• 検索結果がありません。

打重ね時の先打ちコンクリートの状態

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 148-155)

第6章 暑中環境で施工される壁体コンクリートのコールドジョイントに関する研究

6.2 実験内容

6.3.4 打重ね時の先打ちコンクリートの状態

表 6.4 は打重ねを行うそれぞれの時点において,先打ちコンクリートの状態について整理した ものである。コールドジョイントの発生を防ぐための品質管理項目として,先打ちコンクリート の性状の評価基準を,「ブリーディング終了時,貫入抵抗値0.5N/mm2,突き棒深さ60~70mm」 とすれば,暑中期の先打ち時間0.5hでは2時間以内,先打ち時間1.5hでは,1時間以内に後打ち コンクリートを施工する必要があると思われる。一方,標準期では,今回採用した打重ね時間等 のいずれの条件でも後打ちコンクリートを打込むことが可能であると判断される。また,標準期 の打重ね時間間隔3hの場合は,JASS5の規定値を超えているが,先打ちコンクリートの性状は,

先打ち時間にかかわらず,良好な状態であった。なお,暑中期において,先打ちコンクリートの 製造から打重ねられる時点までの時間が同一な「先打ち0.5h-打重ね2h」と「先打ち1.5h-打重

ね1h」を比較すると,打重ね時間が遅れることよりも先打ち時間が遅くなるのが,ブリーディン

グ水が出ている状態であるため,硬化体の品質は高くなる可能性があると考えられる。

表 6.4 表打重ね時の先打ちコンクリートの状態

実験環境 打重ね

時間間隔 物性 先打ち時間0.5h 先打ち時間1.5h

暑中期

1時間

ブリーディング 61%進行 61%進行 水分蒸発量 0.014cm3/cm2 0.022cm3/cm2 表面含水率* 16.6%(114%) 17.0%(115%)

プロクター貫入抵抗 0.0N/mm2 0.05N/mm2

突き棒貫入深さ 265mm 72mm

2時間

ブリーディング 終了時点 終了後0.5時間経過 水分蒸発量 0.035cm3/cm2 0.047cm3/cm2 表面含水率 18.0%(123%) 15.9%(108%)

プロクター貫入抵抗 0.17N/mm2 1.5N/mm2

突き棒貫入深さ 76mm 22mm

3時間

ブリーディング 終了後1時間経過 終了後1.5時間経過 水分蒸発量 0.059cm3/cm2 0.075cm3/cm2 表面含水率 17.0%116% 14.5%98% プロクター貫入抵抗 2.3N/mm2 14.4N/mm2

突き棒貫入深さ 22mm 9mm

標準期

1時間

ブリーディング 20%進行 27%進行 水分蒸発量 0.002cm3/cm2 0.000cm3/cm2 表面含水率* 15.4%101% 16.0%105% プロクター貫入抵抗 0.0N/mm2 0.0N/mm2

突き棒貫入深さ 355mm 284mm

2時間

ブリーディング 45%進行 58%進行 水分蒸発量 0.008cm3/cm2 0.004cm3/cm2 表面含水率 15.9%(105%) 16.2%(106%)

プロクター貫入抵抗 0.0N/mm2 0.0N/mm2

突き棒貫入深さ 277mm 118mm

3時間

ブリーディング 68%進行 82%進行 水分蒸発量 0.012cm3/cm2 0.008cm3/cm2 表面含水率 16.4%108% 18.4%121% プロクター貫入抵抗 0.0N/mm2 0.0N/mm2

突き棒貫入深さ 120mm 60mm

* ( )は,打込み直後の含水率に対する百分率

6.3.5 透気性状

シングルチャンバー法の透気速度試験結果を図 6.11,トレント法の透気係数試験結果を図 6.12 に示す。各図中の赤点線は先打ちコンクリート(下部),黒点線は後打ちコンクリート(上部)

