第 3 章 調査結果
3.3 当該セクターの課題に対する他援助機関の動向
表 3.3.1 天然ガスセクターに対する ADB 支援の成果と効果
ADB インプット 成果 効果
V. 天然ガス生産能力増進と天然ガス生産への投資の結集 A. 技術協力
TA 2024-BAN:ガス開発マスタ ープランの策定と石油ガスセ クターの組織・規制体制強化r
バ国政府は国際石油企業の参画により新規ガス田 開発と自己資金及びAGB資金によるガス輸送網開発 を実施した。
Loan1293による既存ガス田改善の結果、Titasガス 田とHabiganjガス田でのガス生産が251 MMCFD (国 内ガス生産の13%)増加した。
B. 借款
Loan 1293-BAN: 第3次天然ガ ス開発
Loans 2188/2189(SF)- BAN: ガ ス輸送開発
Loan1293で実施された既存ガス田探鉱により、確認 残余ガス埋蔵量の30%以上の4.6 TCFの埋蔵量追加 が確認された。
Loan2188によるガス田探鉱は実施中であり、その結 果は判明していない。
バ国の天然ガス生産 総量は1994年の 223BCFから2008年の 596BCFに増加した。
天然ガスは発電の 80%以上に貢献する 支配的な商業エネル ギー源であり、その 増産はバ国のエネル ギー安定と経済成長 の維持に役立った。
VI. 天然ガス輸送・販売網の改善 A. 技術協力
TA 2025-BAN: ガスセクターの 安全と効率の改善
B. 借款
Loan 1293-BAN: 第3次天然ガ ス開発
Loans 1942(SF)/1943-BAN: ダ ッカクリーン燃料l
Loans 2188/2189(SF)-BAN: ガ ス輸送開発
Loan1293の下でのAshuganj–Elenga パイプライン のダッカガス供給システムへの接続により、ダッカ 市へのガス輸送能力が拡大した。 これはダッカの 増加するガス需要へのTGTDCLの対応を可能にした。
ダッカ市へのガス供給はLoan1942により更に約150 MMCFD高められた。 ダッカ市へのガス供給は、
Loan2188でのMonohardi- Dhanuaパイプラインおよ びAshuganjのコンプレッサーステーションの完成 の後で更に改善される。
ダッカ地域、シレット地域およびBakhrabadの所管 地域のガス販売網は、Loan1293の下で拡大された。
ガス輸送網の操作性能は計測・調整所とテレメータ ーの設置により改善された。
Loan1942は、CNGステーションへの高圧ガス供給を 可能にするようにダッカ市内のガス販売網を更に 改善した。Loan1942と関連の技術協力は、特に TGTDCLがガス販売(分配)ロスを1994–2000年の8%
から2008年の3.5%に削減するのを含み、効率性の改 善に貢献した。Loan1942は輸送燃料としてのCNGの 導入の手段となった。
Loan2188は現在実施中であり、Jamuna橋西部へのガ ス輸送拡大のためのパイプラインとRajshahiの販 売(分配)網プロジェクトが実施されている。
ガス輸送網の範囲と 容量が高められた。
これは需要中心地と 増大しつつある消費 者数(1994年の0.6百 万から2008年の1.8 百万へ)へガスの増 加する容積の供給を 可能にした。
ガス利用の向上およ び輸送のような新規 アプリケーションへ のガス使用は、外貨 の節約、産業競争力 の改善、
ガス供給による屋内 空気の改善・生活環 境の向上、および輸 送へのCNG使用によ る屋外空気の改善の 起因となった。
VII. エネルギーセクターの管理・規制体制の改善 A. 技術協力
TA 2024-BAN: ガスシステム開 発計画策定と石油ガスセクタ ーの組織・規制体制強化 TA 2800-BAN:ガス規制機関支 援プロジェクト
TA 3129-BAN: エネルギー規制 支援プロジェクト
TA 4379-BAN: 電力セクター開 発プログラム II
TA 4528-BAN: エネルギーセク ターへの民間セクター参画促 進
B. 借款
Loan 2038-BAN: 電力セクター 開発プログラム
Loan 2334-BAN: 持続的な電力 セクター開発プログラム
政府はガスセクターおよび電力セクター両方のた めの結合された規制機関を確立することにした。技 術協力2800、および3129がBERCの準備に必要な最初 の仕事を実施したがBERCへの能力構築支援のほと んどはUSAIDによって提供された。ADBと世銀の両方 はBERCが意図されたように確立されることを保障 するための適切な貸付け保証および計画貸付け条 件を通して政策対話を維持した。
ADBプログラムLoan2038は最終的に2008年にBERCを 機能させる手段となった。 2008年に完全に機能す るようになって以来、BERCは電力セクターの大口顧 客供給料金を調整するための規定を作った。
BERCは最終的に2008 年に完全に機能する ようになったが、独 立した規制機関とし てエネルギーセクタ ーの管理に強い影響 を未だ及ぼしていな い。 但し、それは料 金設定の責任を効果 的に政府から引き継 いだ。 それが独立性 と完全性を維持でき るかどうか注目する 必要がある。
出所:ADB 支援プログラム評価報告書(SAP:BAN 2009-36)
