• 検索結果がありません。

感覚

ドキュメント内 圓 11=1歯1図 (ページ 167-188)

1 @虹、≡L−

1    感覚

       (活動/装置)

 1        視知覚  1       記憶

 1        媒介するもの  1        景観 現象

 …       イメージ(表象)

 1       シンボル

 1    (制度/運営)

1社会   /:灘:測1

図5−3 「個」 (主体)が眺める客観的対象としての景観

 ここで、当該図を「空間一社会構造図」と比較した場合、縦横軸の構成が同じ ことから、一見、類似した構造を有している図のように捉えられる。しかし、

「空間一社会構造図」に描かれる内容は、実体的な空間構成要素とそこに関わる 様々な主体の社会活動実体である。このとき、その「原点」とは、実体的な「個 人」ではなく地域のほぼ中心部に位置する空間と社会の架空の起点を想定して いるに過ぎない。そしてr個人」の実体的活動が、図上の様々な位置でr個人」

が属する社会的活動主体の一員(=住民)として実施される。

 「空間一社会構造図」に示される景観は、個人による客観的対象ではなく、活 動現場であり、その活動主体としての「個人(住民)」自体も、空間一社会構造

とともに活動を通じて「変化」し、その「変化」を「評価」する現場でもある。

 ここで改めて、第4章までの実証的な成果に立ち戻り、旧開田村の「空間一 社会構造」を示している図5−4(1947年の空間一社会構造図:図3−7の一部を加 工)と、図5−5(2009年の空間一社会構造図:図3−5の一部を加工)を比較して みる。このとき、図5−4では「住民」は、地縁的共同体、地域内住民自治組織 の一員として、「敷地」、「集落的なまとまり」、「村落(地区)のまとまり」

に対して、村落共同体による一定の地域的ルールの枠内で、直接的に関与でき る状態にあった。そして、1947(昭和22)年においては、地縁的共同体こそが、

地域における空間構成要素と関連する社会的活動の主体であった。

      り       とまり〕      1

     榊まとまり     ・     どまり)      ;

      個人       膿棚ω二と書リ (外棚一・・、    :業■一・… 的岬俗冊榊・.・…      ■

1 …1犠1・.・,長一111  .嘉、一安_1

1      .⊥上=捌.」...上.

辮÷幸一11、塞鮎幣㍗

1 塞

阻舳ム圃j肢舳壷胴ま竃1腕

       ペンキ.ペンキ鰍臓内.真舳期:開国真原開男菱木綿、

図5−4(1947年の空間一社会構造図) 図5−5(2009年の空間一社会構造図)

 これに対し図5−5では、第4章で見たように、様々な要因による社会構造変 化への対応上、地域の同様の空間的な広がりのなかに地域内公的・準公的組織

(組合団体等や開田村行政)、外部(長野県、国、その他外部企業)等の、村 落共同体的な活動を離れた領域が増えてきており、地縁的共同体の従来的な活

動も減少してきている。村道、髭沢川、電柱・電線等の管理の公共・準公共化、

カッパ(採草地)等に関わる扶助の減少等に、そうした事実が象徴的に見て取

れる。

 そして、この変遷から、石田(1998)や山田(1991)が指摘する自然村的な地域的 公共関係と近代的な自治制度の二重性が、戦後の住民自治的な活動を通じ、徐々

に統合されつつある点を読み取ることも可能であろう。ただし、この変遷は、

現代においては、例えば旧開田村の「一次産業景観」の中で捉えるなら産業構 造変化や生産活動の変化、少子・高齢化による「一次産業景観」の内での活動 量の減少、また、 r集落内生活景観」を捉えるなら、建築物の画一化・商品化 による木材の普請の衰退など、複合的な要因が絡み合って生まれてきている。

 このようにして生じる、地域住民が自主的に運営管理する空間一社会構造の変 質は、全国規模での産業構造変化、企業活動の地域への浸透、土地の高度利用、

公的・準公的インフラ整備の推進等の様々な要因を背景にしており、旧開田村 のような中山間地だけのものではない。例えば、機能の集約する都市内におい ても、住宅地への商業施設の混在、区画整理等による細街路や私道の消失、バ イパス沿道への商業的な開発等、多様なバリエーションをもって発生している。

しかも、この縮小は、一定の規模のエリアを有していた空間一社会構造を分断す る。その結果、特定の空間一社会構造やその構成から生まれる評価のシステムの 働きが不全となる。結果、住民の価値観と地域的ルールを一体的に形成する自 律的な働きが弱まっていく。

 こうした課題に対し、旧開田村事例では、住民は住民自治組織(区会)を通 して、ある場面では政策に参画し、ある場面では地域的ルールを守り、評価す ることで顕在化し、地域景観の保全・創出に影響を行使してきた。また、境界 領域の発生が、そこに関わる「異質な領域間で、その所有・管理主体を巻き込 み拡大融合・拮抗」させるシステムの動きにより、特性の異なる空間一社会構造 の間での活動を活性化させてきた(図5−5における緑枠の長方形で示された活 動がこれに当たる)。さらに、そこで刷新された新たな認識が、緩やかに境界 領域周辺の空間一社会構造に浸透し価値観を更新する動きが確認された(第4章 3節2項(2)で指摘した「境界領域に類する特性」の付与がこれに当たる)。

