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基礎自治体の景観を巡る政策循環プロセスと自治の基盤の 再構築に関する実証的分析・考察

ドキュメント内 圓 11=1歯1図 (ページ 110-153)

4−1.本章の構成

4−1−1.本章の目的

 本章では、本研究第1章2節で示した研究目的のうち、第二の目的を達成す るために、第3章と同じく1目開岡村事例を対象とし、その景観を巡る政策群が 自治の基盤の再構築に与える影響の分析・考察を行う。実証的な事例分析・考 察のために、本章では以下に示す3点の目的を設定している。

 第一点目の目的は、景観を巡る政策の政策過程・政策展開の分析を通じて、

その政策過程・展開構造を抽出することにある。第二点目の目的は、景観を巡 る政策の実施による地域社会への影響の分析を通じて、その影響構造を抽出す ることにある。その上で、第三点目の目的は、上記の政策過程・政策展開構造 と地域社会への影響の構造を政策循環プロセスのなかに統合、再構築し、基礎 自治体の景観を巡る政策と自治の基盤の構築の関係性及び関係性の生成原理を 明らかにすることにある。

 以上、本章では、第3章の成果として得た、景観を構成する空間的構成要素 から社会的活動を媒体として自治の基盤形成に至る論理的な展望(パースペク ティブ)を、景観を巡る政策群を対象としたより詳細な分析・考察を通じて、

実証性を高めながら論証していくものである。

4−1−2.本章の構成

(1)本章の構成

 本章は、第1節本章の構成、第2節旧開田村の景観を巡る政策の政策過程・

政策展開の構造の分析、第3節旧開田村の景観を巡る政策の地域社会への影響 の構造の分析、第4節地域景観を巡る政策循環プロセスと自治の基盤の再構築 に関する考察、5節小指、の5節により構成される。

 このうち、本節(第1節)では、本章の目的、構成、本章で用いる用語の定 義を示した後、分析対象とする景観を巡る政策群、各政策の概要、各政策の展

開時期区分(第I期からIII期)等の基礎情報を示している。

 続く第2節では、本章の目的1の達成を目指している。具体的には、第1節 3項で示した政策群を対象とし、第2節1項で分析の手法を示した後、第2項 では、第I期から第m期のそれぞれの時期別、政策過程別に各政策の政策関連 情報を網羅的に収集する。その上で第3項において、政策関連情報を社会的背 景・問題の流れ、政策全体の流れ、政治(政策アクター)の流れに分類した上 で各流れの関係性を捉え、政策過程・政策展開の構造を分析している。

 第3節では、本章の目的2の達成を目指している。具体的には、第2節と同 一の政策群を対象とし、第3節1項で分析の手法を示した後、第2項では、政 策実施の前後で生じた社会的活動と基本形成単位の変化を、政策ごとに把握し ている。第3項では、第2項で得た変化の方向性を類型化し、各類型が地域社 会に与えた影響を、第3章の成果として得た「環境への行為による内的システ ム(以下、評価のシステムと略す)」、「社会形成によるシステム(以下、境界領 域のシステムと略す)」の知見を踏まえて読み解き、政策の影響の構造を分析し

ている。

 以上の第2,3節の分析を踏まえた上で、第4節では、本章の目的3の達成 を目指している。具体的には、第4節1項において、第2節で見た政策過程・

政策展開の構造と第3節で捉えた政策実施による影響の構造を、政策循環プロ セスという枠組みを用いて統合、再構築している。その上で、政策アクター、

並びに地域的ルールの形成と再構築の過程に着目して、自治の基盤の再構築と 景観を巡る政策との関係の全体像を把握している。さらに、第4節2項におい ては「概念モデル図」により、政策と自治の基盤の再構築の関係性が生成して いく原理を明らかにしている。

(2)本章の分析・考察手法

 本章における分析手法は、各節の第一項で詳述しているため、ここでの記述 は、分析・考察手法の概略にとどめるものとする。

 まず、政策過程・政策展開の分析手法としては、政策過程別に政策情報を網 羅的に収集した上で、情報を社会的背景・問題の流れ、政策全体の流れ、政治

(政策アクター)の流れに分類して、本研究で考案した「政策群構造分析図」

により情報の関係性を捉える手法を用いている。政策実施の影響の構造分析で は、政策実施の前後で生じた社会的活動と景観特性(基本形成単位)の変化の 傾向を、「変化傾向分析図」により類型化した上で、第3章で得た「評価のシス テム」、「境界領域のシステム」の知見を踏まえて、変化が地域社会に与えた影 響を読み解き、政策の影響の構造を分析している。

 その上で、政策過程・政策展開の構造と政策実施による影響の構造を、政策 循環プロセスという枠組みを用いて統合している。また、その結果を、「評価の システム」を横軸、「境界領域のシステム」を縦軸とした「概念モデル図」の上 にプロットし考察を加えることで、景観を巡る政策循環プロセスと自治の基盤 の再構築の関係性とその生成原理を解き明かす手法を用いている。

4−1−3.本章の分析・考察で用いる用語の定義

 本章における分析・考察において独自に用いる技術的・学術的な用語を概説、

定義しておく。

 まず、本章では「政策」という用語を基礎自治体の「政策」を対象として用 いていることから、政策の執行過程への工夫や市民が主導する公共的な活動へ の支援等も「政策」という枠組みのなかで捉えている1)。

