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情報システムへの新たな企業の期待

2. ストレージ DR システムとその問題点

2.2 新たな企業ニーズに対応したストレージ DR システムとその問題点

2.2.1 情報システムへの新たな企業の期待

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2四半期に出荷されたサーバの16.5%が仮想サーバで、第1四半期の実績から さらに2%増で推移していた。今後も世界的な仮想サーバの出荷増が予想され る。

上記のような情報システムへのニーズは高まる一方で、その期待はDRシステムにも 広がっている。ストレージDRシステムもいくつか上記に対応したものが登場している。

システム継続性の強化に対応する「3拠点ストレージDRシステム」とシステム低コス ト化に対応する「仮想サーバ対応ストレージDRシステム」である。

以下、それぞれのストレージDRシステムについて説明する。

2.2.2 3 拠点ストレージ DR システム

ここでは、3拠点ストレージDRシステムの概要、動作、システム運用管理について 説明した後、本システムが潜在的に持つ3拠点ストレージDRシステムの問題点につい て述べる。

2.2.2.1. システム概要

3拠点ストレージ DR システムは3拠点に配置されたストレージ間でデータを3重 化するストレージDRシステムである。3重化は2種類のデータ2重化技術、すなわち、

データ無損失だが転送距離に制限のある同期リモートレプリケーションと、理論上の転 送距離に制限はないがデータ損失リスクのある非同期リモートレプリケーションを組 み合わせて実現する。これにより、主拠点にあるストレージ(主ストレージ)上のデー タは近郊拠点のストレージ(近郊ストレージ)に同一時点の状態で、遠隔拠点のストレ ージ(遠隔ストレージ)に過去時点の状態で常に複製される。

ここで、3拠点ストレージDRシステムは主ストレージ上のデータ3重化の違いによ

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り、マルチターゲット方式、カスケード方式に分類される。図 12にシステム運用中の、

図 13に引き継ぎ処理時の、両システム構成を示す。

マルチターゲット方式は主ストレージのデータを同期リモートレプリケーションと 非同期リモートレプリケーションとで複製し、2拠点のストレージに分散配置する方式 である。

カスケード方式は主ストレージのデータを同期リモートレプリケーションで近郊ス トレージに複製、近郊ストレージが受信したデータをさらに非同期リモートレプリケー ションで遠隔ストレージに複製する方式である。

いずれの方式でも3拠点ストレージ DR システムは広域にシステムを分散した構成 で、主拠点被災時もデータ損失のない引き継ぎ処理が近郊拠点から可能という、両2重 化技術の特徴を併せ持つ。さらに、近郊、遠隔ストレージの両方が動作可能な場合、主 ストレージと同一データが格納される近郊ストレージから遠隔ストレージにリモート レプリケーションを再構築できる。これにより、3拠点ストレージDRシステムは近郊 拠点での引き継ぎ処理後に再度被災する場合にも高い確度で遠隔拠点からシステムの 復旧が可能となる。

また、3拠点ストレージDRシステムでは引き継ぎ処理時に再構築するリモートレプ リケーションの再構築時間を短縮する研究、開発がなされている[5] [7] [23] [24]。本論 文では、被災後を逃れた拠点のストレージ間で短時間に再構築するリモートレプリケー ションを“デルタリモートレプリケーション”とよぶことにする。

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主ホスト

主ストレージ

近郊 ホスト

近郊ストレージ

遠隔 ホスト

遠隔ストレージ

主拠点

近郊拠点

遠隔拠点

AP 主ホスト

主ストレージ

近郊 ホスト

近郊ストレージ

遠隔 ホスト

遠隔ストレージ 主拠点

近郊拠点

遠隔拠点 AP

カスケード方式 マルチターゲット方式

図 12 マルチターゲット方式とカスケード方式のシステム構成(システム運用中)

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主ホスト

主ストレージ

近郊 ホスト

近郊ストレージ

遠隔 ホスト

遠隔ストレージ 主拠点

近郊拠点

遠隔拠点 主ホスト

主ストレージ

近郊 ホスト

近郊ストレージ

遠隔 ホスト

遠隔ストレージ 主拠点

近郊拠点

遠隔拠点

AP

カスケード方式 マルチターゲット方式

災害

災害

AP

AP

AP

図 13 マルチターゲット方式とカスケード方式のシステム構成(引き継ぎ処理時)

3DC-DDR:

以下、本論文では、3拠点ストレージDRシステムとして、著者らが検討するマルチ ターゲット方式を基にした 3DC-DDR:Three Data Center storage system with Differential Data Resynchronization mechanismを前提に説明する。

図 14に3DC-DDRのシステム構成を示す。

3DC-DDRのシステム構成は、従来のストレージDRシステムを3拠点の計算機シス

テムに拡張した形態をとる。

3DC-DDRでは、システム運用中に主ストレージが近郊、遠隔の両ストレージに、主

ストレージが受信したデータを転送し、近郊、遠隔ストレージが自身のバッファに受信

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主拠点被災時は、近郊ストレージが自身のバッファと遠隔ストレージのバッファに格 納されているデータを比較し、両者の差分のみを両ストレージ間で交換することで、近 郊、遠隔ストレージ間でデルタリモートレプリケーションを再構築する。