また、エネルギーセクターへの支援を通じて得られた教訓として、以下の事項が 示されている。
1) 改革ロードマップと関連つけた計画的な貸出
ADB は 1994-2008 年のバングラデシュへの支援において電力セクター改革ロ ードマップと関連つけて計画的に貸出をおこなうことにより一定の開発効果 を達成した。ADB は実施時における改革実施能力および政治経済問題を考慮 に入れ、電力セクター改革において一定のマイルストーンを達成することを 条件にして改革実施のための技術協力補助金や投資貸付けを提供した。
2) 組織管理
PGCB と DESCO の商業化と組織化により改善された運営・経営上の実績は完全 な民営化だけが実績改善のための必要条件ではないこと、 適切なインセンテ ィブが経営に提供されなければならないことを示している。
3) 国内民間セクターの新規産業への投資
国内民間セクターは適切なインセンティブや政策制度が確立されれば、CNG 供給のような比較的資本集約的な新しい産業に投資することが可能である。
表 3.3.2 はペトロバングラの 2010 年版年報に基づく情報であるが、ADB が 2010-2011 年度に実施している天然ガス関連のプロジェクトは 12 件であり、その 他 2 件が WB と JDCF によるものである。プロジェクトは、GTCL に対するものが多 く、基本的な天然ガスパイプライン網の強化を目指している。
エネルギーセクターへの今後の取組みについて、ADB「バ」国援助戦略(Country Partnership Strategy 2011–2015: Sector Assessment: Energy)に下表に示す内 容が掲載されている。しかし、Dhanu–Elengak 間天然ガスパイプラインについて は ADB の現地担当者からその予定はないとの説明を受けている。
ADB援助計画(エネルギーセクター:2011-2015)
援助予定項目 主要な成果
エネルギーセクター改革継続
東国境送電連繋実施(Implementation of eastern border power transmission interconnection)
250 / 500 MW 送電線・変電所建設
火力発電の効率改善 複合発電所への転換
(2箇所の120 MW peaking plants)
主要国内送ガス・送電連繋建設 Dhanu–Elenga間天然ガスパイプライン 建設、400kV送電線(500km) 建設 太陽光・風力パイロットプロジェクト
ガス田の安全・供給力改善 Titasガス田の問題がある生産井の修理
表 3.3.2 ADB 等援助機関の支援により実施中のプロジェクト(2010-11)
[百万タカ]
No. プロジェクト名 期間 実施機関 援助機関 予算
(支援額)
3,041 (2,093)
8,346
785 (420)
860 (390) 6,287
1,615 (763) 1,056 (463) 226 (140)
189 (153) 6,853 (3,259)
10,000 (8,100) 555 (347) 5,305 (2,800)
6,855 (4,293)
2,000 (0) 1,400
(0) 55,372 (31,826) WB
JDCF
Total
ADB ADB ADB ADB 9 Construction of Bheramara-Khulna
20"diax162.50km Gas Transmission Pipeline
Jul'07-Jun'12 1 Muchai-Ashuganj Compressor Station
Installation Project
Jan'06-Dec'11
GTCL PSC
ADB Construction of Monohordi-Dhanua,
Elenga-East Bank of Jamuna Bridge 30"
diax120km Gas Transmission Pipeline and Installation of Compressor Stations at Ashuganj and Elenga
2
ADB
ADB
ADB ADB ADB ADB Construction of West Bank of Jamuna
Bridge-Nalka, Hatikumrul-Iswardi-Bheramata 30"diaX98.10km Gas Transmission Pipeline
4
Jul'06-Jun'11
GTCL 3 Appraisal of Gas Field (3D Seismic)
(Titas, Bakhrabad, Sylhet, Kailashtila and Rashidpur) Project (Revised)
Jan'06-Dec'12
BGFCL SGFL
Jan'06-Jun'11
GTCL
(5,183)
(3,422) Construction of Bonpara-Rajshahi Gas
Transmission Pipeline
5
Jul'06-Jun'11
GTCL
7 System Loss Reduction of Titus Gas
Transmission and Distribution Company Ltd.