の測定結果を示している。

1)シングルチャンバー法透気試験

シングルチャンバー法による透気速度は,先ず暑中期では,全体的に打重ね時間間隔が大きく なるほど透気速度は増加する傾向となっており,特に打重ね時間間隔3 時間では透気速度が顕著 に増大している。ここで,先打ち時間0.5hでは,打重ね時間間隔1hと2hの透気速度の変化が大 きくない反面,先打ち時間 1.5h では直線的に大きくなっている。従って,打重ね時間間隔 2hで は,先打ちコンクリートの打込み時間により品質低下が生じる可能性がある。標準期では,一体 打ち試験体と 1 時間で打重ねたすべての試験体で暑中期の測定値より高いが,品質変化の勾配は 大きくなかった。また,標準期でも先打ち時間0.5hでは,一体打ちコンクリートと比べて,打重 ね時間間隔2hまでの変化は小さい。先打ち時間1.5hの場合は,打重ね時間間隔1hまでは同等の 値であったが,打重ね時間間隔2h

から増加することが分かる。なお,「1.5-2W-1.5」と「1.5-3W-1.5」試験体では,打重ね時間間隔2hまでは認められず,打重ね時間間隔3hでは悪化しており,

打重ね直前の散水及び水分除去の効果は認められなかった。

2)トレント法透気試験

トレント法による透気係数は,シングルチャンバー法の透気速度と同様に,一部の試験体を除 き,全体的に打重ね時間間隔の増大に伴い透気係数は大きくなっている。また,本研究の範囲で は,先打ちコンクリート及び後打ちコンクリートの打込み時間よりも,打重ね時間間隔の要因が 品質に支配的に影響すると判断している。その反面,標準期では,打重ね時間間隔 1h までは,

一体打ちコンクリートと同様の性能を示し,打重ね時間間隔 2h からは,透気係数が高くなって いるが,先打ち時間が短いほど透気性状は良くなる傾向が確認された。

既往の研究 6--7)にて提案しているトレント法による透気係数のグレーディング評価方法による と,暑中期と標準期のいずれも一体打ちコンクリートは「普通」 という評価となった。暑中期 の場合は,打重ね時間間隔 1h に関してはほとんどの試験体が「普通」と「悪い」の境界となっ ており,打重ね時間2h では「悪い」,打重ね時間間隔 3hでは「非常に悪い」のグレーディング となった。従って,暑中環境で施工されるコンクリートの打重ね時間間隔は,規定時間内であっ ても,短縮することによりコールドジョイントに対する品質改善が可能であると考えられる。

一方,標準期では,打重ね時間間隔1時間までは「普通」となっており,打重ね時間間隔2hに おいては,先打ち時間0.5hでは「普通」,先打ち時間1.5hでは「悪い」という評価となった。よ って,標準期では,打重ね時間1hは確かに品質低下の恐れがなく,打重ね時間間隔2時間以上の 場合は,耐久性が若干悪くなるが,先打ち時間の管理などにより品質管理ができるものと考えら れる。また,標準期では,打重ねる直前の先打ちコンクリートの状態は表 6.4 のとおり,ブリー ディング水が出ていて,凝結は始まる前であったが,硬化体の透気性状は悪くなる場合もあった。

なお,暑中期の透気係数は,標準期と比較して,早期に乾燥し,凝結し始める先打ちコンクリー トの性状により,品質低下の時点が早くなったものの,透気係数自体が急激に増加したわけでは ない。

以上の結果を総合すると,壁コンクリートの透気性状において,先打ち時間や後打ち時間より も打重ね時間間隔という要因が最も強く影響することがわかる。

暑中期 標準期 図 6.11 シングルチャンバー法透気試験結果(実験Ⅰ)

暑中期 標準期 図 6.12 トレント法透気試験結果(実験Ⅰ)

6.3.6 曲げ強度

図 6.13 に暑中期実験の曲げ強度試験結果を示す。一体打ちコンクリートは,先打ち時間に関

係なく 4.3N/mm2 程度の値となり,透気性状と同様な傾向にある。全体的に打重ね時間間隔が大

きくなると曲げ強度は減少している。打重ね時間間隔 3 時間では,顕著な強度低下がみられたが,

打重ね時間間隔1 時間と 2 時間の強度値は,約3N/mm2と大きく見ると同程度の強度性状を持っ ていることがわかる。全般的にシングルチャンバー法透気試験の結果と同じ傾向であったが,例

