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投資株式の評価に関する最近の動向

ドキュメント内 連結会計論 (ページ 70-82)

一 一 一 米 国 連 結 会 計 思 考 発 展 の 一 考 察 一 一 一

最近,米国では連結会計における投資先会社の株式評価をめぐって各種の問題 が議論されているが,基本的には投資会社が投資先会社の株式所有を通じて享受 する投資収益性をいかに正しく財務諸表上に報告するかについて検討されている ものである。換言すれば,それは,米国の資本市場における株式支配の一般化と いう今日の経済社会の情勢の中にあって,特に過半数所有に至らないが,投資先 会社の経営および財務政策に重要な影響を与える能力をもっ投資会社が,最近,

各種の資本提携の形態をとって激増し,その実態が益々複雑化している現実に鑑 みて,その問題の重要性が認識されたものである。

われわれは,米国公認会計士協会の公表する一連の報告書を公表順に検討した 場合,そこに連結会計における投資先会社株式の評価基準について,原価法から 持分法へと

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斬次的な発展のみられることを知るが かかる発展とともに新たな問 題が生起し,これの解決策として原価法から時価法への接近が試みられている。

そこで,かかる連結会計思考の発展の背後にある論理を探ぐるために,投資株 式の評価基準としての持分法のもつ問題点を指摘し,さらに持分法および時価法 のもつ社会・経済的な意義を明らかにすることによって,連結会計の発展上にお いて持分法がもっその重要性を解明したいと考えている。

最近の米国では,従来の原価法は大きく修正を加えられて,今や持分法がその 重要性を増大しつつある。すなわち.1959年8月公表の「会計調査公報第51号 連結財務諸表」では,非連結従属会社株式の評価方法として持分法と原価法の両 者を挙げ.ただ持分法が好ましいとしていたにすぎなかったりのが.1966年12月 公表の「会計原則審議会意見書第10号 1966年度各種意見書」では,囲内にある

非連結従属会社については,原価法が廃されて,持分法が原則とされるに至っ た2)。さらに,一昨年3月公表の「意見書第18号一普通株式投資の会計としての 持分法」では,持分法の適用範囲が一段と拡大され 在外会社を含む非連結従属 会社のみならず, 50%所有の折半出資会社,さらには20%以上所有の関係会社に 対する投資についても,持分法によって評価せねばならなくなったのである3)

それでは,なぜ従来の伝統的な原価法よりも持分法が積極的に支持・主張され るのであろうか。意見書第18号によれば,原価法の下では,投資収益の認識が配 当によるため「投資先会社の経済事情における重要な変化が反映されない

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の で,支配・従属会社聞における経済的事実関係が暖昧にされ,従属会社の配当操 作による支配会社の利益操作が可能となる5)が,

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持 分 法 は , 投 資 会 社 が 投 資 先 会社の損益に占める持分を,投資先会社の配当を宣言する期間よりも投資先会社 によってそれが報告される同じ期間に利益に含めるので,これを未然に防止す る

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のである。また,原価法によれば,非連結従属会社株式の評価減は認めら れるが,評価増は認められない7)ので,投資先会社の連結し、かんによって,支配 会社の利益額が異なる8)ため,連結範囲の操作によって,ある稜度,支配会社の 利益操作が可能となるが,

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従属会社の投資が持分法で会計処理されようが,従 属会社が連結されようが,当該期間の投資会社の純利益および当該期末の株主持 1)  ARB No. 51: Consolidαted Finαncial Stαtements. Paul Grady, Inventory 

of Generαlly  Accepted Accounting Principles for Business  Enterprises,  1965, p. 323. 

2)  AICPA,APB Opinion No. 10: Omnibus Opinion ‑1966," The Journαlof  Accountαncy, February 1967, p. 66. 

3)  AICPA,APB Opinion No. 18:  The Equity Method of  Accounting for  Investments in Common Stock", The Journal of Accountαncy, June 1971.  p.63. 

4)  Ibid., p. 64. 

5), 6)  Thomas E. Lynch,Reporting Requirements for Equity Securities," 

Manαgement Accounting, December 1972, p.  23.  7)  Paul Grady, op. ci t.,p. 324. 

8 )  富田岩芳稿「子会社投資の評価法としての実価法と原価法J企業会計 18巻12 89

分は,同一である91

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ので,持分法によって,実質上,連結と同様の効果が達成 できるのである。さらに「投資先会社の経営および財務政策に重要な影響を与え る能力をもっている10IJ

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投資会社は,当該投資に対する収益性について,ある 程度の責任をもつこととなるが

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持分法は,かかる投資の維持費用と投資収益 とを対応表示させるものであるから,投資収益性に責任をもっ支配会社が,投資 先会社の経営成果を示して,その良否を明確にする必要性にヨリ一層適合するも のである。以上の他にも,種々持分法採用の論拠はあるが1ペ主としてかかる理 由によるものと考えられるのである。

次は,持分法の適用範囲であるが,これについては数多くの意見の相違や批判 がみられるがべ結局「投資会社が,たとえ議決権株式を50%またはそれ以下し か所有していなくとも,投資先会社の経営および財務政策に重要な影響を与える 能力をもっている場合には 普通株式投資の会計処理として持分法が採用される べきである1つという結論に達した。かかる能力は取締役会の議決権,政策決定 の過程への参画,重要な会社聞の取引,経営管理者の人事交流あるいは工業技術 の依存度などによって知ることができる。したがって,持株比率も重要なことで はあるが,

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ある投資会杜が投資先会社の議決権株式を相当数または過半数所有 することが,必ずしも他の投資会社が重要な影響を与える能力を阻止するとは限 らない15IJので,実際の適用にあたっては,一応の合理的な統一性を図るため,

「投資先会社の議決権株式の20%ないしそれ以上の投資を(直接または間接に) もっている場合は,その反証がない限り,投資会社は投資先会社に対して重要な 影響を与える能力をもっているものと推定されること16IJとされたのである。

このように,持分法の適格要件は,社外発行済議決権株式の所有比率によるの であるが,投資会社の持分利益額は,実際の普通株式の持株比率に基づくのであ るヘ例えば,議決権付普通株式の10%と別に,これを合わせて総発行済議決権

9),10)  APB Opinion No. 18, op. ci ,.tp.  66.  11)  Ibid., p. 65. 

