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第 7 回 (11/9) 波 (2)

4.  原子・分子・周期表

2017/12/14 入門物理学 B

2017/12/14 入門物理学 B

電気化学の発展 

電荷 Q[C] … 電気量あるいは、電気を持った物体の意味で用いられる。 

単位は [C] (Coulomb)  +の電気と­の電気がある。 

電流は + の電気が流れる方向と定義される。 

通常、電流は導線内を+極から - 極に流れる。 

アレッサンドロ・ボルタ(伊、1745 - 1827)によるボルタ電池の発明 (1800年)  ハンプリー・デイビーによる新元素の発見  

電気分解 (化合物に電圧を加え分解する) による  カリウム (K)、ナトリウム (Na)の発見 (1807年) 

カルシウム (Ca)の発見、マグネシウム (Mg)・バリウム(Ba)・ 

ストロンチウム (Sr) ・ホウ素 (B)の単離 (1808 年)  塩素(Cl)・ヨウ素 (I)を元素と主張 (1810・1813 年)

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画像は Wikipedia 「電気分解」より引用  (図) 食塩水の電気分解 

陽極: 2Cl-→ Cl2+2e- (e- は電子を表す)  陰極 2H2O +2e- → H2 +2OH

辺々を足して、更にNa+イオンを足すと、 

2NaCl+2H2O→Cl2+H2+2NaOH 

電流の向き

画像は Wikipedia より改変

2017/12/14 入門物理学 B John Dalton (英、1766-1844) 

化学者、物理学者、気象学者 

著名な弟子: James Prescott Joule          (英、1818 -1889)

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Sir Humphry Davy   (英,1778 -1829)   化学者、発明家 

マイケル・ファラデーは  彼の実験助手であった。 

Amedeo Carlo Avogadro   (イタリア、1776 - 1856)  化学者、物理学者 

画像は Wikipedia より引用 

1811年: 論文「物質の基本粒子の  相対的質量とこれらの化合比率を  決定する一つの方法」

Dmitri Mendeleev   (露, 1834-1907、 

 サンクトペテルブルク大学教授) 

画像はともにWikipedia より引用

入門物理学B

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アボガドロと分子 

異なる元素の結合に対するドルトンの仮定 「単純さ最大の仮定」 

元素がある特定の比率でのみ結合するとき、それに反する証拠がない限り最も小さい  整数個の原子が化合すると推定する。 

ドルトンは水を HO (実際は H2O), アンモニアをNH (実際は、NH3) と記した。 

更に化学式に基づき、原子量を水素1, 窒素 5 (実際は 14), 酸素 7 (実際は 16)とした。 

ただし実証に基づくものではなかったので、化学式や元素の原子量には疑問が残った。   

気体化学、特に体積に対する理解の進展 

◎ゲイ=リュサック (仏 1778 -1850)による気体反応の法則 (1808年) 

「ある反応に 2 種以上の気体が関与する場合、反応に関係する 

各気体の体積は、同じ圧力、同じ温度の元で簡単な整数比になる。」 

例. 水素 2L と酸素 1L から水蒸気 2L ができる。

入門物理学B 2017/12/14

アボガドロと分子(続き) 

当時は同種の原子が結合して分子になるという発想は常識外とされていた。 

素朴に考えると酸素原子は半分に分かれることになってしまう (下図)。 

原子が分割不可能であるという原子説の前提と矛盾。 

         +      =  

アボガドロの法則 (1811年、当時は仮説) 

「同一圧力、同一温度、同一体積の全種類の気体には同数の分子が含まれる」 

当時は重要性が理解されず → そのため各元素の質量比の決定が困難 

アボガドロの法則に従って分子を認めると、水素が酸素と結合して水ができる反応は、 

次のように表される。 

       +      =   

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見事原子を分割することなく、実験結果を再現 2H2+ O2 → 2H2