外として1.5-2-1.5の試験体は,一体打ちコンクリートに近い強度となった。結果的に,暑中期で

は打重ね時間間隔1 時間から強度低下傾向が認められ,一体打ちと比べて,打重ね時間間隔1時 間では56〜84%,打重ね時間間隔2 時間では70〜98%,打重ね時間間隔 3時間では28〜57%と なっている。また,散水効果は認められなかった。

先打ち時間 0.5h 先打ち時間 1.5h 図 6.13 曲げ強度試験結果(実験Ⅰ)

6.4 「実験Ⅱ」の結果考察

6.4.1 フレッシュ性状

表 6.5 に「実験Ⅱ」のフレッシュ性状を示す。「実験Ⅰ」と同様にコンクリートの運搬時間が 長いほどスランプは低くなったが,本来設定した 18cm 以上の値となって,「実験Ⅰ」及び「実 験Ⅱ」においての検討結果からは,スランプロスによる施工性低下の問題は見られなかった。な お,「実験Ⅱ」は,打込み時期が夏期の中でも少し遅かったこともあり,「実験Ⅰ」よりも気温 が低かった。このことは諸性状に少なからず影響があると思われる。標準期でも,フレッシュコ ンクリートの性状において,運搬時間による品質変化は大差ない。

6.4.2 水分移動

図 6.14~図 6.17に水分移動実験結果を示す。

先打ち時間による蒸発量の違いはほとんどみられず,打込みからの経過時間が4 時間程度では,

暑中期は標準期の 1.5~2.0 倍の蒸発量となった。「実験Ⅱ」の暑中期は「実験Ⅰ」より蒸発量が 小さかったが,これは外気温の影響で,より暑かった「実験Ⅰ」の蒸発が大きくなったと思われ る。また,暑中期では打込みからの経過時間が 24 時間ほどで蒸発量は減少したが,標準期では 120 時間後もほとんど一定の速度で蒸発し続けた。

単位水量は,暑中期と標準期でほとんど差が見られず,また先打ち時間にも左右されず同程度 となった。「実験Ⅰ」のデータと比べると,「実験Ⅰ」はブリーディング終了後に先打ち時間に 関わりなく暑中期では低下し標準期では上昇したが,本実験ではブリーディング終了後に暑中期 の単位水量が上昇する結果となった。単位水量はブリーディング終了のタイミングで変動するこ とを考えれば,打込み後 3 時間で測定を行ったら低下する傾向になる可能性が高いと考えられる。

JIS ブリーディング試験結果,暑中期においては,先打ち時間0.5 時間では,打込みから約2.0

~2.5 時間でブリーディングが終了し,先打ち時間 1.5 時間では,打込みから約 1.0~1.5 時間で ブリーディングが終了した。この結果は,「実験Ⅰ」の結果とほぼ同様な傾向である。ブリーデ ィング水量は,先打ち時間 0.5 時間の方が多かった。標準期については,先打ち時間 0.5 時間で は,打込みから約 4.5 時間でブリーディングが終了し,先打ち時間 1.5 時間では,打込みから約

表 6.5 フレッシュコンクリートの性状(実験Ⅱ)

実験名 実験

環境 状態 スランプ

(cm)

空気量

(%)

コンクリート温度

(℃)

外気温

(℃)

実験Ⅱ

暑中期

練混ぜ直後 20.0 3.9 31.0 27.0

0.5時間後 19.5 3.9 32.0 27.0

1.5時間後 18.5 3.9 31.0 27.0

標準期

練混ぜ直後 19.5 5.4 20.0 15.0

0.5時間後 19.0 5.0 20.0 14.0

1.5時間後 19.0 5.0 20.0 14.0

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 148-155)