12)  この点については,拙稿「連結会計思考と持分法J彦根論叢第158,159合併号1おー

148頁を参照されたL

。 、

13)  APB Opinion No. 18.  op. cit., p. 68‑69.  14)‑16)  Ibid.p.66. 

株式の20%まで増加する議決権付転換優先株式を所有していた場合,当該投資会 社は持分法の採用が可能であるが,投資先会社利益に占める当該持分は,単に普 通株式の所有比率10%に基づいて計算されるにすぎないのである。

また,投資先会社損失に占める当該持分の認識によって,投資の帳簿価額が零 まで減少した場合,

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投資会社は通常,投資(および正味債権)が零に減額され た時に,持分法の適用を中止すべきである吋とされている。ところが, (1)投資 会社が投資先会社に対して債務保証または財務的援助を約した場合, (2)投資先 会社が直ちに営業利益を計上する確実性のある場合には中止されない。また,た とえ中止されても,

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投資先会社がその後に純利益を報告すれば,投資会社は,

当該純利益の持分が持分法の一時中止期間中に認識されなかった純損失の持分に 等しくなってから,持分法の適用を再開せねばならない叶し,かかる持分法の 適用中止期間中に,持株比率に変動が生じた場合には,これを考慮して再開時点

を決定せねばならない。

かかる複雑で精密な会計処理が要求されている上に,財務諸表の連結と同程度 に煩雑な会計手続を経る必要のある持分法は,連結と同一の純効果を与えるので,

一般にone‑lineconsolidationと称されているが,持分法では,投資先会社の売 上高を計上せずに,投資勘定を通じて利益のみを変動させるため,重要な売上高 利益率が,従来と異なってくる劃。また,内部損益についても,持株比率20%以 上の場合,消去されるべき額は,全額か持株率相当額かの問題があるが,

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内部

損益の消去は,投資会社が当該利益に対しでもつ持分所有比率に限定されるべき である,という考え方が漸次表れてきているようであるヘ」

17)  Thomas E Lynch, op. ci., tp. 23‑24.なお,この場合の議決権株式は.優先 株式・普通株式の別を問わないが,普通株式等価物 (commonstock equivalents)  が,たとえ 11株当りの利益」の計算に含められていても,この計算には含められ ないのである。 (B.Michl Lloyd and Jerry J.  Weygandt,Market Value  Information  for  Nonsubsidiary  Investment,"  The  Accountiog  Review,  October 1971. p. 756.  ) 

18),19)  Paul Pacter,Applying APB Opinion No. 18‑Equity Method." The  Journal 01 Accountαnαcy, September 1971, p. 67 

20),21)  Thomas E. Lynch, op. ci, t.p.  24. 

既にみたように,持分法適用の基準は,本来,投資会社の投資先会社に対する

「重要な影響

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を与える能力であるが,実際的便宜上から,投資先会社の社外発 行済議決権株式の20%以上あれば,かかる能力が存在するものと推定され,それ 以下の場合には,投資会社がこれを立証せねばならない。したがって,一般的に は,次のような場合,どのような会計処理が行われるべきかという問題が生じて くる。 (1)投資会社による当該株式の一部売却,投資先会社による当該株式の増 資などによって,投資先会社株式が20%基準以下に減少したか,投資先会社の政 策に影響を与える能力を喪失した場合, (2)投資会社による当該株式の追加取得,

投資先会社による当該株式の買取または減資などによって,当該投資が20%基準 以上に達したか,投資先会社の政策に影響を与える能力を獲得した場合である。

意見書第18号によれば, (1)の場合は,持分法の適用を中止し,

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投 資 会 社 の 所 有 株式に関連して,以前に発生した損益は,投資簿価の一部としてそのままにして おかねばならない。投資勘定は…遡及的に調整されるべきではない。しかし,当 該期間の利益に対する持分を超過したその後の期における投資会社の受取配当は,

投資簿価の減額として会計処理されねばならない22lo

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反対に, (2)の 場 合 は , 持 分法を適用し,

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投資会社の投資, (当期および前期に表示された)利益および留 保利益は,従属会社の段階法による株式取得会計と一致した方法で,遡及的に調 整されねばならない田

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のである。

このように,持株率20%を基準として,原価法と持分法との相互の適用変更が 行われるように要求されているが,かかる基準が果してそれだけの重要性をもっ ているものなのであろうか。「重要な影響のテストとしての独断的な20%持 株 率 基準は,審議会のメンバー聞の妥協の結果である。……持分法が支配されている 投資に限定されるべきであると確信した人々は,一般に20%で支配を立証するに

22)  APB Opinion No. 18, Pαrα:grαph 191, op. cit., p. 67. 

23)  APB Opinion No. 18, Pαrα:grαiph 19m, op. ci., tP. 67.なお,意見書第18号 に関する問題点については,拙稿「連結会計における持分法の適用をめぐる諸問題」

彦根論叢 第161号 42‑64頁を参照されたい。

ドキュメント内 連結会計論 (ページ 70-82)