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剛体の運動

ドキュメント内 基礎物理学講義ノート (学生用) (ページ 132-135)

9 剛体の運動

9.1 剛体の運動

あるいは,

(∆m)r2

dt =n (9.3)

ここですべての微小部分について和をとる.ωはすべての微小部分で同じ 値をとり,よってdω/dtは共通であるので,

Idω

dt =N (9.4)

の形が得られる.ここでIは(∆m)r2という値の総和で,慣性モーメントと よばれる.

まわりにくさの程度 上で求めた式で,Nが一定の場合,Iが大きいほど

dt 1

I (9.5)

となるので,

dt は小さくなる.つまり,角速度の変化率は小さくなるわ けである.このことから,Iの大きさは,「回転しにくさ」を表しているこ とがわかる.

ここでニュートンの運動方程式を考えてみよう.

mdv

dt =F (9.6)

右辺のF が一定ならば,上の式は,

dv dt = F

m (9.7)

を表す.つまり,mが大きいほど,速度の変化率は小さい.この意味で質 量mは「加速されにくさ」「動きにくさ」を表していた.

このようにしてmIvωFNが対応関係にある.また,NFに対応しているとすると,式(9.2)より,角運動量は運動量pに対応 することがわかる.

m I

v ω

p

F N

(9.8)

たとえば,質点の運動エネルギーKK= 1

2mv2 (9.9)

であったから,上記の対応から回転の運動エネルギーは 回転の運動エネルギー(K) = 1

22 (9.10)

となる.

9.1 剛体の運動 133 慣性モーメントカー エコカーとして注目される電気自動車,あるいは

ハイブリッドカーは,主に夜間に余った電気を充電したり,減速走行中に充 +原子力発電は,なるべく 一定量の発電をするように 運転した方が効率がよい.昼 はオフィス,工場が電力を使 うので電力消費量が多く,そ れをまかなうように発電する ため,夜間の電力は余ってし まうのである.そのため,契 約によっては夜間の電力を安 くし,なるべく夜間に電力を 使ってもらうようにしている.

電して,バッテリーに電気を蓄え,これによりガソリンを節約する.とこ ろがアメリカなどで研究されているのは,バッテリーという取り扱いにく いものを使わず,大きな円板を夜間にモーターで回転させ,回転の運動エネ ルギーをたっぷり蓄え,これによって昼間,自動車を走らせるというもので ある.

これが可能ならば,電力会社などでも,夜間に余った電気を,慣性モー メントが大きな円板の回転の運動エネルギーとして蓄え,昼間このエネル ギーで発電して家庭に送電すればよい.実際にこのような「慣性モーメン

ト充電」というべき蓄電方式は,東京電力などで研究された. +回転でなく通常の運動エ ネルギーを蓄える場合,非常 に長い場所が必要となる.一 方,回転運動の場合,場所は コンパクトですむ.

これらの装置で大事なポイントは,回転の運動エネルギーを大きくする ために,慣性モーメントIの大きいものを作り,なおかつ,夜間にこれを なるべく高速で回転させることである.しかし回転の角速度ωをやたらに 大きくはできない.ωが大きくなると,騒音問題も発生する.よって,なる べく大きなIの物体を作り,ωは大きくなくても回転の運動エネルギーは 大きくできるものが必要となる.

このような大きなIを実現するためには,どのような質量分布がよいで あろうか.

I= ∆mr2の総和 (9.11)

であるから,質量が回転軸からなるべく遠く(rが大きな位置)に配分さ れていると,慣性モーメントが大きくなる.たとえば図9.2のように,質量 が半径aの円板に一様に分布しているよりは,質量が円板の縁にのみ分布 している方が,Iは大きい.自転車の車輪の形が図9.2の(b)のようなリン

グ状になっているのはこのためである. +円板の慣性モーメントにつ いては,演習問題9.1を参照.

図9.2 円板とリングの慣性モーメント

剛体の運動方程式 剛体の運動方程式 Idω

dt =N (9.12)

を,角運度量の総和Lを用いて,

dL

dt =N , (L=Iω) (9.13)

と書くことができる.ここに +これはm dv/dt=dp/dt

とすることに対応している.

L=`の総和= (∆m)r2ωの総和 (9.14) である.もちろん,N = 0の場合,L=一定 であり,角運動量の保存則が 成り立つ.

先にスケートのスピンについて触れたが(7.2節),スケート選手が腕を 伸ばしているとIは大きく,うでを縮めているとIは小さい.後者の方が スケート選手の身体の質量分布が回転軸の近くにあるためである.

L==一定 (9.15)

より,Iが小さい方がωは大きくなる.

剛体の回転の運動方程式は一般化できる.力のモーメントN

N =r×F (9.16)

で定義する.角運動量ベクトルLは,角速度ベクトルωを用いて,

L= (9.17)

と書ける.これより一般に

dL

dt =N (9.18)

となる.あるいは,

Idω

dt =N (9.19)

である.これは質点の運動方程式 mdv

dt = dp

dt =F (9.20)

に対応する.

運動方程式(9.19)の中の

dt は,ωの大きさの変化率だけでなく,ωの 方向の変化率も含んでいる.つまり,回転軸方向が時間的に変化する場合も 記述できる.これらの運動はたとえば,コマの歳差運動でみられる.

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