9 剛体の運動
9.2 慣性モーメントの計算
剛体の運動方程式 剛体の運動方程式 Idω
dt =N (9.12)
を,角運度量の総和Lを用いて,
dL
dt =N , (L=Iω) (9.13)
と書くことができる.ここに +これはm dv/dt=dp/dt
とすることに対応している.
L=`の総和= (∆m)r2ωの総和 (9.14) である.もちろん,N = 0の場合,L=一定 であり,角運動量の保存則が 成り立つ.
先にスケートのスピンについて触れたが(7.2節),スケート選手が腕を 伸ばしているとIは大きく,うでを縮めているとIは小さい.後者の方が スケート選手の身体の質量分布が回転軸の近くにあるためである.
L=Iω=一定 (9.15)
より,Iが小さい方がωは大きくなる.
剛体の回転の運動方程式は一般化できる.力のモーメントNを
N =r×F (9.16)
で定義する.角運動量ベクトルLは,角速度ベクトルωを用いて,
L=Iω (9.17)
と書ける.これより一般に
dL
dt =N (9.18)
となる.あるいは,
Idω
dt =N (9.19)
である.これは質点の運動方程式 mdv
dt = dp
dt =F (9.20)
に対応する.
運動方程式(9.19)の中の dω
dt は,ωの大きさの変化率だけでなく,ωの 方向の変化率も含んでいる.つまり,回転軸方向が時間的に変化する場合も 記述できる.これらの運動はたとえば,コマの歳差運動でみられる.
9.2 慣性モーメントの計算 135 モーメントは,この場合,
I= 2×m× (`
2 )2
= m`2
2 (9.21)
となる.
次に質量M,長さ`の棒を,棒の中心を通る軸のまわりで回転させる場 合を考えよう(図9.3).回転軸からxの位置に∆xという微小部分を考え ると,棒の線密度はM/`であるので,
∆m= (M
` )
∆x (9.22)
したがって,
I = (∆m)r2の総和
= (M
` )
x2∆xの総和 (9.23)
となる.
ここでx2∆xの総和は積分で掛けることに注意しよう.
x2∆xの総和=
∫ `/2
−`/2
x2dx= `3
12 (9.24)
よって,
I棒= M
`
`3 12 = 1
12M `2 (9.25)
図9.3 棒の慣性モーメント
いろいろな形に対するの慣性モーメントは積分によって計算できる.表 9.1にその結果を示す.
慣性モーメントの関係式 表9.1に示したのは,重心を通る回転軸のまわ りの慣性モーメントである.もちろん,これとは別の任意の回転軸のまわ りの慣性モーメントも,同じような積分をすることによって求められる.
表9.1 いろいろな剛体に対する慣性モーメント.回転軸は重心を通るとする.そ うでない場合も式(9.27),式(9.28)から求めることができる.
剛体の形 回転軸(重心を通るとする) 慣性モーメントI
長さ`の棒 棒に垂直 1
12M `2
長方形(辺の長さa, b) 辺bに平行 1
12M a2 立方体(辺の長さa) 面に垂直 1
6M a2
半径aの円板 面に垂直 1
2M a2 半径aのリング 面に垂直 M a2
半径aの球 任意 2
5M a2
半径aの球殻 任意 2
3M a2 たとえば,図9.4に示すように,長さ`の棒の重心のまわりの慣性モーメ ントがわかれば,そこからhだけ離れた回転軸のまわりの慣性モーメント は,原点をY0にとると,
I = M
`
{∫ `2−h 0
x2dx+
∫ `2+h 0
x2dx }
= M
` 1 3
{(` 2 +h
)3
+ (`
2 −h )3}
= M `2 12 + M
` (`h2) =IG+M h2 (9.26) となることがわかる.
図9.4 長さ`の棒の重心を通る軸と,それからhだけ離れ,平行な軸のまわりで の慣性モーメント
一般に,重心を通る回転軸Y のまわりの慣性モーメントIG がわかると,
このY に平行で,それよりhだけ離れている回転軸Y0のまわりの慣性モー