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ドキュメント内 方言と日本語教育 (ページ 129-132)

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(2)「居る」

 ee 2は「居る」についての地図である。「イル」と「オル」がほぼ東西に分 かれており,富由・岐阜・愛知以西で「オル」,それより東で「イル」となっ ているほか,和歌由に「アル」,東北に「イタ」が散見する。共通語でも敬語 表現との関連で「家におります」など,「オル」を用いる文脈があるが,図2 の現象をEにすると,「オル」が丁寧,謙譲表現の役割を担うという現象が,

全国的に見た場合,必ずしも等価値とは書い切れないのではないかという疑 いが出てくる。例えば,「家におられますか」という表現をどのような相手に 向かってどの程度の頻度で使うか,「いらっしゃる」との敬意の差,「行く,

来る!の尊敬表現としての「いらっしゃる」との併用状況の違いなどの問題 にまで発展させたとき,かなり微妙な問題ではあるが,図2の「オル」使用 地域内であっても「オル」の地位が地方により異なることが予想される。こ の項目についてLAJ第2集別冊『B本書語地図解説』では,

「近畿のイルは,オルとの併用地点で,オルが古いとする注記が見られた。

 (中略)この近畿のイルは,標準語の影響によって拡がった新しい分布と  見られる。一方,静岡西部のイル,オルの併存地帯では,併用の際,オル  が,新しい・上品,という注記が多くあった。この地域では逆に,オルが,

 力を得ているようである。」

と解説していることも合わせ紹介しておく(併用形がこの略図上に示されて いないことは1に述べたとおりである)。

 略図上では「イル」として統合したが,岩手・宮城・福島・新潟・茨城な どには「エル」という露答が多数を占めており,「イル」地域内には音声上の 差がある。

 東北地方の「イタ」は,「この地方で現存の事象を「イタ」の形で表現する」

(佐藤(1979))というもので,「たとえば人の家を訪ねて玄関先で「○○さん いたか」と購ぶと,本人が「いた。いた」と言いながら姿を現わす」(岡)現 象である。「質問のしかたを変えれば,イタの領域はもっと広がるはずである」

(同)という。語彙の問題に留まらず「〜した」の形がカバーする領域の,

文法上の問題として考えるべき事柄である。文法項冒は後で幾つか取り上げ るが,語彙に比べて方言であることが意識されにくい面がある。

(この項の原図:「いる(居る)1→LAJ第2集第53図)

(3) 「一ft乍≡ヨ」

 図3は「一昨H」の図である。西日本のほぼ全域で「オトツイ」,関東地方 から東北地方の太平洋側で「オトトイ」,東北地方のB本海船で「オトトイナ」

が使われる。九州では「オトトイ」と「オトツイ」が混在する。佐藤(1991)

には,

「中部地方や中国・四国・九州の各地では(「オトトイ」と「オトツイ」の)

 墨形を併用する地点があり,これらの地点のうち,岐阜および長野県南部  から東海地方にかけての地域では,オトツイの方を改まったことば,上品  なことばと意識し,逆に哲日本の各地域では,オトトイの方をより標準語  的なことばと意識しているという調査結果があり,興味深い。」

という記述がある。同じような現象が「居る」にも見られることを先に紹介 したが,ある意味を表わすのに二つの(類似した)語形がある場合,教科書 に使うことばとしてどちらを採るか,判断の分かれることがある。それが個 人差であることもあるが,「一昨H」の「オトトイ」と「オトツイ」のよう に,出身地による語感の違いが原困となっている場合もある。自分の出身地 以外でのH本語教育機会の増加が予想されることを考えると,このような点 には十分注意する必要がある。「オトトイ」と「オトツイ」程度の差異であれ ば留学生にとってもあるいは類推のきくものかもしれないし,どちらを使っ ても誤解の生じる余地はないかもしれないが,その持つニュアンスの違いが 地域によって逆転するという現象は注目する必要がある。なお,「東北地方の

「オトトイナ」などの「〜ナ」は主に過去を表す語に用いられ,これらの地 域ではヂ昨B」はキノーナ,「昨晩」はユーーベナである」(佐藤(1991))とい

う。

(この項の原図及び関連地図:「おととい(一昨日)」→LAJ第6集第276

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as ブドウドウイ, ブトウツイ

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 図3  「一[i乍田」

o オトトイ, オットイ

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o オトトイナ,オットイナ

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