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ドキュメント内 方言と日本語教育 (ページ 137-141)

「あまい(甘い)」→LAJ第1集第37図,「しおからい(鍼い)」→LAJ 第1集第39図,「からい(辛い)」→LAJ第1集第40図)

(6)「煮る」

 調理に関することばとしてもう一一つ「にる(煮る)」の地図を取り上げる(図 6参照)。ほとんどの地域で「ニル」を用いるが,近畿を中心に,四国・九州 には「タク」の地域がある。「炊く」の図と対照した佐藤(1991)によれば,

 「全国の大部分は「煮る」をニル,「炊く」をタクと雷っているが,岩手・

 関東・中部の一部と蔭日本の山間部および沖縄の一部(沖縄本島と宮古島)

 で両者を区別せずニルと呼び,近畿から中国・四国・九州にかけて(と北  陸・岩手の〜部)に両者ともタク,入重山諸島では両者ともワカスと表現  している」

とのことである。

 留学生に方言を提示する目的の一つとして地域住民との交流促進が挙げら れるとすれば,従来の初級教育では取り上げられることの少なかったこれら 調理・味覚に関する語彙などにも視野を広げていく必要がある。単に今まで 教えられた語彙を地域の方書形に置き換えるだけでは不十分であろう。

(この項の原図及び関連地國:「にる(煮る)」一一・LAJ第2集第58函,「た  く(炊く)」吟LAJ第2威民57図)

(7)「やりもらい」

 略図は示さないが,「やりもらい」についても地域差があることをLAJの 項目から概観しておく。「ただで与えることを物をどうすると言いますか。わ たしが,友達に,たばこを一本,どうすると書いますか。…」という本動詞

「やる」に桐当する語形を求めた項目で,北海道:と関東以西で広く「ヤル」

が臓答されているが,「クレルJ類の地域もかなりあり,東北南部・関東・中 部,九州南部に広がっている。福島県を除く東北全域には「ケル」系が広が っており,これが「クレル」と同類のものだとすれば,東北と九州南部が「ク

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図6 ド煮る」

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レル」系,関東・中部が「クレル/ヤル」併用,それ以外の地域が「ヤル」

系ということになる。

 「よその人が自分に物を渡すことをどうすると番いますか。…」という本 動詞「くれる」の項昌では,東北で「ケル」系,山陰に「ゴス」系,その他 の広い範囲で「クレル」が分布する。従って「やる」と「くれる」の両項罠

を比較すると,語形上二つを区別しない地域がかなりあること(例えば東北,

九州など)がわかる。「やる」の項目での「ヤル/クレル」併用地域では両語 が擁らかの基準によって使い分けられているのかどうか,及び「くれる」の 意味での「クレル」との関係はどうなっているのかなども視野に入れる必要 があろう。

(この項の原図及び関連地図:「やる(遣る)」→LAJ第2集第73図,「くれ  る(呉れる)」吟LAJ第2集第74図)

(8)格助詞「が」「を」

 次に文法項厨の申から格助詞の方書現象について幾つか見てみることにし よう。GAJでは,第1集で助詞,第2集で動調の活胴形が提示されている。

これらについても,ここに示す略図ではなく,原図に戻って確認していただ

きたい。

 図7は「雨が降ってきたぞ」の中の格助詞「が」についてのGAJの略閣 である。凡例中の「φ」は助詞に相嶺する部分の欠落した語形が回答されたこ とを示す似下同様)。「アメガ」が広い範囲を占めている(ここでは「ガ」

の濁音・鼻濁音を区Zljせずに示している)が,助詞を旧いない地域が東北,

中部・北陸・近畿などにある。この地域には「雨」と「が」の融合形の地域 もあり,特に東北地方ではそれが太平洋側に偏っている。(このことはここに 示した略図ではそれほどはっきりしないが,GAJのオリジナル地図を見る

とさらにはっきりする。)

 仁田(1992)は東北地方のこの現象について「自動詞構文の主体が,「N並」

といったハダカ形式で表わされる地域が,秋田,崩形を中心に,岩手県を除

図7 「雨が」

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