• 検索結果がありません。

仮想サーバ対応ストレージ DR システム

2. ストレージ DR システムとその問題点

2.2 新たな企業ニーズに対応したストレージ DR システムとその問題点

2.2.3 仮想サーバ対応ストレージ DR システム

次に、仮想サーバ対応ストレージDRシステムの概要、動作、システム運用管理、お よび、問題点について説明する。

2.2.3.1. システム概要

仮想サーバの概要:

図 19に示すように、仮想サーバは、従来のホスト計算機をハイパーバイザとよばれ るソフトウェアの仮想化機構で仮想化し、ホスト計算機の資源を分割することで、複数 のゲスト計算機がそのホスト計算機上に存在するように見せる。上記以外にも、仮想サ ーバの一種に、計算機資源論理分割(Logical Partitioning: LPAR)とよばれるハード ウェア機構により計算機資源を分割するものがある[25] [26]。

以下はハイパーバイザを用いた仮想サーバについて述べる。

ゲスト計算機の CPU、メモリ、ボリュームなどすべては、ホスト計算機が持つ同計 算機資源の一部である。従って、ゲスト計算機の計算機資源と、ホスト計算機の計算機 資源は1対1に対応付けができない場合がある。

- 56 -

メモリ CPU

ボリューム ボリューム ボリューム

ストレージ ホスト計算機

Cドライブ Dドライブ Eドライブ

仮想化 される領域

仮想化され ない領域 Guest Guest Guest Guest

CPU

メモリ

ボリューム

CPU

メモリ

ボリューム

CPU

メモリ

ボリューム

CPU

メモリ

ボリューム

ハイパーバイザ

図 19 仮想サーバの概念図

ストレージDRシステムで仮想サーバに対応するためには、上述のゲスト計算機(仮 想)とホスト計算機(物理)との対応付けが必要不可欠になる。ゲスト計算機に割り当 てられた仮想化されたボリューム(仮想ボリュームとよぶ)が実際のストレージ上のボ リュームと異なる場合があり、ゲスト計算機のボリュームをレプリケーション制御対象 にするといった、ゲスト計算機の計算機資源を視点としたレプリケーション制御が難し いためである。以下、ストレージDRシステムのOut Of Band、In Bandそれぞれの 制御方式における仮想サーバへの対応方式を示す。

- 57 - Out Of Band方式の対応:

Out Of Band方式では、上述のゲスト計算機の計算機資源を視点としたレプリケー

ション制御を実現する機構が加わる。この機構は論理物理マッピングもしくは論物マッ プとよばれる。この論物マップを基に、GUI 等でシステム使用者にゲスト計算機とス トレージ内ボリュームとの関係を示すことにより、任意のゲスト計算機を視点としたレ プリケーション制御が可能となる [27]。

一般的に、論物マップは管理プログラムが作成する。すなわち、ハイパーバイザが持 つゲスト計算機とホスト計算機の対応情報取得後、管理プログラムが自身で持つストレ ージの構成情報と取得した情報とを対応付けることで作成する。

In Band方式の対応:

In Band方式では、上述の論物マップに加え、仮想ボリュームから適切なストレージ

上のボリュームに制御コマンドを発行する機構が必要となる。

以下、本論文では、In Band方式として著者らが研究するメインフレーム計算機(以 下、MF計算機)向けIn Band方式のストレージDRシステムであるREMDYを前提 に論ずる。

REMDYの概要:

はじめに、REMDYの概要を説明し、次に、仮想サーバへの対応方式とその問題点を 示す。

図 20にREMDYのシステム構成を示す。

REMDYは従来レプリケーション元、先のボリュームからなるレプリケーションペア

単位であったレプリケーション制御をグループ単位にまとめ一括制御する。すなわち、

本グループには複数のレプリケーションペアが含まれ、REMDYはこのグループを単位

- 58 -

にレプリケーションを制御する。これにより、REMDYは千を越える大量のボリューム がレプリケーション対象になることがある MF 計算機環境のレプリケーション制御を 上記グループの指定のみで、容易に実現する。図 21 に REMDY のグループ制御の効 果を示す。REMDYを使用することで、システム使用者はREMDYに対し、グループ によるレプリケーション指示を出すのみで、REMDYは制御対象の全ストレージボリュ ームに対し、制御コマンドを発行する。以下、上記グループをレプリケーショングルー プとよぶことにする。

REMDYは柔軟なレプリケーション制御を実現するべく、レプリケーショングループ

とボリューム構成情報とを独立して管理する。レプリケーショングループはシステム使 用者により作成される。ボリューム構成情報はMF計算機のOSから取得する情報を基

にREMDYにより作成される。また、REMDYはレプリケーション制御直前にボリュ

ーム構成情報とレプリケーショングループとを結合し、レプリケーション制御を実施す る。以下に、REMDYの処理を示す。

- 59 -

IO‐1 MF OS

IO制御部

IO‐2

IO‐1 主ストレージ

遠隔ストレージ IO‐2

MF計算機 ロード部 (主)

Vol構成 情報 Rep Grp

UCB ボリューム検出部

Gen検出

REMDY

各情報の 読み込み

レプリケーション

グループ MF計算機

(遠隔)

