第6章 暑中環境で施工される壁体コンクリートのコールドジョイントに関する研究
6.2 実験内容
6.2.3 測定項目及び方法
表 6.1 に試験項目を示す。フレッシュ状態ではスランプ,空気量,コンクリート温度,ブリー ディング,水分蒸発量,表面含水率,プロクター貫入抵抗試験及びN式貫入試験を行った。硬化 体については,管理用供試体の圧縮強度と壁試験体に対して含水率,シングルチャンバー及びト レントにより透気性状を測定した後,最後に曲げ強度を測定した。しかし,「実験Ⅱ」において は,シングルチャンバーによる透気速度及び曲げ強度試験を省略し,吸水試験による吸水係数を 検討した。以下に各試験方法を示す。
1)フレッシュコンクリートの性状
コンクリートのスランプ,空気量及びコンクリート温度は,練混ぜ直後と先打ち時間 0.5 時間 及び1.5時間(バッチ1~4)で測定し,運搬時間に伴う特性変化を検討した。
2)水分移動 ― ブリーディング,水分蒸発量, 単位水量
水分移動は,バッチ1のコンクリートの先打ち時間0.5時間及び1.5時間の試料を対象とした。
ブリーディングはφ250×285mmのJIS規格容器(ふた有・無の二個)とφ250×500mmの円筒 及び図 3.1 に示す複合法の三種類で測定した。円筒ブリーディングは,いくつかの容器を用意し,
ブリーディング水の累積値ではなく,測定した時点(打込みから 1,2,3 時間後)の湧出量を測 定した。水分蒸発量は,φ100×200mm の簡易型枠及びφ250×500mm の円筒を用い,時間経過 により減少するコンクリートの質量を測定した。ブリーディングおよび水分蒸発試験に用いた円 筒容器は,壁試験体のコンクリート打込み高さを考慮したものであり,壁試験体の先打ちコンク リートと同じ高さ 450mm までコンクリートを打込み,棒状バイブレータで加振した。単位水量 は,N式貫入試験用試料の表層部から採取し,5mmふるいで粗骨材を取り除いたモルタル試料に ついて実施した。
3)凝結性状
プロクター貫入抵抗試験は,JIS A 1147 に準拠して行った。N 式貫入試験 6-7)は,330×200×
540mm の長方形容器に高さ 450mm までコンクリートを打込み,棒状バイブレータで加振したも
のについて実施した。詳細な試験方法は,「3.2.3 実験方法」に示すとおりである。
4)透気性状
透気性試験の測定位置は,図 6.1に示すとおりである。図 6.3にシングルチャンバー法透気試 験の概要を示す。シングルチャンバー法透気試験は内径85mm,容積167cm3のデシケータの蓋を ゴム製のパットとパッキング材によりコンクリート表面に取り付け,真空ポンプでデシケータの 蓋の内部を減圧した後,コンクリート表面からの空気の流入により真空度が13.3kPaから33.3kPa に低下する時間を計測した。このとき,低下した真空度 20kPa を時間で割った値をシングルチャ ンバー法透気速度と呼び,透気性の指標とした。トレント法透気試験はコンクリート表面に減圧 したチャンバーを設置し,その内部チャンバーの気圧変化から透気係数を算出した。なお,シン グルチャンバー法透気試験及びトレント法透気試験は比較として先打ちコンクリート及び後打ち コンクリートの打設高さの中央部付近での透気性の測定も実施した。なお,シングルチャンバー 法透気試験及びトレント法透気試験は,打重ね面との比較として,先打ちコンクリート及び後打 ちコンクリートの打設高さの中央付近での透気試験も実施した。
5)曲げ強度
図 6.3に曲げ強度試験の試験体の切断位置を示す。材齢91日以後に幅100mmに切断したもの 4つに対して行った。壁試験体をスパン600mmの三等分載荷試験とした。実際曲げ強度試験の様 子を写真 6.1に示す。
写真 6.1 曲げ試験の様子 図 6.3 曲げ試験用試験体の概要
6)吸水試験
吸水試験装置の概要を図 6.4に,実際の試験様子を写真 6.2 に示す。本試験装置は,基本的に 壁面の測定を対象としており,三つのチャンバーで構成される。チャンバー1は,吸引ポンプに よりチャンバー内を負圧にすることにより,構造物への取り付けを行えるようにした。また,チ ャンバー3は,取り付けたコンクリート構造物に吸水試験が行えるようにした。なお,吸水量測 定のため,メモリを付した長さ 300mm の吸水パイプを取り付けた。また,チャンバー2は,チ ャンバー1が吸引ポンプにより負圧となり,チャンバー3の吸水試験への影響を除くために作製 した。表面吸水試験は,まずチャンバー1を負圧にすることにより壁試験体に取り付け,次にチ ャンバー2に給水し,最後にチャンバー3に給水するとともに,吸水パイプへ給水した。吸水量 は,チャンバー3に圧力センサーを取り付け,圧力を10 秒間隔で10 分間測定し圧力差により吸 水量を求めた6-5)。測定間隔を 10 秒間隔としたことにより,吸水初期においては,吸水量が時間 の平行根に比例しないため,吸水3分から10分までのデータを用い,吸水係数を算出した。酒井 ら6-6)は,コンクリートの空隙中の液状水の浸入についての駆動力を毛細管張力とし,吸水量が時 間の平行根に比例するとしている。よって,次の式(6.1)により吸水係数を定められた
V=S√ V 式(6.1)
ここに,
V:吸水量(mm3/mm2) S:吸水係数(mm/sec0.5) t:吸水時間(sec)
V0:初期吸水量(mm3/mm2)
図 6.4 吸水試験装置の概要 写真 6.2 吸水試験の様子
6.3 「実験Ⅰ」の結果考察