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第3章のまとめ

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第3章 暑中コンクリートの初期水分移動及び凝結性状

3.4 第3章のまとめ

本章では,フレッシュコンクリートの初期水分移動及び凝結特性に及ぼす気象条件の影響につ いて調べるために,2015 年度から 2017 年度まで 3 年間行ったコンクリート実機実験におけるフ レッシュ性状,蒸発,ブリーディング,単位水量及び凝結性状を比較検討した。本章によって得 られた結果を以下に示す。

1) フレッシュ性状の測定結果,外気温 30℃未満の軽暑中環境では,スランプ,空気量,コンク リート温度に及ぼす悪影響は確認されなかったが,外気温 30℃以上の極暑中環境(本実験で は約 33℃)においては,コンクリートの温度上昇及びスランプロスの恐れが大きくなるため,

フレッシュ性状に対する品質管理に注意する必要がある。

2) 暑中環境では,材齢5 日までの総蒸発量の約 70~75%が材齢 1日以内に蒸発するため,コン クリート打込み当日の水分蒸発を防ぐことが重要である。なお,外気温が低いほどコンクリ ートの蒸発量が小さくなることは明確な理論であるが,暑中コンクリート施工の基準となる 日平均気温25℃真下の条件でも蒸発性状は暑中期と同様の傾向になる可能性もある。

3) 暑中環境におけるコンクリートのブリーディング水量は,0.06~0.09cm3/cm2 の範囲となって おり,打込みから約2.2~3.0時間が過ぎた時期に終了しコンクリート表面は乾燥状態になる。

また,暑中環境においてコンクリートのブリーディング挙動に影響を及ぼす重要な因子は蒸 発性状であり,実際施工現場の気温,湿度,風速,直射日光など蒸発に影響する要因につい て検討しコンクリートの表面乾燥を遅らせることが好ましい。

4) 複合法ブリーディング試験による吸込み量は,全体的に 0.30~0.35cm3/cm2 であった。コンク リートが乾燥状態になった以後のコンクリート内部への吸込み性状において,外気温や環境 条件の影響は大きくないことが認められた。

5) コンクリート表面付近の単位水量は,暑中環境下においては,打込み後若干増加する傾向に あったが,ブリーディング水がなくなってコンクリート表面の乾燥が始まることと同時に小 さくなっている。一方,標準環境では単位水量が持続的に増加することが確認された。以上 の結果より,暑中環境で製造されるコンクリートは,蒸発量が大きく,表面の水分が早い時 期になくなることによって,標準期よりも早期に乾燥状態になることが明らかになった。

6) 暑中コンクリートの凝結実験結果,ブリーディング終了時間が早ければ早いほど凝結は促進 される。外気温 25℃以上の暑中環境における始発時間は,外気温の高低よりも打ち込まれた コンクリートの水分移動特性により影響を受けると考えられる。ただし,始発後終結に達す る時間は外気温の影響を強く受けることが認められた。

7) N式貫入試験によりプロクター貫入試験で確認できない範囲の凝結程度をある程度確認する ことができた。練混ぜ後 4 時間が過ぎた時点におけるN式貫入量は,プロクター貫入試験の 結果と同様の傾向となっており,コンクリート品質管理ツールとしての可能性を確認した。

8) 極暑中期の条件では,軽微な暑中期と比べてコンクリート温度やスランプロスが大きくなる 可能性があるが,蒸発,ブリーディング,凝結性状に関しては顕著な違いは現れなかった。

暑中環境の程度がフレッシュコンクリートの水分移動及び凝結性状に及ぼす影響は大きくは ないと言える。なお,軽微な暑中期のように比較的激しくない暑中環境でも,風などの影響 で水分蒸発量が大きくなると,表面乾燥や凝結は同じ暑中期の範囲でも最も促進されること が認められた。従って,軽微な暑中期において,打込み後コンクリートの水分蒸発に対する 対策をしっかり講じないと,気温がより高い条件よりも早い時期に乾燥,凝結することによ り,硬化コンクリートの品質に悪影響を及ぼす可能性がある。

9) 以上の実験結果から,暑中環境で施工されるコンクリートは,蒸発量が大きくなることによ りブリーディング水が早期になくなる。その結果コンクリートの表面乾燥・凝結・硬化は促 進されることが定量的に明らかになった。

参考文献

3-1) 暑中コンクリートの施工指針・同解説,日本建築学会,2000. 09

3-2) 立山創一:暑中コンクリートの品質に関する研究,安藤建設技術研究所報,Vol. 18,

pp.19-26,2015

3-3) 水田実,加藤淳司,寺澤正人:再振動締固めの強度増進効果および実施方法に関する実験

的研究,コンクリート工学年次論文集,Vol.33,No.1,2011

3-4) 土木学会:コンクリート構造物におけるコールドジョイント問題と対策,2000.07

3-5) 伊藤是清ほか:暑中コンクリートにおける養生方法がコンクリートの強度および耐久性に

及ぼす影響に関する研究,九州東海大学工学部建築学科,森永研究室卒業論文,1998.01

3-6) 小林聖,渡邉賢三,坂田昇,細田暁:ブリーディング抑制型 AE 減水剤によるコンクリー

トの表層品質の向上効果,コンクリート工学年次論文集,Vol.36,No.1,2014

3-7) 松田拓,蓮尾孝一,谷口秀明,西本好克:高周波加熱乾燥法による単位水量の推定に及ぼ

す各種要因の検討,三井住友建設技術研究所報告,Vol.2,pp.157-162,2005

3-8) 日本建築学会:鉄筋コンクリート造建築物の品質管理および維持管理のための試験方法-

フレッシュコンクリートの単位水量の高周波加熱乾燥法による試験方法,pp.293-297, 2007

第4章

暑中環境で施工される構造体コンクリートの

強度管理に関する研究

第4章 暑中環境で施工される構造体コンクリートの強度管理に

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