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図3−3 現在の髭沢地区の平面特性(平面図)
(2)領域の断面上の特性(配置)
ここでは、空間構成要素を谷軸に直交する断面上に整理し、図3−4に示した。
断面構成から読み取ることのできる特徴は、地形的な特性が、空間構成要素の
分布特性(配置関係)にそのまま反映されている点である。
河川を中心とし、その周辺の低地には水田や道路、民家・敷地があり、民家 の裏手の段丘崖(敷地内)に墓地が配されていることが多い。段丘崖を介した 背後の段丘面上には道路や民家・敷地があり、さらに二段目の段丘崖を介し、
背後の段丘面上は畑、そして山裾へと続き、山裾・山地部は採草地・森林に利 用されている。なお、図3−4の断面図に示した箇所において、一段目の段丘崖 は、河川の護岸・法面部に吸収されている。
上記の断面構成と直行する軸は大きく二つに整理される。一つは、断面の中 心の最低地部に位置する河川、道路等であり、国・村により行政的に(所管上)
管理されている。もう一つは、段丘崖、山裾等、結い等の活動により支えられ る断面変化部である。ここから、(1)で平面的に確認した「領域のまとまり」は、
断面的な要因に強く支えられて形成されていることが明らかになる。集落・村 落(地区)のまとまりと断面の関係を図3−4に破線で示した。
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図3−4 ポイント6を通る断面線上の断面図
(3)平・断面の複合的関係から見た特性(境界)
本節第1項で調査した空間構成要素のうち、本項(1),(2)平面的な領域形成、
断面的な配置に関わる空間構成要素の複合的関係から境界領域の存在が捉えら
れる。
まず、「原地形」との関係であるが、そこに見られる空間構成要素のほとん どは、原地形が持つ高低差を集約する要素として存在する。すなわち、「土地利 用」との関係では、段丘崖・山裾等の断面変化部、土地利用内部で高低差を処 理する法面・石垣、「河川」との関係での法面・護岸、「道路」との関係での法 面(擁壁)がある。「敷地」との関係では段丘崖や高低差を処理する法面、石垣
(擁壁)等がある。さらに詳細には、敷地内の墓地は、民家との配置関係、及 び段丘崖や法面との関係から、また、石仏(馬頭観音等)は、段丘崖や法面、
あるいは道路との関係等からその位置が暗黙裏に定まっていると推察される。
次に、「土地利用」と他の要素との関係性を見ると、「河川」との関係から生じ る法面・護岸・用水路、「道路」との関係における草地(斜面)・路肩、「敷地」
との関係では法面・石垣・植栽・ハゼ等が存在する。その他、土地利用の内部 においては、土地利用の違いにより副次的に派生する要素として、土地利用(所 有)を区切る法面・石垣・畦道・防戦柵等がある。「河川」と他要素との関係で は、「道路」との関係において生じる護岸・法面・防護柵(ガードレール)、「敷 地」との関係では護岸・法面・植栽等が存在する。さらに、「道路」と「敷地」
との関係では、花壇、生垣、植栽等がある。
(4)空間構成要素と社会的活動諸相の相互関係の構造
山田(2008a)は、敷地を構成する空間構成要素の相互関係から、境界領域の諸 要素を説明し、境界により分節された各空間領域の景観・デザインの様相変化 の分析から、境界による領域分節と道による統辞の構造を、敷地形成原理とし て見出している。ここでは、上記の「敷地」における形成原理を、社会的活動 を伴う「地域」に拡張し、空間構成要素と社会的活動諸相との相互関係の構造 をr空間一社会構造図」を用いて実証的に分析する。
すなわち、「空間一社会構造図」では、髭沢地区のほぼ中央部の特定の点を想 定し、そこを原点に、横軸には空間的広がり(敷地、集落、村落(地区)、外部)
をとって、空間構成要素の配置を示す。また、縦軸には社会的活動主体の枠組 み(地縁的共同体、地域内住民自治組織、地域内公的・準公的組織、外部)を とって社会的活動諸相を示す。以上の縦横軸を用い、空間構成要素とこれに関 わる社会的活動諸相との実体的な関係を平面的な図のなかに落とし込み、髭沢 地区の空間構成要素と社会的活動諸相の分布特性を捉えたものが図3−5(空間一 社会構造図:2009年10月)、及び図3−7(空間一社会構造図:1947年頃)である。
なお、図の表現上、地縁的共同体を地域内住民自治組織に対し原点に近い位置 に配置したが、両者は集落、村落という管理空間内で重層して活動しており、
前者の活動が後者の活動より空間的な広がりを有することを意味している訳で
はない。
図3−5(空間一社会構造図:2009年10月)からは、本節(1)一(3)で分析した特 性の他に、空間構成要素と社会的活動諸相との相互関係の分布特性のまとまり、
すなわち相互関係の分布特性に基づく地域景観の基本的単位を、明確に読み取 ることができる。
まず、髭沢地区の空間構成要素の基調となるi)集落内生活景観、のまとま りが図の最上部の左側に、ii)一次産業景観、のまとまりが、i)集落内生活景 観、を包み込むように図の上部に、それぞれ認められる。このうち、集落内生 活景観は、「集落のまとまり(横断方向に概ね100m)」のなかに概ねおさまり、
個人と結いや普請、共同作業等の地縁的共同体のよる活動により維持されてい る。一方、二次産業に関わる景観(森林、採草地、水田、畑)は、より広い範 囲(上記100m程度の集落範囲の外側)に広がり、ここでは、行政区や地域の 公共的団体等の活動が加わり、さらに行政からの補助金等が補完的役割を果た
している。
また、地縁的な共同体、地域内住民自治組織に関わるもの以外の要素として、
道路、河川の、iii)行政管理の景観、が存在している。
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