Jul'06-Jun'11
TGTDCL 6 Gas Distribution Network in Rajshahi City
and Adjoing Area
Jul'06-Jun'11
PGCL
GTCL 8 Upgradation of Data Center of BAPEX
Jul'06-Jun'11
BAPEX
11 Supply Efficiency Improvement of Titus Gas Transmission and Distribution Company Ltd.
Jan'10-Oct'12
TGTDCL 10 Gas Seepage Control and Appraisal &
Development of Titus Gas Field
Jan'10-Jun'14
BGFCL
13 Construction of Bakhrabad-Siddhirganj Gas Transmission Pipeline
Jul'07-Dec'12
GTCL 12 Gas Distribution Network in South-West Zone
Jan'10-Dec'12
SGCL
14 Exploration and Production Company Building of BAPEX
Jul'08-Jun'11
BAPEX BGSL
出所:ペトロバングラ年報 2010
(2) 世界銀行(WB)の支援状況
WB のウェブサイト情報によると、現在履行中のエネルギーセクター関連案件は表 3.3.3 に示すとおりである。
表 3.3.3 WB 支援により履行中のエネルギーセクター関連案件
No. プ ロジ ェク ト名 番号 支援金額
( Mi l . U S$) 状況 承認日 1 Additional Financing II For Rural Electrification and
Renewable Energy Development Project P126724 172 Active 4-Oct-2010 2 Efficient Lighting Initiative for Bangladesh P118605 15 Active 28-Jun-2010 3 GPOBA: Rural Electrification & Renewable Energy P119547 1.1 Active 13-May-2010 4 Investment Promotion and Financing Facility P117542 257 Active 4-May-2010 5 GPOBA: Bangladesh Solar Home Systems P119549 7.2 Active 26-Mar-2010 6 Additional Financing For Rural Electrification and
Renewable Energy Development Project P112963 130 Active 4-Aug-2009
7 Siddhirganj Peaking Power Project P095965 350 Active 30-Oct-2008
8 Grameen Shakti Solar Homes Project P106135 9 Active 17-Dec-2007
9 Investment Promotion and Financing Facility P089382 50 Active 2-May-2006 10 Power Sector Development Technical Assistance
Project P078707 15.5 Active 3-Jun-2004
11 Rural Electrification and Renewable Energy
Development P071794 190.98 Active 25-Jun-2002
12 Haripur Power Project P065131 60.9 Active 1-Jun-2000
13 EGY SEC ADJ CREDIT SUPPLEMENT P009551 2.3 Active 12-Oct-1989
特に、No.7 と No.10 は電力セクター案件であるが、一部天然ガス関連プロジェク トを含むのでその概要を以下に示す。
1) Siddhirganj Peaking 発電所プロジェクト(Credit No. 45080-BD; P095965)
以下を含む
·
60km natural gas pipeline from Bakhrabad to Siddhirganj·
335MW gas fired power plant·
11km, 230kV transmission line to grid substation·
O&M 技術支援2) 電力セクター開発技術支援プロジェクト(Credit No. 3913-BD, Grant No.
H092-BD, P078707):
·
LNG 輸入に関わるコンサルタントサービス(24 ヶ月)·
BPDB の発電所性能改善に関わるコンサルタントサービスWB は電力セクターに援助を続けるが、天燃ガスセクターへは主要な貸付案件 の予定はない。 但し、キャパシティビルディングプロジェクトなどでガスセ クターを支援する可能性はあるとの事であった。
WB の「バ」国援助戦略文書(CAS:Country Assistance Strategy 2011-2014)に 掲載される過去の支援で得られた教訓を以下に示す。
① CAS 完了報告書(CAS Completion Report)からの教訓
·
進捗を適切に評価するためにできるだけ少数の明確に関連付けられた 物差しで、CAS による成果を処理しやすくまとめて定義する。·
よりよい結果を達成するため計画の実施中に進捗をモニターし調整を おこなう。·
次の CAS をうまく実施するために、特にインフラや気候変動のようなよ り大きな重点が置かれる分野において、十分で適切なスタッフと技術混 合を確実にする·
統制(Governance)および制度上の改革には望ましい成果を達成するた め多大な時間が必要である。たとえ、実績が脆弱で進捗が遅くても主要 なセクターでは関わり続けることが重要である。·
開発への障壁として弱い統制に取り組むことは適切だったが、バングラ デシュや南アジアの他の国においてこの明らかに扱いにくく蔓延した 問題(弱い統制)をもっと効果的に処理すべきであった。② 援助評価(Country Assistance Evaluation)からの教訓
·
マクロ経済の管理はある程度改善したが、公共セクター改革はあまり進 まなかった。特に、行政事務を率先して改善しようとする政治的な意思 が不十分であった。·
CAS のモニターと評価が増強されるべきである。·
WB の調整は多くのセクターで強力であったが、エネルギーと給水の分野 での調整は弱くその成果は不十分であった·
エネルギーや農業のような対話が困難なセクターにおいても、一定の結 果を得るためには長期に関係を維持し続けることが大事である。·
設計や分析諮問作業の実施には、政府、市民社会および開発パートナー などの全ての関係者を含むべきである。「バ」国援助戦略文書(CAS:Country Assistance Strategy 2011-2014)に提案さ れる WB の今後の取組みは、図 3.3.1 の 4 つの戦略目的に基づいて構成され る。この戦略目的を達成するため、それぞれに4つの成果が設定され、援助