第6章 暑中環境で施工される壁体コンクリートのコールドジョイントに関する研究
6.5 暑中コンクリートにおけるコールドジョイントの評価方法の提案
6.5.2 凝結性状が硬化コンクリートのコールドジョイントに及ぼす影響
コールドジョイントの評価基準として透気係数10×10-16m2に基づいて,打ち重ねる時のコンク リートの凝結状態(プロクター貫入抵抗値及びN式貫入量)が硬化体の打重ね面の透気性状(コ ールドジョイント)に及ぼす影響について検討した。
図 6.25と図 6.26に,暑中期における透気係数と貫入抵抗値の関係,ならびに透気係数とN式 貫入量の関係について示す。図中の赤点線は,コールドジョイントの評価基準を示している。ま ず,貫入抵抗値と透気係数の関係を見ると,暑中期の貫入抵抗値0.0N/mm2もしくは0.0N/mm2に 近い値において,一体打ちコンクリート以外の試験体の透気係数は 1.0~10×10-16m2の範囲とな って,前述したトレント法透気係数のグレーディング上「悪い」の等級であった。また,「実験
Ⅰ」,「実験Ⅱ」ともに貫入抵抗値が1.0N/mm2以上の条件では,透気係数が 10×10-16m2を超え る試験体が確認された。従って,硬化体の透気係数値をコールドジョイントの発生基準と考慮し た本研究の範囲では,JASS5の規定値0.5 N/mm2より若干大きい1.0 N/mm2の貫入抵抗値をコール ドジョイントの発生限界と考えられる。
N式貫入量と透気係数の関係は,打込み後初期には明確ではないが,全般的に良好な相関が認 められた。透気係数が 10×10-16m2以上となった試験体の N 式貫入量の実測値は,「実験Ⅰ」で
は9.0~22.0mm,「実験Ⅱ」では9.5~27.8mm の範囲である。N式貫入量30mm以下の条件で透
気係数が 10×10-16m2を超える可能性が高いということから,コールドジョイントに対する N 式
貫入抵抗値の品質管理基準を30mmと考えても無理ないと思われる。
図 6.27と図 6.28に,標準期における透気係数と貫入抵抗値の関係及び透気係数とN式貫入量 の関係について示す。標準期の貫入抵抗値は,先打ち時間と打重ね時間間隔に関係なく,いずれ の試験体でも0.0N/mm2の貫入抵抗値であったが,透気係数は「実験Ⅰ」では0.2~60×10-16m2程 度,「実験Ⅱ」では 0.3~97×10-16m2のように非常に広く分布した。N 式貫入量は,暑中期と比 べて貫入量が高い範囲から透気係数の変化が生じた。
本研究でコールドジョイントの発生限界と想定した1.0 N/mm2の貫入抵抗値と30mmのN式貫 入量を考慮すれば,貫入抵抗値1.0 N/mm2以下,N式貫入量 30mm以上の条件で透気性状が悪く なった(三角の凡例)。コールドジョイントが発生したと仮定される試験体は,「1.5-3-0.5」と
「1.5-3-1.5」であるため,先打ちコンクリートの練混ぜから4.5時間が経過した時点で打ち重ねた
ことを意味する。標準期の打込み関連規定時間(練混ぜから打込み終了までの時間:2時間 + 打 重ね時間間隔:2.5 時間)を満足したが,結果的に硬化したコンクリートの品質が悪くなったた め,標準期において,コンクリート打込み関連規定時間内であっても,できるだけ早く打ち重ね ることが望ましい。なお,JASS5で打重ねの目安としている0.5N/mm2の貫入抵抗値は,本研究で 想定した標準期環境においては適用しにくいと考えられる。
実験Ⅰ 実験Ⅱ 図 6.26 暑中期における透気係数とN式貫入量の関係
実験Ⅰ 実験Ⅱ 図 6.25 暑中期における透気係数と貫入抵抗値の関係
実験Ⅰ 実験Ⅱ 図 6.28 標準期における透気係数とN式貫入量の関係
実験Ⅰ 実験Ⅱ 図 6.27 標準期における透気係数と貫入抵抗値の関係