 そして、以上に整理した地域景観と自治の基盤の再構築の過程は、もはや図

5−3に示した「個人」と客観的対象としての地域景観の概念では説明が出来な い。そこでは、地域景観を構成する空間的要素との直接的な関わりから生まれ た「生きた感覚」が、主体としての白治的活動を通じてルールや政策に持ち込 まれていく。また、地縁的共同体の空間一社会構造と異なる社会的活動の一部は、

一旦は課題として分別された後、境界領域の景観が触媒となり、そこに関わる 複数の主体の意思疎通を促し、結果的に自治の基盤が再構築する場面が見られ た。そして、この動きに、ベルク(1998)が指摘する「場所的」な次元と「空間 構成的」な次元の通態の働きと、この働きを通じた風土・景観とその主体(人 間、社会等)の特性の出現を見出すことも可能であろう。

 以上の旧開田村事例の分析、考察から得た知見は、現代の景観と自治、その 主体の再構築に向けて、どのような展望を与えているのだろうか。

 近年、地域景観を巡る空間一社会構造は、経済、文化、開発等の絶えざる外部 圧力と、産業構造変化、人口流出等の内部変化により変質を余儀なくされて来 た。そして、この点は、景観の主体としての住民や地域社会にとっては、自分 を包み込む空間と社会的活動との従来的な関係が分断されることを意味する。

結果として、環境への行為の蓄積が、個人と地域社会の両面において分断され、

評価のシステムが更新されにくい状態、つまり実体的な環境を基盤とした価値 や地域的ルールが、住民主導で形成されにくい状態が生み出されて㌣、く。

 しかし、地域景観は、社会的活動主体(住民、共同体等)の活動感覚やイメ ージの空間的な蓄積媒体としての作用を常に継続させている。そして、それを 眺める主体の評価の対象となることで、主体内部や主体間で分断された様々な 感覚、意識、価値観、イメージ等を実体的な空間構成要素として一旦受け止め、

それらの分断、分裂の危機を統御する役割を果たし得る。また、境界領域のシ ステムの発現により、異質な形成過程を背景として成立している主体の拮抗を、

社会的活動との関係を通じて特定の空間内で融合し、統御可能な領域に組み込 む役割を果たし得る。

 それゆえに、住民にとって生き生きと魅力ある景観のイメージからは、その 形成を目標とする社会的活動を通じ、活動主体を社会構造変化と対応させつつ 再構築する力が生み出される。同時に、社会的活動の自己統治的、制度的な蓄 積媒体としての自治の概念と連動することで、より地域の実情に即した活動を

保障する成熟した民主主義のイメージを拡大し根付かせる力を生み出していく。

この点に、景観まちづくりの活動の本質が見出せるはずである。

 その上で、この動きは、抽象的な概念として捉えられるのではなく、基礎自 治体という「人間と自然との物質的代謝の場であり、人間の労働と生活の最も 基本的な圏域」(遠藤(2009))の中で政策として実践されることが重要となる。基 礎自治体を実践のための「容器」とすることによって初めて、現代的な社会構 造変化を背景とした社会的主体の分断、異質な主体間の拮抗、そして石田(1998)

が指摘する他動詞的自治の未成熟等の課題に対応し、地域景観の「評価のシス テム」、 「境界領域のシステム」の発現を通じて、住民参画や住民と行政の協 働等を促し得る。そこでは、羽貝(2007)の指摘する「治者と被治者の同一性」

という民主主義の政治原理を生きた原理とする実践的運動論としての口』カ ル・ガバナンスが、再構築されていく可能性がある。

 そして、そこでこそ、社会構造の変化に対応し、社会的主体としての個人や その他の組織が、地域景観を媒体として空間・社会構造との直接的な関わりから 得た「生きた感覚」を絶えず取り込み、自らの統治機構や制度の再構築を実践 してゆく、地域の主体としての自律的な住民が目指すべき自治の展望(パース ペクティブ)が、拓けていくのではないだろうか。

5−2.本研究の結論

 本研究は、国土の基調となる普通の地域の景観の全国規模での急速且つ一様 な「劣化」という課題と、その深層にある地方の衰退や地方分権改革等、地域 を巡る複合的な課題を背景とし、地域景観と自治の関係性をより根本的に捉え 直すことにより、地域景観の意味を問いづつ地域景観と自治の基盤の形成を導 き出す論理を構築すること、を研究課題として出発した。

 その上で、上記の研究課題を踏まえて以下の二つの研究目的を設定した。

 第一の目的は、地域景観を支えている空間と社会の相互作用の構造を実証的 に抽出した上で、相互作用の構造から生じる特性が地域社会に与える影響と、

その影響を生み出す原理的枠組みを提示すること、第二の目的は、基礎自治体 の景観を巡る諸活動には、自治の基盤を生成させていく構造が内在している点

ドキュメント内 圓 11=1歯1図 (ページ 167-188)