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第 7 回 (11/9) 波 (2)

2.  ローレンツ変換

世界線 (物体の運動を表す方法) 

縦軸に時間 t を、横軸に位置 x を取って物体の運動を表す (図1) 

O x

t

10 km 1s

この縮尺では光の運動を記述すると非常に遠くまで行ってしまう。 

そこで時間 t に光速 c をかけて、長さ ct を縦軸にとる。 

静止した人を基準にする場合、 

光の世界線は x 軸と 45 度と 135 度をなす直線になる (図2)。 

つまり、光は x = ct と x = ­ ct と言う世界線上を進む。 

古典物理学の立場では、 

c/2 の速度で前方に飛ぶ宇宙船の中でも、時間は同じ。 

宇宙船から見た光の速度は c/2=15万km/s と 3c/2 = 45 万km/s  になるはず(図3)。しかし、これは光速度不変の原理に反する。 

図1 10 km/s で  動く物体の世界線

O

x[km]

ct  [km]

30万 30万

-30万

図2 静止している座標系で 

  前後に進む光の世界線 O

x[km]

ct [km]

-30万 15万30万

図3 図 2 に 15万 km/s 

で動く宇宙船の世界線 (緑色)  を書き加えたもの

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入門物理学B  2017/11/23

ローレンツ変換の図的イメージと数式 

相対論では、光速度不変の原理を仮定して、時空の軸が傾いても良い 

止まっている人にとっての世界線: ct 軸と x 軸を 2 つの軸とする平面上の線とする。 

動いている人の時空の軸: ctʼ軸 (xʼ=0) を考える。 

動いている人の原点 xʼ = 0 は止まっている人にとっては x = vt という線の上であるので、 

ctʼ 軸は速度 v に応じて傾いている。 

光 (赤色) は静止した人にとっては (黒の軸) ct = x,   ct = ­x  という世界線上を進むし、 

一定速度 v で動く人にとっても (緑の軸)     ctʼ = xʼ, ctʼ = ­xʼ という世界線上を進む。 

したがって、時間と空間の軸は光の世界線に関して対称(折り返すと重なる) なので、 

動いている人の xʼ 軸も傾く。 (下図の緑の軸)。 

       光は静止した人にとっては x2  ー(ct)2  = 0 

       動く人にとっては  xʼー(ctʼ)= 0 の世界線上を進む。 

      以下の一般的な点の対応を考える。 

      つまり 点(x, ct) と 点(xʼ, ctʼ) は同一の点を表すとする。  

            x = vt の点は xʼ = 0 であるべきなので、 

       

      xʼ = k[x­(v/c)(ct)]   (k>0)  

       ctʼ= ax+b(ct)         (b>0) の形になる。 

      (k >0, b > 0 は 軸の方向が揃っていることを表す) 

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x軸  ct軸  ctʼ軸

光の世界線 ctʼ xʼ軸

ct

x

2017/11/23 入門物理学B 10

ローレンツ変換の図的イメージと数式 (続き) 

光の世界線 静止している人にとっては x2  ­ (ct)2  = 0            運動している人にとっては xʼ­ (ctʼ)= 0 

x- (ct)2= xʼ- (ctʼ)2 … ①  を満たすように点 (x,ct) と点 (x,ʼctʼ) が対応すると する。 

 xʼ= k[x-β(ct)] (k>0)   …②  (β=v/c は光速を1とした時の速度)   ctʼ= ax+b(ct)   (b>0) …③  

速度 v (つまりβ)が与えられた時、k, a, b が決まると、変換が決定できる。 

①の右辺に, ②と③を代入して k, a, b を決めると、k=b=γ, a =­βγ  従って、ローレンツ変換は 

xʼ  =γ[x­β(ct)]=γx­βγ(ct),   ctʼ= ­βγx +γ(ct)    となる。 

ただし、      (>1) 

(※) βは英語の b に対応するギリシャ文字でベータと呼ぶ。 

     

γ = 1

!1 β2

時間と空間は関係のないものではなく、 

お互いに混ざり合うもの 

→ 4 次元時空という新しい概念

2017/11/23 入門物理学B

ローレンツ変換の相対性 

点 (x, ct)と点 (xʼ, ctʼ) の関係     xʼ  =      γx -βγ(ct),      ctʼ= -βγ x +γ(ct)

ctʼ軸

xʼ軸

x軸 ct軸

逆に (x,ct) について解くと、 

    x = γxʼ + βγ(ct')      ct  = βγxʼ +γ(ctʼ) 

これは、上の式で β→ ­β, x   xʼ, ct   ctʼ  としたものであり、静止している人は 

動いている人から見て速度 ­v で動くことを表す。

注意: 日常の世界 (非相対論) では v は c に比べて極めて小さいので、 

β=v/c はほぼ 0 であり、βc = v,       はほとんどの場合 1 と考えて良い。

点 (x, ct) と点 (xʼ,ctʼ) の関係はローレンツ変換で与えられるが、 

日常の世界では、xʼ= x­vt, tʼ= t  となり通常のケース (ガリレイ変換)に戻る。 

このことは、世界線の言葉で言うと、 

日常では時空の軸の傾きがあまりに小さく気づかないことに対応している。

γ = 1

!1 β2

2017/11/23 入門物理学B 12

3. ローレンツ変換からの結論 

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