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し〆

ドキュメント内 方言と日本語教育 (ページ 158-162)

(14)F足りる(終止形)」と「足りない(否定形)」

 GAJ第2集では動詞の活用形の一部が地図化されている。ここではその 中から幾つかを略図化して示す。図20は「足りる(終止形)」,図21は「足り ない(否定形)」の略図である。

 斑20では東B本に主として「タリル」,西日本に「タル」が分布する。東北 北部には「タレル」,九州南部には「タイ」「タッ」も見られるが,大雑把に 書ってごく単純な「タリルータル」の東西分:布をなしている。ある種の動調 についてはこのように一段動詞と五段動調の両形が使われることがあるが,

これは無秩序に存在するのではなく,東西対立の一つの現われと見ることが できる。また,動詞そのものの活用形ではないが,「書く」の使役形としての

「カカセル」と「カカス」も東西対立をきれいに示す。(GAJ第3集第119

図参照)

 図21もほぼ似たような分布を示すが,東臼本内部で地域により「タンネ」

が使われるところと「タリネ」が使われるところに分かれる。先に図10で「こ こにあるのは」の「有る」での音便現象の有無を見たが,東日本について閣 10と図21を重ねると図10の音便形使用地域はこの図の「タンネ」地域と必ず

しも一致するわけではなく,例えば福島では図10で撲音便を用いていながら この図ではほとんどが「タリネ」を使用している。二つの類似した音便現象 であっても,品詞や接続などの違いと関連して,一方の現象が起これば必ず 他方も起こるというわけではないことがわかる。

(15)「死ぬ(終止形)」

動詞終止形に見られる対立は東N本一酉可溶だけではない。図22は「死ぬ

(終止形)」の略図であるが,東北の「スヌ」を「シヌ」の音声変種とすれば

「シヌ」が広い地域で使われる中で,中国・四国・九州には「シヌル」が使 われる地域があり,沖縄では「シヌン」が使われる。また「シグ」がところ

どころにまとまった地域をなす。

 図20 「足りる(終止形)」

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図21 「足りない(否定形〉」

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