トレーニングに加え、BAPEX は 第 2 の 3D 物理探査チームを組織す るための機材調達を必要としてい る。(添付資料-9 を参照)
B.輸送分野
③ Dhanua-Elenga ガス輸送パ イプライン改善(二重化)
GTCL 30” 52km パイプラインの二重化 Bibyana-Dhanua 間パイプラインを 通じた Bibyana ガス田からの増大 するガス輸送量に対応する必要あ り。
④ West bank - Nalka ガスパイ プライン改善(二重化)
GTCL 24”, 17km, パイプラインの二重 化
西部地域への増大するガス輸送に 対応する必要あり。
⑤ 天然ガス輸送パイプライン SCADA システムのリハビリと 拡大
GTCL 既存 SCADA システムが機能不全に 陥っているため、全国への効率的持 続可能なガス供給を実現するため 新規の統合的な SCADA システムの 構築が緊急に必要である。
C.販売分野
⑥ プリペイドガスメーター設 置(他にも追加支援要請あり。
添付資料-9 を参照)
TGTDCL TGTDCL は、「試作品のプリペイドガ スメーター設置」と名付けられた自 己資金のパイロットプロジェクト に続き、更に 60 万個以上のプリペ イドガスメーター設置を計画して いる。半分は TGTDCL の自己資金を 予定、残りの資金調達は未定。
⑦ プリペイドガスメーター設 置
KGDCL TGTDCL のパイロットプロジェクト の効果を目の当たりにして、KGDCL もチッタゴン地区での 30 万個以上 のプリペイドガスメーター設置(グ ラントベースを希望)を計画してい る。
D.その他(全般)
⑧ 天然ガスセクターの基準等 の策定・整備
BERC 天然ガス輸送、販売(分配)、及びガ スパイプライン網の運転保守に関 わる基準等の策定
⑨ 試験・品質管理研究所 BERC 石油製品に関わる標準的な試験・品 質管理研究所の構築
⑩ エネルギー監視システムの 整備
BERC BERC が電力、エネルギー(天然ガ ス、石油など)のリアルタイムの情 報を把握できる様に、集中的なエネ ルギー監視システムの構築
表 3.4.1 で検討した優先課題、優先地域、対応策を踏まえ、また、表 3.4.2 に示す「バ」
国側の要請も考慮して、調査団は天燃ガスセクターにおける有望な円借款案件候補と して以下の 4 つのプロジェクトを優先度の高い順に提案する。
(1) 天然ガス搬送パイプライン SCADA システムのリハビリと拡大プロジェクト 実施機関: GTCL
既存 SCADA システムが機能不全に陥っているため、全国へのガス供給を効率的に 継続的に実現するため統合的な SCADA システムが緊急に構築される必要がある 提案された SCADA システムは、現在入札審査中の ADB 支援による「ガス搬送開発 プロジェクト(GTDP)」の一構成要素である西部地域 SCADA システムともインター フェイスされる。
本案件はこれまでに JICA による基本設計調査を実施し、「バ」国側も早急な支援の 実施を希望している案件である。
概算費用: 約 26 億円(37,400,000 USD)
(2) Dhanua-Elenga 天然ガス搬送パイプライン改善(二重化)プロジェクト 実施機関: GTCL
Dhanua-Elenga(D-E)パイプライン改善当該パイプラインは当初は ADB 支援による Monohordi-Jamuna プロジェクトの一部に含まれていたが資金不足のためにキャン セルされ、その後は何の処置もとられなかった。しかし、D-E 間パイプラインの キ ャ ン セ ル 後 に Bibyana ガ ス 田 か ら の 追 加 生 産 ガ ス を 輸 送 す る た め の Bibiyana-Dhanua 間パイプラインプロジェクトが計画され、当該パイプラインと Ashuganj のコンプレッサーステーションが完成することにより、西部地域への増 産されたガス流量に対応するため D-E 間パイプラインの必要性が高くなっている。
ADB と WB は、当該パイプラインプロジェクトへの支援計画を有していない模様。
GTCL は、当該パイプラインプロジェクトの F/S を自身で作成できると話していた。
概算費用: 約 48 億円(62,400,000 USD)
(3) 消費者(家庭)へのプリペイドガスメーター設置 実施機関: TGTDCL
TGTDCL は天然ガス配分システムの供給効率の改善を意図し、以下のプロジェクト を実施している。
「試作品のプリペイドガスメーター設置」と名付けられた自己資金によるパ イロットプロジェクト:4,500 個のメーター設置を 2011 年 11 月末に完了。
「TGTDCL の供給効率改善」と名付けられた ADB と「バ」国政府の資金援助によ るプロジェクト:家庭/商業向けプリペイドガスメーター8,600 個、遠隔計 量システム 680 個を設置予定。業者契約のための入札書類作成中。また、TGTDCL は 600,000 個以上のプリペイドガスメーター設置を計画しており、
300,000 個分は自己資金を当てる予定であるが、残り半分の資金手当はまだ確認 されていない。上記 TGTDCL 自己資本のパイロットプロジェクトの結果として、ガ ス節約が大幅(30~40%)に達成されたケースもあると言われており、効率的なエ ネルギー消費と需要抑制の観点から、このプロジェクトの必要性は高い。
概算費用: 約 38 億円(36 億タカ)
(4) 消費者(家庭)へのプリペイドガスメーター設置 実施機関: KGDCL
その所管地域(Franchise Area)にカフコ肥料工場がある KGDCL は、TGTDCL のパ イロットプロジェクトの効果を踏まえ、チッタゴン地区での約 326,000 個のプリ ペイドガスメーター設置(グラントベースを希望)を計画している。上記(3)に記 したように、このプロジェクトの必要性も高い。
概算費用: 約 41 億円(39 億タカ)
なお、West bank
–
Nalka 天然ガス搬送パイプライン改善(二重化)計画は、既存パイプラ イン管径が 24 インチであるのに対して現在建設中の Nalka 以西のパイプライン管径が 30 インチであることから GTCL からこの支援要請が出てきた。導管網解析結果に基づい て当該部(West bank–
Nalka 間)のガス流量を確認したところ 2020 年で約 100 MMCFD、2025 年で約 200 MMCFD であり、エレンガのコンプレッサーステーションでの昇圧効果 も考慮すれば本件の緊急性は低く、西部地域の需給を将来的に(数年後)見極めた上 で対応しても遅くないと判断して優先プロジェクト候補から除外した。