 次に、「政策過程」と「政策展開」という用語の定義であるが、本章では、

政策群を分析対象としている関係から、混乱を避けるため、「政策過程」と「政 策展開」という用語の意味を分けて用いている。すなわち、本章で「政策過程」

という用語は、個々の政策の問題設定、立案、決定、実施、政策評価等の過程 を表す場合に用い、「政策展開」という用語は、個別の政策に誘発されて次の政 策が成立していく政策から政策への展開を表す場合に用いている。

 また、本章では、「構造」という用語を、政策過程や政策展開、政策実施の 影響などを成立させている各種の政策関連情報(社会的背景・課題、政策アク

ターと組織、政策アイディア、社会的活動、景観特性、地域的ルール、その他)、

及び各情報間に現れる関係性の総体、という意味に用いている。

 さらに政策に関連し、「政策アクター」という用語は、前述の基礎自治体の 政策の定義との関連から、従来の公共セクター(行政、議会等)に加え、自治 的団体、NPO、社会的企業等を含め、公共政策の問題設定、政策立案・決定、

政策実施に自ら主体的に関わるアクターという意味で用いている2)。

 「地域的ルール」という用語は、当該地域における土地や空間の利用等に関 する地域の慣行やルールという意味で用いている。なお、この用法は、景観の 私法上の保護における地域的ルールの法学的な意義を研究対象とした吉村

(2007)の考察を参考としている3)。

 以上、本研究で分析・考察の対象とする「政策」は基礎自治体の「政策」で あることを踏まえた上で、「政策循環プロセス」という用語では、「政策循環」

という用語の一般的な枠組み4)を拡大し、基礎自治体における政策過程・政策 展開が、地域社会への影響を創出し、次の政策へと展開する動きの総体を捉え

ている。

4−1−4.分析対象(景観を巡る政策群)

 本研究では、旧開田村の景観を巡る政策群として、「基本条例」(1972(昭和 47)年)、サインシステム整備事業(1979(昭和54)年)、r基本条例」の一部改正

(1988(昭和63)年)、銘木百選事業(1988(昭和63)年〜)、沿道景観整備事業

(1989(平成元)年〜)、集落内景観整備事業(1989(平成元)年〜)、ペンキ代助成 事業(1990(平成2)年〜)、住民の主体的取り組み(1993(平成5)年〜)、村外機 関へ協力要請(1994(平成6)年〜)、サインシステム整備事業(改良:1995(平成 7)年)、ゴミステーション事業(2003(平成15)年)の合計11本の政策を分析・

考察の対象とした5)。

 また、分析の便宜上、これらの政策をその実施時期から、I期からIII期の3 つの時期に区分した。

[第I期(1972(昭和47)〜1979(昭和54)年)]

 第I期は、「基本条例」を制定し開発業者の乱開発に歯止めを掛け、「自然環 境・景観の保全」を目的として政策を実施した時期とした。分析対象とする政 策の時期区分、策定時期、政策目的、政策主体、取り組み内容は、表4−1の通 りである。なお、各政策は次節で政策過程ごとの情報を踏まえた詳細な分析を

行う。

[第■期(1979(昭和54)〜1988(昭和63)年)コ

 第■期は、r基本条例」をより積極的に運用し、野立て屋外広告物の撤去や

案内サインの設置を図り「自然景観を活かすための景観阻害要因の除去」を目 的として政策を実施した時期とした。

[第皿期(1988(昭和63)〜2004(平成16)年)コ

 第皿期は、新地蔵トンネルの開通に伴う来訪者の増加が予測された時点から 合併までの期間、「地域景観の保全・魅力の向上」を主な目的として多様な政策 群を実施した時期とした。

表4−1 旧開田村の景観を巡る政策群(〜2003(平成15)年)

浅川;榊舳■一一

紬装施華鯨滞

自然景観と住民生活が密接に関 係していることに鑑み、住民の 開田高原開発 生活環境の保全、住みよい郷土 基本条例 の実現を期し、建築物その他工 1972(昭和47) 開田村行政 作物、宅地造成、公共道路造成、

年〜 土地の開墾、木竹の伐採、土石

類の採取、地下水利用、廃棄物 の処理について保護基準、.処理 基準を定めた。

・一D1百療景観一

D. セ藩、かず= サインシステ 開口ヨ村行政と観光協会(看板統 ム整備事業 開田村行政 一委員会)が一体となって村内 1979(昭和54) 観光協会 の野立て看板を撤去するとも

禍壕簿

年〜 に、新たな統一サインを村内に

設置した。

当初は農業振興地域を適用外と 開田高原開発 していたが、この時期までに村 基本条例の一 内の殆どの地域が農業振興地域 部改正 開田村行政 に指定されたことを踏まえて、

1987(昭和62)

年〜 農業振興地域を含む村内全域を

条例の対象とする改正を行っ

た。_…行政区の各区長の協力rrrヂ…

銘木百選事業 クラやマツ、コブシ、フジ等56 1988(昭和63) 開田村行政 件を保存樹木として銘木に指定 年〜 区会・住民 し、土地所有者には認定書と記 念の盾を贈り、その保護保全を 行っている。

....■■o..■■o■o■.■■.■I■■

沿道景観整備 …賢観的に特に重要な、村の玄関…

III、地域景観 事業

開田村行政 口である国道361号の新地蔵ト

の保全、,魅

カの向上一 1989(昭和64) ンネル出1コから約1km区間、沿

年〜 ■..■■o■■.■■.■■■・..一 道両側約70mを借地している。

集落内景観整 …肝阿肝百万行更区…百年「万…方 備事業 区会・住民 円の補助金を出し、区ごとにそ 1989(平成元) 開田村行政 れぞれ独自の発想とアイディア

年〜 で景観整備事業を進めている。

三江支でに、花壇づくりや己久.

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