第 7 回 (11/9) 波 (2)
11. 放射線と原子核の崩壊
2017/1/11 入門物理学 B
電子軌道配列を考えた立体周期表の例 Elementouch (京都大学前野教授の考案) http://www.ss.scphys.kyoto-u.ac.jp/elementouch/
動画 https://www.youtube.com/watch?v=9eaU2kq3urU いろいろな周期表のデータベース (英語)
http://www.meta-synthesis.com/webbook/35̲pt/pt̲database.php
11
2017/1/11 入門物理学 B 12
11-2. 放射能の発見
(1896年、アンリ・ベクレルによる
キュリー夫妻と共に1903年ノーベル物理学賞) レントゲンの発見に刺激を受け、
蛍光物質から X 線が出るかどうか研究 太陽光に当てたウラン塩が蛍光して
その写真乾板が感光し、黒化していることを発見
曇りの日に実験を中断し、ウラン塩と写真乾板を保存
それでも写真乾板は感光し、黒化していた (自発放射能の発見) 。
放射性物質が 1 秒あたりに崩壊する原子の個数の単位を ベクレル [Bq] と呼ぶ。
キュリー夫妻による放射性元素
ラジウム・ポロニウムの発見 (1898年、1911年 ノーベル化学賞) 非常にたくさんのウラン鉱石から精錬
ラジウム 1 g が1秒間に崩壊する原子の個数を元に定められた放射能の単位を キュリー [Ci] と呼ぶ。 1 Ci = 3.7 1010 Bq である。
Henri Becquerel (仏、1852-1904)
画像は Wikipedia より引用
2017/1/11 入門物理学 B
11-3. α線、β線、γ線の発見
ラザフォードが、ウラン等の天然の放射性物質 から出ている放射線の物質による吸収の測定から 電離能力 (原子から電子を剥ぎ取る能力)・
透過能力の異なる 2 種類の放射線(α線・β線)を発見 (1899 年)
更に透過力が大きい放射線があることも分かり
(1900年 Paul Villard (仏)), ラザフォードがγ線と
名付けた (1903 年)。また、α線の正体 (ヘリウム 42He の原子核) は ラザフォードによって、β線の正体 (電子) はベクレルによって放射線を 電場及び磁場で曲げて、e/m = (電気量)/(質量) を測定することにより 明らかになった。
それぞれの放射線の性質
α線: 紙一枚で防ぐことができる。空気中では数 cm 飛べる。電離作用が強い。
β線: 厚さ数 mm のアルミニウム板で防ぐことができる。空気中では数 m 飛ぶ。
γ線: 正体は X 線よりさらに高エネルギーな光子 透過力が高く、20 cm以上の鉛の板が必要。
13
Pierre Curie (仏 1859-1906)
& Marie Curie (1867 - 1934) 画像は Wikipedia より引用
2017/1/11 入門物理学 B
11-4. 陽子と中性子の発見 (原子核物理の始まり)
陽子の発見 (1919年)
ラザフォードは、α線を軽い原子核に当てると原子核またはα粒子の破壊が 起こるのではないかと考え観察を行った。
窒素とぶつかったα線から水素の原子核 11H が放出され、
ギリシャ語で「最初」を表す proton (陽子) と名付けた。
147N + 42α → 178O + 11H (p): 人類初の原子核反応
中性子の発見 (1932年、1935 年ノーベル物理学賞) 1920 年ラザフォードが
その存在を予想
James Chadwick (英、1891-1974) により実証
94Be + 42α → 126C+10n
画像は Wikipedia より、Photo by Bdushaw (11 November 2017), CC-BY-SA4.0 ライセンス
14
2017/1/11 入門物理学 B
11-5 原子核の崩壊
原子核の崩壊 … エネルギーが低い状態になろうとし、
ある原子核から他の原子核へ移り変わること。
多くの超重原子核では自然に崩壊して放射性崩壊を起こす 崩壊過程は主に 3 種類ある
α崩壊 原子核がα線 (ヘリウム 42He の原子核) を出して崩壊 β崩壊 原子核がβ線 (電子) あるいは陽電子を出して崩壊
原子核の中性子の1つが陽子に変わる場合 n → p + e- + (反ニュートリノ), 陽子の1つが中性子に変わる場合 p → n + e+ + ν
陽子が電子を捕獲する場合 p + e- → n + ν が存在する。
γ崩壊 中性子や陽子はそのままでγ線を放出してエネルギーを下げる。
(※) 陽電子は電子と同じ大きさで、ただし + 符号の電気を持ち、
その他は電子と性質が等しい、いわゆる電子の反粒子である。
ウラン原子核の連鎖反応
ウランの大部分は 238U であるが、0.7% 235U が含まれている。
10n + 23592U → 14156 Ba+9236Kr + 310n 等の核分裂反応が起きる。
放出された中性子が他の235U 原子核にあたり、次々と核分裂反応が起きる。
(連鎖反応)
15