4. サーバ仮想化環境対応型 In Band レプリケーション制御方式: REMDY-NG
4.1 はじめに
企業における計算機システム、特に勘定系業務で使用されることが多いMF計算機は 24時間365日稼働が前提であり、システム停止やデータ損失が企業への甚大なダメー ジになる。その一方で、テロ、災害等によるシステム停止やデータ損失を避けることは
7 GenボリュームはGenerated Volume、Non GenボリュームはNon Generated Volumeの略語。双方と もメインフレーム計算機の用語。
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難しい。そこで、企業では災害等発生後も短時間に引き継ぎ処理を実現するDRシステ ムを利用している。DRシステムは、地理的に離れた複数拠点にある計算機システムの データを複数拠点間で冗長に保持するシステムで、災害発生後は被災を逃れた拠点に保 持されたデータを使用し、システムの復旧が可能となる。
DRシステムの実現手段として、計算機への負担が少ないストレージによるレプリケ ーション機能が使用される。
また、MF計算機環境におけるレプリケーションの制御方式には上述の通り、In Band
方式とOut of Band方式があり、以下の特徴がある。
[1] In Band方式:
MF 計算機のデータアクセスとレプリケーション制御が同一通信線を利用するため、
MF計算機上のAPのデータアクセスとレプリケーション制御用コマンドの実施順序を 維持し易いメリットがある。
[2] Out Of Band方式:
Out Of Band方式は、MF計算機の処理負荷やストレージへのアクセス設定に依存す
ることなくレプリケーションを制御できるメリットがある。その一方で、Out of Band 方式は MF 計算機のデータアクセスとレプリケーション制御は異なる通信線を利用す るため、MF計算機上APのデータアクセスとレプリケーション制御の実施順序維持は 難しい。
In Bandレプリケーション制御方式:REMDY
確度の高いシステムの回復を実現するべく、著者らは In Bandによるレプリケーシ ョン制御方式REMDYの研究、開発を進めている[16] [17]。In Bandレプリケーショ
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ン制御は、AP とレプリケーション制御との連動が容易であり、AP の回復可能なタイ ミングでレプリケーション制御を実施するといった制御が容易と考えるためである。
REMDYは従来レプリケーション元、先のボリュームからなるレプリケーションペア
単位であったレプリケーション制御をグループ単位にまとめ一括制御する。これにより、
REMDY は千を越える大量のボリュームがレプリケーション対象になることがある
MF計算機環境のレプリケーション制御を支援する。
サーバ仮想化環境対応型In Bandレプリケーション制御方式:REMDY-NG 近年、省スペース化や省電力化を目的に、複数の計算機(以下、ゲスト計算機)を1 台のホスト計算機に集約するサーバコンソリデーション(Server Consolidation)が注 目されている。特にサーバ仮想化技術の登場により、ゲスト計算機の追加、変更が容易 になり、MF計算機でもサーバコンソリデーションの導入が加速している。サーバ仮想 化を導入した環境(以下、サーバ仮想化環境、また、サーバ仮想化技術を導入した計算 機を仮想サーバとよぶことにする)でIn Bandによるレプリケーション制御を実施す る場合、MF計算機上で稼働する複数ゲスト計算機のデータを一括してレプリケーショ ン制御することが望まれる。これは、レプリケーションの用途が災害復旧であり、災害 発生時はシステム全体に影響が及ぶことが想定されるためである(図 31 参照)。ここ で、各ゲスト計算機からレプリケーション制御を実施することも考えられるが、レプリ ケーション対象のゲスト計算機分レプリケーション制御を個別に実施することになり、
システム使用者への負担が大きく現実的ではない。ゲスト計算機毎にレプリケーション 制御の適用有無は異なる可能性はあるが、適用しないゲスト計算機がある場合は該当ゲ スト計算機を適用除外にして一括してレプリケーション制御をすることで対応できる。
特に、近年のクラウドコンピューティング(Cloud Computing)環境では仮想サーバ上 の複数ゲスト計算機を少数のシステム使用者が管理しており、このような環境では各ゲ
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スト計算機からのレプリケーション制御が大きな負担になる。
サーバ仮想化環境では、1ゲスト計算機からアクセス可能な Gen ボリュームとアク セス不可能なNon Genボリュームとの関係が変化する。ここで、レプリケーション対 象のゲスト計算機の追加、削除を考える。1ゲスト計算機(管理ゲストとよぶことにす る)からすると、ゲスト計算機の追加は管理ゲストにとってNon Genボリュームの増 加になる。また、ゲスト計算機の削除はNon GenボリュームがMF計算機に解放され るため、管理ゲストにそのボリュームが追加される可能性がある。従って、サーバ仮想 化環境では、Genボリューム、Non Genボリュームの関係が変化することになる。こ のような環境では制御コマンドを発行すべき Gen ボリュームが不定になり、In Band のレプリケーション制御が困難となる。これは、制御対象としてGen、Non Genボリ ュームが混在し、さらにそのボリューム構成が動的に変化する環境を従来の REMDY
などIn Band制御方式では十分な考慮がなされていなかったためである。回避策とし
て、ゲスト計算機とボリュームとの関係が変更になる度に、制御コマンドの発行先ボリ ュームを変更することが考えられるが、システム使用者への負担になり現実的ではない。
そこで、従来のIn Band方式ではGen、Non Genボリュームの構成変更に影響しない 特定数の Gen ボリュームを制御コマンド受信専用のボリュームとして使用していた。
結果として、ストレージにおける制御コマンドの処理能力が制限され、レプリケーショ ン制御のための時間が増大していた。
本章では、サーバ仮想化技術を適用したMF計算機環境で複数ゲスト計算機のデータ を対象に高性能な In Band レプリケーション制御を実現する方式 REMDY-NG
( REplication Management mechanism with DYnamic load of OS disk configuration including Non Generated volumes)を提案する。
REMDY-NGはMF計算機上1ゲスト計算機で動作し、任意のタイミングでGenボ
リュームとNon Genボリュームそれぞれのボリューム構成を検出、レプリケーション
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構成情報と分離して管理する。また、レプリケーション制御直前に、Genボリュームと
Non Genボリュームとを判別可能な状態でレプリケーション構成情報と検出したボリ
ューム構成の情報とを結合する。レプリケーション制御時はレプリケーション構成に含 まれる全てのGenボリュームを対象に離散的に制御コマンドを発行する。
以上により、REMDY-NGは高いレプリケーション制御性能を狙う。
サーバ仮想化機構 ゲスト2
(レプリ制御 必要)
ゲスト3
(レプリ制御 不要)
ゲスト4
(レプリ制御 必要)
ゲスト1
(レプリ制御必要)
REMDY‐NG
G G N N N N N
MF計算機 MF計算機
ストレージ
ストレージ G Genボリューム
N Non Genボリューム 凡例 災害に備え
対象ゲストVolを レプリケーション 対象として制御
N
図 31 Gen、Non Genボリューム混在のレプリケーション管理
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