IO‐2 (Vol2)

IO‐1 (Vol‐a)

IO‐2 (Vol‐b)

物理IOアドレス デバイス番号 STG1: IO‐1 Vol1 STG1: IO‐2 Vol2 STG2: IO‐1 Vol3 STG2:IO‐2 Vol4

制御Cmd 制御Cmd

IO‐1 (Vol1)

レプリケーショングループ

図 20 REMDYのシステム構成

- 60 - ストレージ

従来管理 プログラム レプリケーション 制御の度にペア分

同一指示を出す 必要があり、苦痛

従来方式 REMDY

ストレージ

ストレージ REMDY レプリケーション制御 は、グループを指定し

て指示するのみ

ストレージ

レプリグループ 使用者の指示を解析し、

レプリペアに展開し、各 ペアに制御コマンド発行

指示 指示 指示 指示

指示

Cmd Cmd Cmd

Cmd Cmd

Cmd Cmd Cmd

図 21 REMDYの効果

2.2.3.2. REMDYの処理

In Bandによりレプリケーション制御するためには、ストレージ内のボリュームに制

御コマンドを発行する必要がある。

MF計算機から制御コマンドを発行するためには、2種類のボリュームアドレスが必 要となる。すなわち、MF計算機OSが付与するボリューム識別子(デバイス番号)と ストレージがボリューム管理用に付与するボリューム識別子(物理IOアドレス)であ る。

デバイス番号を指定することにより MF 計算機から制御コマンドの発行が可能とな り、物理IOアドレスを制御コマンド内に指定することよりストレージによる制御対象 のボリューム認識が可能となる。

デバイス番号と物理 IO アドレスの両情報を取得するため、REMDY は MF 計算機 OSからボリューム管理情報であるUnit Control Block(以下UCB)情報を参照する。

- 61 -

UCB情報にはデバイス番号と物理IOアドレスの双方が格納されるためである [28]。

REMDYはUCBを参照し、ボリューム識別子と物理IOアドレスとを関連付けてボリ

ューム構成情報として保持する。

2.2.3.3. 制御方法

REMDYでは、MF計算機OSの管理するボリュームをボリューム構成情報として保

持する。REMDYはレプリケーション制御時にこのボリューム構成情報とレプリケーシ

ョングループとを関連付けて結合する。これにより、REMDY は稼働する MF 計算機 のボリューム構成を基にしたレプリケーション制御を実現する。この処理により、災害 発生後に稼働する遠隔拠点のMF 計算機や、クラスタ構成における任意の MF計算機 からでも、REMDYはレプリケーション制御が可能となる。

制御コマンド発行時、REMDYは高いレプリケーション制御性能を実現するべく、レ プリケーショングループ内のレプリケーション元ボリュームに離散的に制御コマンド を発行する。

ここで、著者らが対象とするストレージにはレプリケーション制御方法が2種類ある。

レプリケーション対象の Gen ボリュームに制御コマンドを直接発行する直接指示と、

任意の Gen ボリュームに制御コマンドを発行し当該ボリュームを経由して間接的に対 象のボリュームを制御する間接指示である。

REMDYはその両方の制御方法に対応するが、制御コマンド受信によるボリュームの

性能劣化を避けたい場合や、Non Gen ボリュームをレプリケーション制御する場合な どを除き、REMDYは直接指示を利用する。

また、REMDY は制御コマンドとして MF 計算機における周辺機器制御用のチャネ

ルコマンド語(CCW: Channel Command Word)を使用する [19]。本論文では、特に レプリケーションなどのストレージの機能を制御するために使用する CCW を制御コ

- 62 - マンドとよぶことにする。

2.2.3.4. ストレージによるレプリケーション処理

2.1.3 節で述べた、従来のストレージDRシステムのストレージにおける同様のリモ

ートレプリケーション処理を実施する。すなわち、主ストレージは制御コマンドを受信 すると、ストレージはその内容を解析しレプリケーション処理を実施する。

2.2.3.5. 仮想サーバへの対応方式と問題点

図 22にREMDYにおける仮想サーバ対応方式を示す。

仮想サーバの特徴として、ゲスト計算機の追加、削除が容易なことがある。そのため、

企業では、業務形態の変更や、業務規模拡大に応じ、仮想サーバ上のゲスト計算機の追 加・削除を頻繁に実施するようになった。これは、1ゲスト計算機からすると、アクセ ス可能な Gen ボリュームと、他のゲスト計算機に使用されたことでアクセス出来ない

Non Genボリュームが仮想サーバ上に混在し、また、GenボリュームとNon Genボリ

ュームの関係が変化することになる。

このような環境で、1ゲスト計算機からREMDY等In Band方式で複数ゲスト計算 機のボリュームをレプリケーション制御することを考えると、以下への対応が必要とな る。

 GenボリュームとNon Genボリュームの混在への対応

 Gen、Non Genボリュームの動的な変化への対応

これに対応するべく、REMDYを含むIn Band方式では仮想サーバ内のゲスト計算 機とボリュームとの関係変更に影響を受けない制御コマンド受信専用の Gen ボリュー ムを用意し、Gen、Non Gen ボリュームの区別なく間接指示でレプリケーション制御