5. 本調査について
5.4 意識調査
5.4.2 情報やり場面における、日本語母語話者・上級話者の意識面の分析
情報やり場面における、NSおよびHの意識は、以下の9つのカテゴリーに分類さ れた。
1. 詳細な説明
2. ストーリー構成・全体像の説明 3. 例示
4. 言い換え 5. 文を短くする
6. スピードを遅くする。
7. 理解確認を行う。
8. 何も意識していない。
9. ジェスチャーを用いる。
では、どの話者が上記の9つのカテゴリーを意識してタスクを行っていたのだろう か。1から順にみていくことにする。
1. 詳細な説明
NSE26 HB HC HD
何がポイントかわからな いので、鏡を見ていると か服を合わせていると か、そのような描写をし た。
何時何分等、詳細な時間 も伝えた。
人物と周りの環 境などを詳細に 説明した。
時間を伝えて、詳 細に説明した。
一番からできるだ け詳しく説明して あげた。Tシャツ を持っている、左 側に服がある、な ど。
2. ストーリー構成・全体像の説明
NSA NSE NSF
ストーリー全体を伝えよ うとした。
全体の構成を伝えるように した。
誰が出ていて、何をしているのか、
主語と述語が伝わるようにした。
26 塗りつぶしはNSの意識であることを示しており、塗りつぶしなしはHの意識で あることを示している。
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HB HC HE
まずは仕組みを説明する。
5つの部分に分かれている ことなど。
話の流れを中心に説明し た。最初に誰が何をしたの か。
その図の人物がどういう風に動い ているかを説明するようにした。
3. 例示
NSB NSF HE
怒っている、といった感情を 伝える。
どうしたの、と声をかけてい る、などと説明した。
音を出している感じが見え るのは、そのまま説明した。
4. 言い換え
NSA NSB NSC
なるべく簡単にしようとし た。
簡単な日本語で説明しようと した。
なるべく簡単な単語を心 掛けた。
HB HD HF
吹き出しが理解できていな いようだったら、違うものに 言い換えて説明した。
分からない時は、言葉を変え て説明した。
言いたいことが言えなか ったので他の単語に変え た。
5. 文を短くする
NSA NSC
一文を短くして伝えようとした。 情報を詰め過ぎず、1文ずつに分ける。
6. スピードを遅くする NSF
ゆっくり話した。
7. 理解確認を行う
NSA NSD
相手の表情を見て分かっているかをチェック した。
伝わりにくい言葉を使ってしまったら、伝 わっているか聞くようにした。
8. 何も意識していない HA
ただ描いてあることを説明した。
65 9. ジェスチャーを用いる
NSA NSC
ジェスチャーを使用した。 ジェスチャーを使って表現した。
以上NS・Hそれぞれが意識していた9つのカテゴリーを挙げたが、一つのカテゴ リーについてNSもしくはH各6名のうち、半数である3名以上が意識していたカ テゴリーを、意識されやすいカテゴリーとして再度分類する。また、言い換えにある、
HF の言い換えは、相手の理解促進のための言い換えではないことから、意識された カテゴリーとして集計しなかった。そこで、①NS、Hともに意識するカテゴリー、② NSのみに意識されやすいカテゴリー、③Hのみに意識されやすいカテゴリーに分類 すると、以下のようになる。
①NS、Hともに意識されやすいカテゴリー 2. ストーリー構成・全体像の説明
②NSのみに意識されやすいカテゴリー 4. 言い換え
③Hのみに意識されやすいカテゴリー 1. 詳細な説明
ここから考えると、NS は情報やり場面において、ストーリー構成や全体像の説明 を意識するなどの内容面に加え、言い換えを行うといった言語面の調整を意識をして いることがわかる。一方でHは、ストーリー構成・全体像の説明、詳細な説明といっ た、内容に焦点を当ててやりとりを行う傾向があることがわかった。また、相手の理 解確認の使用は、NS、Hどちらにも意識されにくく、文の長さについても、どちらに も認識されにくいことが分かった。
Hが言い換えをあまり意識していないという結果はHがNSと比較して、情報や り場面におけるコミュニケーション方略そのものの使用が少なかったことを示唆して いるといえる。また、Hによる相手の理解確認の使用が少なかったこと、さらには自 己発話の修正の種類において、詳述化の使用が多かったことは、理解確認の意識が見 られなかったことと、詳細を伝えようと意識していたことと関連しているといえる。
また、フォリナー・トークの特徴の1つとも考えられている話すスピード(ロング
1992)に関しては、NS、Hともに意識されにくく、ゆっくり話す、ということを意
識的に行っている話者はNS・H合わせて、NSF1名のみであった。
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