図 15に3DC-DDRにおけるデルタリモートレプリケーション再構築の動作例を示す。

近郊ホスト

制御装置

副1ボリューム

遠隔ホスト

制御装置

副2ボリューム 業務P 管理P

業務P 管理P

Data

同期リモート レプリケーション

非同期リモート レプリケーション

近郊ストレージ

遠隔ストレージ 主ホスト

制御装置

主ボリューム 業務P 管理P

data

Data9 Data5

主ストレージ 制御C

Data

主拠点

近郊拠点

遠隔拠点

Data 4 Data 3 Data 2

Data6

Data7

Data8

data

同期構成

非同期構成 同期構成 非同期構成

5 data 6

Data 4 Data 3

Data 5

図 14 3DC-DDRのシステム構成

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近郊ホスト

制御装置

副1ボリューム

遠隔ホスト

制御装置

副2ボリューム 業務P 管理P

業務P 管理P

Data

近郊ストレージ

遠隔ストレージ 主ホスト

制御装置

主ボリューム 業務P 管理P data

Data9 Data5

主ストレージ 制御C

Data

主拠点

近郊拠点

遠隔拠点

Data 4 Data 3 Data 2

Data6

Data7

Data8

data

同期構成

非同期構成 同期構成 非同期構成

5 data

災害

Data 4 Data 3

Data 5

6

短時間に非同 期レプリケー

ションを構築

図 15 3DC-DDRにおけるデルタリモートレプリケーションの再構築

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2.2.2.2. ストレージにおけるリモートレプリケーション処理

3DC-DDRでは、主ストレージが近郊、遠隔拠点の両ストレージと連携し、リモート

レプリケーションを構築する。主ストレージは主ホストから受け付ける制御コマンドに 従い、リモートレプリケーション処理を実施する。リモートレプリケーションの処理は ボリューム単位に実施される。また、リモートレプリケーション処理は同期、非同期、

そして、デルタリモートレプリケーション処理がある。同期、非同期リモートレプリケ ーション処理は上述と同様である。以下、3DC-DDRのデルタリモートレプリケーショ ンについて説明する。

デルタリモートレプリケーションは、同期、非同期の両リモートレプリケーションで 転送されたデータの差分を使用して、近郊、遠隔ストレージ間に再構築する非同期リモ ートレプリケーションである。

デルタリモートレプリケーションの処理は差分蓄積処理と差分再同期処理から成る。

差分蓄積処理は引き継ぎ処理前に実施する準備処理で、主ストレージから転送された 個々のデータを、識別可能にし、近郊、遠隔ストレージの双方で蓄積する処理である。

差分蓄積処理は同期、非同期の両リモートレプリケーション開始後であれば、任意のタ イミングで開始可能である。

差分再同期処理は引き継ぎ処理時に実施するデルタリモートレプリケーションの再 構築処理で、近郊、遠隔ストレージに蓄積されたデータの差分を特定し、特定した差分 を両ストレージ間で交換することで、デルタリモートレプリケーションを再構築する。

近郊、遠隔ストレージ間で差分データを交換するためには、近郊、遠隔ストレージのい ずれかに、主ストレージ上のレプリケーション対象の全データが転送されている必要が ある。これを実現するためには、同期、非同期、両リモートレプリケーションの初期レ プリケーションが完了している必要がある。

以下、それぞれの処理内容について説明する。

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(1)差分蓄積処理

図 16に差分蓄積処理の動作概要を示す。差分蓄積処理では、主ストレージから転送 されたデータを識別可能な状態で蓄積するために、同期リモートレプリケーションの処 理を以下のように拡張する。

 シリアル番号付き同期転送処理:

主ストレージは、主ホストから受信した更新データのシリアル番号の付与を、非同 期リモートレプリケーションに加え、同期リモートレプリケーション用の転送フレ ームにも実施する。

 同期転送データの蓄積処理:

通常の同期リモートレプリケーション処理では、近郊ストレージは受信した転送フ レームのデータを読み出し、副1ボリュームに書き込む。本処理ではさらに、近郊 ストレージはその転送フレームをバッファに書き込む。バッファに転送フレームを 格納することで、近郊ストレージは受信した直近の転送フレームを一定量蓄積する。

以上から、同期転送データの蓄積処理により、近郊ストレージは同期リモートレプ リケーションで転送された直近のデータを一定量蓄積可能になる。また、シリアル 番号付き同期転送処理により、近郊ストレージはバッファに蓄積されたデータの識 別が可能になる。

差分再同期処理を実施可能にするためには、データ蓄積処理において、近郊、遠隔 ストレージのバッファに蓄積された転送フレームのシリアル番号がバッファ間で 重複か、連続すれば良い。上記条件を満たすことで、近郊、遠隔ストレージ間で主 ストレージから転送された直近の全データがいずれかのバッファに存在すること