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原子量の決定 

スタニズラオ・カニッツァーロ (伊、1826-1910) の方法 

「ある元素の原子量を求めるにはその元素を含む多数の気体を反応させ、 

   その分子を取り出し、同じ圧力、同じ温度、同じ体積の元での質量を調べ、 

   その最大公約数を元にして決めれば良い」 

→ メンデレーエフも会議に参加しており、周期表のデータの元になった  原子の質量はほぼ陽子と中性子からなる (後述) 

質量数… N: 中性子数 Z: 陽子数として、 A=N+Z のこと 

各原子は、AZ (元素記号) で表す (左下の Z は書かないことも多い)   例. 炭素 12 → 126C (6個の陽子と6 個の中性子)   

     278113Nh (113 個の陽子と165 個の中性子) 

原子量…「一定の基準によって定めた原子の質量」 

現在では (1961年から)、12C の原子質量の 1/12 を 1 とする。 

分子量… 分子を構成する原子量の総和  アボガドロ定数 N

12 g の炭素 12 (12C)の中に含まれている原子の個数    NA=6.02… 1023  [1/mol] 

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1858 年の論文、1860 年の国際会議によってアボガドロの仮説の再評価

入門物理学B 2017/12/14

1 mol  物質量を表す単位 粒子がアボガドロ定数 N個集まったら 1 mol  (物質量)=(粒子の個数)/(アボガドロ定数) 

ある元素の原子が1 mol 集まると (原子量) g となる。 

例. 酸素 (O) の原子量は 16 であるので、酸素原子(O) 1mol の質量は 16 g 、 

酸素分子 (O2) 1mol の質量は 32g。酸素分子 1mol は酸素原子 2 mol に相当する。 

多数の元素発見と周期表 

19世紀は元素発見の時代でもあった (100年間で 50 個)。鉱石の分析(希土類元素)、 

電気分解、炎光分析(光のスペクトルを見る方法、第7回の講義)  (疑問) 1. 元素は一体いくつあるのか? 

         2. お互いの元素の間に何か関係性はないのか? 

1869年、ドミトリ・メンデレーエフ により、原子量順に元素を並べた周期表が  作成される (次ページ)。 

現在は アルフレッド・ヴェルナー (スイス、1866-1919, 1913 年ノーベル化学賞)による、

長周期表 (1905年) が一般に用いられる

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入門物理学B 2017/12/14

1871年にメンデレーエフが改良した周期表 

当時未発見だった、原子量 44, 原子量 68, 原子量 72 の元素は後に見つかり、 

それぞれスカンジウム (Sc),ガリウム (Ga), ゲルマニウム(Ge) と名付けられた。 

画像は Wikipedia から引用

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5. 電子の発見と電気素量 

雷などは空気中を電気が流れる (火花放電)。 

1833 年 マイケル・ファラデー 「電気についての実験的研究」 

          希薄な気体中で、電圧をかけるとその間で放電しやすい        (ネオンサイン [1912年パリ万博が初出] などの原理)  1869 年 ヴィルヘルム・ヒットルフ (独、1824 - 1914) が        放電管中に置いた物体の陰から、 

      ­ 極から放電が発生していることを発見 

       (­の電荷を持つ物質 [後に陰極線と名付けられる] が         ­ 極から + 極に移動している)     

1875 年 ウィリアム・クルックス(英、1832 - 1919)により         クルックス管(より真空度が高い放電管)が開発される  陰極線に関しては、以下の性質が分かっていた。 

1. 陰極線を羽根車に当てると、羽根車が回転する。 

2. 陰極線に磁石を当てると曲がる (1895 年、ジャン・ペラン (仏、1870 - 1942))   → 陰極線は波ではなく粒子  

 (電磁気学によると、ある電荷が磁場中を走ると曲げられる)

入門物理学B 2017/12/14

J.J. トムソンによる実験 

(1897年、1906年ノーベル物理学賞) 

陰極線が電荷を持っていれば、電圧をかけると陰極線は曲がるのでは? 

高い真空度を達成することにより、薄い空気に時間的に一定な電圧をかけ、 

陰極線を曲げることができた。 

その結果、磁場で陰極線が曲がる現象と比較して、 

電子の(電荷)/(質量) = e/mを得た。この値はこれまでに知られていた   水素イオン (H= 陽子) の e/mH+ の値よりも1700 倍大きい。 

したがって、me は mH+ よりも 1700 倍 小さい (現在の値は 1836 倍程度)。 

トムソンが論文で用いた図 

クルックス管のC(陰極)から電子が飛び出し、陽極A, Bを通過し、電圧を加えた DE の間で  曲がり、奥にぶつかる。 (画像はWikipedia より引用)

原子より、遥かに小さな ­ の電気を持った粒子であることが判明 (電子の発見) 

トムソンは、気体の種類や、陰極や陽極の種類を変え実験するが、結果は変わらなかった 

→ 電子は全ての物質に共通

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2017/12/21 入門物理学 B

入門物理学 B 

第 13 回 (12/21) 原子模型・光の粒子性  6. 原子模型 

7. 光の粒子性 

第 14 回 (1/11) 波と粒子の二重性・電子軌道  7. 光の粒子性 (続き) 

8. ボーアの原子模型  9. 電子の波動性 

10. 電子軌道と周期表 

11. 放射線 (時間が余れば) 

法政大学 市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川 賢治  (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)

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2017/12/21 入門物理学 B

ミリカンの油滴実験  

(1909年、1923 年ノーベル物理学賞)  電子の電気量 (電気素量) e を測定した実験

Wikipedia ̀̀Oil drop experiment “  より引用、Photo by Theresa Knott  

(13th August, 2004), CC-BY-SA 3.0 ライセンス

F = ma から、油滴にかかる力の合計 F が 0 ならば、加速度 a も 0 なので、 

油滴は等速度運動を始めるはずである。高電圧電源を左につなぐ。 

1. 電源 OFF の場合  (重力 W) = (空気抵抗 kv0) となり、すぐに     終端速度と呼ばれる、一定の速度 v0で油滴が運動する。 

    (※)ここで、k は流体力学から知られる既知の量である。 

2. 電源 ON の場合   

高電圧をかけ電子を上向きに速さ v1 で引っ張る。 

電気力 Fe, 重力 W = kv0, 空気抵抗 kv1が釣り合って、 

粒子が等速度運動する。したがって、Fe = kv0+kvが電気力。 

重力 W (=kv0) 空気抵抗 kv0 

重力 W (=kv0) 空気抵抗 kv1 

­極

+極

­極

+極

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電気力 Fe

入門物理学B 2017/12/21

ミリカンの油滴実験  

(1909年、1923 年ノーベル物理学賞) 

続き 

電磁気学によると、Fe は極板間距離 d [m], 油滴の電気量 Q [C], 電池の電圧 V [V] から  Fe = QV/d と求められる。したがって、QV/d = kv0+kvである。 

v0, v1, V, d の測定によって、Q を求めることができる。 

結論  油滴の電気量 Q はいつもある電気量 e (電気素量) の整数倍になる   e = 1.593 (  0.030) 10-19 [C]  (現在の値は e=1.602…  10-19[C])

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Robert Andrews Millikan  

(米、シカゴ大→カリフォルニア  工科大 1868 -1953) 

電気素量の発見、光電効果 (次 回)の実験的検証、宇宙線物理学  教科書執筆でも有名

Sir John Joseph Thomson  

(英ケンブリッジ大、1856 -1940) 

電子の発見、e/me の測定、同位体の発見  著名な弟子: ラザフォード、ランジュバン、 

オッペンハイマー、マックス・ボルン、 

ジョージ・パジェット・トムソン (息子)

画像はともに 

Wikipedia より引用 Micheal Faraday  

(英王立研究所、1791 -1867)  化学者、物理学者 

電磁気学・電気化学に貢献  電気力線・磁力線の概念 

電磁誘導の法則、電気分解の法則を発見  ベンゼンを発見

2017/12/21 入門物理学 B

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